注射薬の汚染が原因で広がる感染症。米国では、一時期、マルチドーズバイアル(複数回使用する大容量バイアル)が原因となって感染した肝炎の事例が相次ぎで報告されました。
その後、この事例の被害者らはNPOを立ち上げたそうです。M先生より教えていただきました。
過去に起きた事例は、MMWRなどにその調査結果が掲載されています。
1998年、フロリダで、生理食塩液マルチドーズバイアルが関連したC型肝炎の院内感染がありました。
同じ病棟で3名の患者が感染したことから、アウトブレイクの期間に入院していた41名の患者についてレトロスペクティブなコホート調査が実施され、24名が調査に参加しました。その結果、5名の患者からジェノタイプ1bのHCVが見つかりました。
アウトブレイク期間中に生理食塩液マルチドーズバイアルを使用した生食フラッシュをうけた群と受けなかった群で発症を比較すると、受けた群では4人中3人が急性C型肝炎を発症し、うけなかった9人中発症者はいませんでした。
これにより、このHCVアウトブレイクは「HCV患者の血液で汚染された生理食塩液マルチドーズバイアルの使用によるもの」と判断されました。
このアウトブレイクにおいて、どのように感染は伝播したのかは、わからないままでした。
実際、看護師は血液媒介感染症に対する標準予防策を遵守していたし、マルチドーズバイアルに同じシリンジを2回穿刺することはなかったと言っています。
コンタミネーションの機会を減少させ提案としては、マルチドーズバイアルの使用をシングルドーズバイアルに変更する、事前に単回使用のシリンジに分注しておく、などがかんがえられます。
ネブラスカでは100名近いC型肝炎のアウトブレイクが血液内科クリニックで起きました。
血液内科クリニックに通院する患者486人のうち、99人のC型肝炎ウイルス感染が明らかになり、うち95人はジェノタイプも一致していました。このクリニックでは、生理食塩液注射液バックがマルチドーズバイアルとして使用されており、さらに、中心静脈カテーテルからの採血に使用したシリンジがそのまま生理食塩液の吸引にも使用されていたことが、調査でわかりました。
2002年、米国では、透析関連疾患のナショナルサーベイランスが行われました。
調査でわかったことは、
・マルチドーズバイアルからシリンジへの薬液の吸引は、52.8%の施設で治療室とは別の部屋で行われていた。
・24.6%は治療室内のカートあるいは調整エリアで、3.7%は透析ステーションで行われていた。
・B型肝炎感染率は、治療室内のカートあるいは調整エリアで調整された薬液での治療を受けた患者では別室での調整に比べて有意に高かった。
ことでした。
これらのアウトブレイク事例の調査から安全な注射処置を定義づけ、強化する必要性の認識につながり、CDCの「隔離予防策のためのガイドライン」に組み込まれることになりました。
その後、この事例の被害者らはNPOを立ち上げたそうです。M先生より教えていただきました。
A Never Event: Exposing the Largest Outbreak of Hepatitis C in American Healthcare HistoryArbor Booksこのアイテムの詳細を見る |
過去に起きた事例は、MMWRなどにその調査結果が掲載されています。
1998年、フロリダで、生理食塩液マルチドーズバイアルが関連したC型肝炎の院内感染がありました。
同じ病棟で3名の患者が感染したことから、アウトブレイクの期間に入院していた41名の患者についてレトロスペクティブなコホート調査が実施され、24名が調査に参加しました。その結果、5名の患者からジェノタイプ1bのHCVが見つかりました。
アウトブレイク期間中に生理食塩液マルチドーズバイアルを使用した生食フラッシュをうけた群と受けなかった群で発症を比較すると、受けた群では4人中3人が急性C型肝炎を発症し、うけなかった9人中発症者はいませんでした。
これにより、このHCVアウトブレイクは「HCV患者の血液で汚染された生理食塩液マルチドーズバイアルの使用によるもの」と判断されました。
このアウトブレイクにおいて、どのように感染は伝播したのかは、わからないままでした。
実際、看護師は血液媒介感染症に対する標準予防策を遵守していたし、マルチドーズバイアルに同じシリンジを2回穿刺することはなかったと言っています。
コンタミネーションの機会を減少させ提案としては、マルチドーズバイアルの使用をシングルドーズバイアルに変更する、事前に単回使用のシリンジに分注しておく、などがかんがえられます。
ネブラスカでは100名近いC型肝炎のアウトブレイクが血液内科クリニックで起きました。
血液内科クリニックに通院する患者486人のうち、99人のC型肝炎ウイルス感染が明らかになり、うち95人はジェノタイプも一致していました。このクリニックでは、生理食塩液注射液バックがマルチドーズバイアルとして使用されており、さらに、中心静脈カテーテルからの採血に使用したシリンジがそのまま生理食塩液の吸引にも使用されていたことが、調査でわかりました。
2002年、米国では、透析関連疾患のナショナルサーベイランスが行われました。
調査でわかったことは、
・マルチドーズバイアルからシリンジへの薬液の吸引は、52.8%の施設で治療室とは別の部屋で行われていた。
・24.6%は治療室内のカートあるいは調整エリアで、3.7%は透析ステーションで行われていた。
・B型肝炎感染率は、治療室内のカートあるいは調整エリアで調整された薬液での治療を受けた患者では別室での調整に比べて有意に高かった。
ことでした。
これらのアウトブレイク事例の調査から安全な注射処置を定義づけ、強化する必要性の認識につながり、CDCの「隔離予防策のためのガイドライン」に組み込まれることになりました。
隔離予防策のためのCDCガイドライン2007満田 年宏ヴァンメディカルこのアイテムの詳細を見る |