バンコマイシンの内服剤は、添付文書では、「感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)に対して、バンコマイシン塩酸塩として、1回0.125~0.5g(力価)を1日4回経口投与する。」と、なっています。基本的には内服したバンコマイシンは腸管から(ほとんど)吸収されませんので、全身投与の目的では、使用されません。
「注射用」と「内服用」では、ターゲットとする菌種も臓器も全く違います。「注射用」は血流に乗って(移行性に違いはあれど)全身に分布しますが、「内服用」は「腸管」感染症がターゲットです。
「注射用」のバンコマイシンの添付文書には、有効菌種として「MRSAとPRSP」が記載されています。「内服用」のバンコマイシン散は「MRSA、クロストリジウム・ディフィシル」による感染性腸炎に使います。
昔、「患者さんの状態も良くなってきたから・・・。」と言って、MRSAの治療のために、「点滴」で投与していたバンコマイシンを「内服」に切り替えた、という笑えない笑い話もありました。
点滴用のバンコマイシンは、血中濃度を測定し、TDM(Therapeutic Drug Monitoring)を実施して、投与設計を立てていきます。
では、内服はどうなの?
ということで、論文紹介です。
「クロストリジウム・ディフィシル疑い患者に経口投与したバンコマイシンの便中動態」
背景:重症クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療には経口バンコマイシンを1回0.125g、1日4回経口投与が推奨されている。時に、重症症例に対して、1回0.25gあるいは0.5gを1日4回といった高用量が勧められるが、臨床的な裏付けは乏しい。重症度と投与量の関連や、高用量の必要性について検討した。
方法:経口バンコマイシンが投与されたクロストリジウム・ディフィシル感染症の入院患者から1日3回、便を採取し、バンコマイシン濃度を測定した。
結果:15人の患者(うち9人はクロストリジウム・ディフィシル確定)から便を採取した。1日4回以上排便の合った患者では、それ以下の患者に比べて、便中バンコマイシン濃度は低かった。高用量を投与され多患者では、便中濃度も高く、クロストリジウム・ディフィシルのMICの1000倍以上だった。1回0.125g1日4回を投与された1人の患者で投与初日に便中濃度が50mg/Lであった。
結論:バンコマイシンの便中濃度は、用量に依存し、頻回の排便がある患者においてもMIC90よりも高い濃度であった。
1回0.125g1日4回の投与では、初日はMICよりも低いことがあった。最初の1-2日に、ローディングドーズとして0.25gあるいは0.5gを投与することについては、、今後、検討すべきであろう。
Faecal pharmacokinetics of orally administered vancomycin in patients with suspected Clostridium difficile infection
BMC Infectious Diseases 2010, 10:363
「注射用」と「内服用」では、ターゲットとする菌種も臓器も全く違います。「注射用」は血流に乗って(移行性に違いはあれど)全身に分布しますが、「内服用」は「腸管」感染症がターゲットです。
「注射用」のバンコマイシンの添付文書には、有効菌種として「MRSAとPRSP」が記載されています。「内服用」のバンコマイシン散は「MRSA、クロストリジウム・ディフィシル」による感染性腸炎に使います。
昔、「患者さんの状態も良くなってきたから・・・。」と言って、MRSAの治療のために、「点滴」で投与していたバンコマイシンを「内服」に切り替えた、という笑えない笑い話もありました。
点滴用のバンコマイシンは、血中濃度を測定し、TDM(Therapeutic Drug Monitoring)を実施して、投与設計を立てていきます。
では、内服はどうなの?
ということで、論文紹介です。
「クロストリジウム・ディフィシル疑い患者に経口投与したバンコマイシンの便中動態」
背景:重症クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療には経口バンコマイシンを1回0.125g、1日4回経口投与が推奨されている。時に、重症症例に対して、1回0.25gあるいは0.5gを1日4回といった高用量が勧められるが、臨床的な裏付けは乏しい。重症度と投与量の関連や、高用量の必要性について検討した。
方法:経口バンコマイシンが投与されたクロストリジウム・ディフィシル感染症の入院患者から1日3回、便を採取し、バンコマイシン濃度を測定した。
結果:15人の患者(うち9人はクロストリジウム・ディフィシル確定)から便を採取した。1日4回以上排便の合った患者では、それ以下の患者に比べて、便中バンコマイシン濃度は低かった。高用量を投与され多患者では、便中濃度も高く、クロストリジウム・ディフィシルのMICの1000倍以上だった。1回0.125g1日4回を投与された1人の患者で投与初日に便中濃度が50mg/Lであった。
結論:バンコマイシンの便中濃度は、用量に依存し、頻回の排便がある患者においてもMIC90よりも高い濃度であった。
1回0.125g1日4回の投与では、初日はMICよりも低いことがあった。最初の1-2日に、ローディングドーズとして0.25gあるいは0.5gを投与することについては、、今後、検討すべきであろう。
Faecal pharmacokinetics of orally administered vancomycin in patients with suspected Clostridium difficile infection
BMC Infectious Diseases 2010, 10:363