「皇室問題INDEX」設立準備室

マスメディアによる皇室の偏向報道、ネットに流れる東宮家への誹謗中傷を検証しています。

■注目:「両陛下の思いを推測し言及」した宮内庁長官を、菅官房長官が批判

2013-09-04 01:52:29 | 日記
高円宮妃の久子さまは、2020年夏のオリンピックの開催都市を決めるIOC=国際オリンピック委員会総会出席のため、9月3日午後、ブエノスアイレス(アルゼンチンの首都)へ出発されました。IOC総会が開催される7日、日本の招致プレゼンテーションの冒頭で、久子さまは震災支援への御礼の挨拶をされるということです。

この久子さまの活動をめぐって宮内庁と官邸の間で齟齬があったようで、官房長官が宮内庁長官を公然と批判する事態となりました。3日午後3時のNHKニュースは次のように伝えています。

-------引用開始

宮内庁の風岡長官は、総理大臣官邸などから出席の要請があったとしたうえで、「招致活動とみられるのではないかとの懸念も持ったが、やむをえないと判断したもので苦渋の決断だった。天皇、皇后両陛下も案じられているのではないかと拝察した」と述べました。
これについて菅官房長官は、「久子さまにIOC総会でごあいさつをいただくのは、震災復興支援に対する謝意をできるだけ多くのIOC委員に表するのにふさわしい場だからで、大変ありがたい。皇室の政治利用にあたるとか、官邸からの圧力であるとか、そうした批判はあたらない」と述べました。そのうえで、「宮内庁長官が、両陛下の思いを推測して言及したことには、非常に違和感を感じている」と述べました。また、下村文部科学大臣は、「IOC委員の1割以上はヨーロッパの王室関係の方々であり、久子さまは、個人的に親しくされているという経緯もある。招致のプレゼンテーションでなく、ごあいさつなので、政治利用には全くあたらない」と述べました。

---------引用終り(一部省略)

注目されるのは、風岡宮内庁長官が「天皇、皇后両陛下も案じられているのではないかと拝察した」と述べたこと、それに対し、菅官房長官が「宮内庁長官が、両陛下の思いを推測して言及したことに非常に違和感を感じる」と批判したことです。

菅官房長官の批判は、「両陛下のご意向を宮内庁長官が推測して公表し、周囲を従わせる危険」を牽制する意味を持つ、まっとうな批判だと思います。これまで、歴代の宮内庁長官や宮内庁幹部(千代田)が語る言葉は、「両陛下の意思を代弁するもの」として垂れ流されてきた感があります。いくつか例を挙げてみます。

●湯浅長官の「秋篠宮家に第3子を」発言
2003年12月11日、当時の湯浅利夫宮内庁長官は「秋篠宮さまのお考えはあると思うが、皇室の将来を考えると3人目を強く希望したい」と発言。雅子さまには第2子(世継ぎの男子)を期待できないから、紀子さまに第3子(男子)をと受けとめられる発言で、とても役人が独断で公言できる内容ではありません。両陛下の意向を代弁したものと解釈するほかないもので、雅子さまはこの発言の後、長い療養生活に入っています。

●羽毛田長官の「女性宮家創設は急務」発言
2011年には、当時の羽毛田信吾宮内庁長官が「女性宮家の創設が急務」として、政府へ要請したという話がありました(2011.11.25 TBSニュース)。当時は「陛下が(女性宮家を)愁訴」という言葉が女性週刊誌の表紙に踊ったほどで、両陛下が女性宮家の創設を強く希望しておられることが一般にアピールされていました。こうした週刊誌報道への宮内庁からの抗議はなされていません。

●風岡長官の「一刻も早く決めていただかないと」発言
2013年4月、風岡典之長官は東宮ご夫妻のオランダ訪問について「一刻も早く決めていただかないと」などとマスコミに向けて苦言しました。早く決める必要はないとオランダから了解が得られており、招待各国もまだほとんどが返事をしていない段階での苦言で、嫌がらせ以外の動機を見つけるのは困難です。それ以前には、東宮ご夫妻のオランダ訪問に両陛下が反対しているとする、宮内庁幹部の発言がありました。国内公務ができていない段階で海外公務へ行くのは、「フェアネス、すなわち公務の公平性を重視されてきた天皇皇后両陛下からすれば理解し難く、深い憂慮の念を抱かれています」などと、側近の言葉として語っています(週刊新潮2月28日号)。

これら側近や長官の発言がすべて両陛下のご意向を汲んでなされたものと仮定すると、両陛下は間違いなく「政治介入」をしておられます。愛子さまの皇位継承を視野に政府が皇室典範改正に取り組んでいるときに、弟宮家に(男子)懐妊を促される。その(男子)懐妊リークで皇室典範改正を頓挫させた後に、皇位継承は「悠仁様までは決まっている」とする女性宮家案を強く希望される。オランダから望まれた東宮ご夫妻の即位式ご参加については反対される。--こうしたことが、両陛下のご意向ではなく、歴代長官や宮内庁幹部が勝手に発言したとするならば、役人の立場を逸脱したものであることは明らかです。

このトピックでは、皇室の政治利用または皇室の政治介入、あるいは宮内庁役人の両陛下の意向代弁といった問題について、話し合ってみたいと思います。焦点がぼけますが、この後に明瞭なテーマのトピック(たとえば、「皇室の政治介入について」「歴代宮内庁長官の問題発言について」等)につなげればいいか、というような気持ちでご投稿いただければと思います。
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天皇の「政治利用」とされた過去の事例 (INDEX)
2013-09-05 04:02:25
天皇陛下の「政治利用」とされた過去の事例を探してみました。大きなものは次の4つのようですが、最も深刻と思われる政治利用は、自民党時代の「両陛下の訪中」ではないでしょうか。

■1973年:増原防衛庁長官の内奏問題(自民党・田中内閣)

1973年5月26日、増原惠吉防衛庁長官は昭和天皇に「当面の防衛問題」について内奏したとき、昭和天皇は、「近隣諸国に比べ自衛力がそんなに大きいとは思えない。国会でなぜ問題になっているのか」と述べた。増原は、「おおせの通りです。わが国は専守防衛で野党に批判されるようなものではありません」と述べると、昭和天皇は、「防衛問題は難しいだろうが、国の守りは大事なので、旧軍の悪いことは真似せず、よいところは取り入れてしっかりやってほしい」と述べた。
増原はこの内奏を新聞記者に紹介した上で、「防衛関連法案の審議を前に勇気づけられた」と話した。しかし、現役閣僚が天皇の政治的言葉を紹介したことが5月28日に新聞記事に掲載され、「天皇の政治利用である」との批判をうけて政治問題化した。問題が皇室に及ぶことを回避するため、5月29日に増原は防衛庁長官を辞任した。(出所:Wikipedia「増原内奏問題」)

■1992年:天皇皇后両陛下の訪中(自民党・宮澤内閣)

 天安門事件(1989年6月)によって国際的制裁を受け、窮地にあった中国は、天皇皇后の訪中を日本に繰り返し要請。当時の自民党宮澤内閣(外務大臣=渡辺美智雄)はこれに応じ、1992(平成4)年10月23日、両陛下は訪中した。中国の外相だった銭は引退後の回顧録で「日本は中国に制裁を科した西側の連合戦線の中で弱い部分であり、おのずから中国が西側の制裁を打ち破る最も適切な突破口になった」と述べ、細心の対日工作で天皇訪中を実現し、政治利用したことを明かしている。(出所:史上最大の対日工作「天皇訪中」に秘められた中国の野望 SAPIO 2007/6/13号)
ttp://cotodama-6000.iza.ne.jp/blog/entry/513973/

■2009年:天皇と習近平中国副主席との特例会見(民主党・鳩山内閣)

 中国は習国家副主席の訪日に際して天皇陛下との会見を求めていたが、「1か月前までに申請する」ルールに間に合わず、宮内庁は応じられないと返答した。小沢幹事長はそれを認めず実現に向けて動き、12月15日、天皇と習国家副主席の会見が実現した。その会見に先立つ12月11日、羽毛田宮内庁長官は「政治的利用じゃないかといわれれば、そうかなという気もする」「心苦しい思いで陛下にお願いした。こういったことは二度とあってはほしくないというのが私の切なる願いだ」となどと表明。同14日に小沢幹事長は「内閣の一部局の一役人が内閣の方針についてどうこういうなら、辞表を提出してからいうべきだ」と同長官を批判。この応酬をメディアが大きく取り上げ、野党は「天皇陛下を政治利用したと断じざるを得ない(安倍晋三)」などと一斉に批判。マスメディアも、「政治主導という名のもとによる天皇陛下の政治利用である(産経新聞)」などと足並みそろえて小沢幹事長および鳩山内閣を批判した。(出所:Wikipedia「天皇特例会見」)

■2009年:鳩山首相の天皇訪韓発言(民主党・鳩山内閣)

10月9日、鳩山由紀夫首相が韓国で開かれた日韓首脳会談後の共同記者会見で、韓国が要望する天皇訪韓について、「私は天皇陛下ご自身もその思いを強く持っておられると理解している」と発言。これに対し、「天皇が反論されないことを承知して意図的な政治利用を図っていないか」との批判がなされた。(出所:Wikipedia「天皇特例会見」)

 政治家の意向で両陛下を動かすような行為はもちろん、陛下の胸中を代弁するような行為も「政治利用」として厳しく批判されていることがわかります。
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天皇の「政治利用」とされた過去の事例(2) (INDEX)
2013-09-06 01:41:01
今年あった重要な「天皇陛下の政治利用」騒動を忘れていました。4月28日の「主権回復の日」式典に、両陛下が出席されることについて、「皇室の政治利用」という批判が噴出していましたよね。それこそ、右からも左からも。

--------------(毎日新聞「主権回復式典」記事:引用開始)

主権回復式典:天皇陛下のお言葉なく
毎日新聞 2013年04月28日 21時01分(最終更新 04月28日 22時54分)

 政府は28日、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効から61年を迎え、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を東京都千代田区の憲政記念館で開いた。安倍晋三首相は式辞で「本日を一つの大切な節目とし、私たちがたどった足跡に思いを致しながら、未来へ向かって希望と決意を新たにする日にしたい」と表明。天皇、皇后両陛下も出席したが、お言葉はなかった。
 式典には、衆参両院議長や最高裁判所長官、都道府県知事(代理を含む)ら約390人が出席。沖縄県の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事は式典開催に反発する県民感情に配慮し出席を見送り、高良倉吉(たから・くらよし)副知事が代理出席した。生活、共産、社民、みどりの風の4党は政府による式典開催について「天皇の政治利用」などと批判し、欠席した。
 首相は式典で「61年前の本日は、日本が自分たちの力によって再び歩みを始めた日だ」と主権回復の意義を強調。その上で「日本を強くたくましくし、世界の人々に頼ってもらえる国にしなくてはならない。私たちの世代は、日本をもっと良い、美しい国にしていく責任を負っている」と述べた
--------------(引用終り)


 代理出席を含めれば「21の県知事が政府主催の式典を欠席」しているのですね。上記記事中には、生活、共産、社民、みどりの風の4党は「天皇の政治利用」を批判して欠席とありますが、日本維新の会、みんなの党も党首は欠席しており、出席したのは民主党の海江田万里代表、公明党の山口那津男代表だけだったようです(出所:主権回復を目指す会)。

 「天皇陛下のお言葉」がなかったのは、陛下が拒まれたからではなく、「宮内庁は、通常、主催者側からの願い出を受けてお言葉を出すかどうかを検討するが、今回は政府からの願い出がなかった」と報道されているようです(朝日新聞4月29日朝刊一面)。しかし、「主権回復を目指す会」代表の西村修平氏は、そこにこそ安倍政権の不敬があると怒りを露わにします。安倍政権はこの式典の胡散臭さを十分認識した上で、権威付けさせるために天皇陛下を政治利用したのだと。氏の怒りは激烈です。


--------------(「主権回復を目指す会」代表・西村氏の怒り:引用開始)

国民の総意を体現し、国家の象徴たる天皇陛下のご臨席を仰ぐにあたって、これほどの紛糾を伴い且つ国民の反発を伴った式典はない。取りわけ、沖縄県に対する思いの厚い天皇陛下におかれて、そのご心中たるや如何ばかりか。その何よりの証が、ご臨席された天皇、皇后両陛下の表情に笑みの欠片さえ窺えなかったことだ。それは8月15日、日本武道館で開催される「戦没者追悼式典」にご出席される際の表情そのものであった。天皇陛下にとって、4月28日は主権を喪失したままの日本を憂える「追悼式典」だったに違いない。その苦渋に満ちた表情に、臣民として心を痛めずにはおられない。↓

写真=終始俯かれたままの皇后陛下をよそに、独りよがりの「万歳」に興ずる安倍政権(憲政記念館)
http://shukenkaifuku.com/wp-content/uploads/2013/05/banzai.jpg

顔と顔を突き合わせる至近距離から、陛下に対する「万歳」は唱和などではなく、罵声にしか響かない。想像力を欠く、何という不敬を働く安倍政権と自民党議員たちであろうか。彼らの不敬は、不敬の次元を越えている。天皇陛下に対して蛮行を働いたのである。万死に値する所業だ。何処まで愚かを演ずれば気が済むのか、自民党と保守派は恥を知れ!
--------------(引用終り)


 上記は右派の怒りで、一水会や統一戦線義勇軍なども「式典反対」の抗議デモを行っているのですね。左のほうも大反対で、以下は日本共産党の声明です。

○憲法に反する天皇の政治利用をやめよ――「主権回復の日」式典の中止、天皇に出席を求める方針の撤回を要求する 2013年4月22日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2013/04/post-511.html

 「国民統合の象徴」である天皇に、国民世論が割れている行為を行わせることは憲法の精神に背くものであるという主張は頷けます。

 良く知られているように、天皇皇后両陛下は先の大戦で甚大な被害をこうむった沖縄に心を寄せてこられました。その沖縄を蹂躙するイベント(と沖縄県民の方々は受け止めている)に臨席して万歳三唱を受けられるとは、ご心中いかばかりか。西村氏が言うように、たしかにこの日、両陛下のお顔は曇ってみえました。昨日記したどの「政治利用」よりも、このイベントのご臨席はお辛かったのではないでしょうか。
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宮内庁長官の恣意的な発言 (INDEX)
2013-09-06 03:16:55
(前のコメントから続きます)

しかし、両陛下にとってそんなお辛いだろうイベントご臨席について、宮内庁長官からは、なんら牽制の言葉はありませんでしたね。2009年の習近平中国副主席との特例会見においては、羽毛田宮内庁長官は、「政治的利用じゃないかといわれれば、そうかなという気もする」「心苦しい思いで陛下にお願いした。こういったことは二度とあってはほしくないというのが私の切なる願いだ」などと表明しているわけです。しかし、政治利用が疑われるうえ、沖縄を大事にされてきた両陛下にとってかなりお辛いのではないかと推測される「主権回復の日」ご臨席については、風岡長官は政権を牽制する言葉は何も発していません。

2009年時は羽毛田長官の言葉に小沢氏が激怒し、マスメディアが大きく取り上げたことで、世論は一気に鳩山内閣批判に向かいました。陛下に不敬であると。野党・自民党の安倍晋三氏も「天皇陛下を政治利用したと断じざるを得ない」と厳しい批判の声を上げたわけです。それが、安倍氏は与党党首となった途端、両陛下を世論が割れるイベントに引っ張り出す。それに対し、両陛下のお気持ちを察して動く立場の宮内庁長官は何も言わずに従う。

と、ここで「おや?」と気づいたのですが。久子さまのIOC出席については、風岡長官は「苦渋の決断だった。天皇、皇后両陛下も案じられているのではないかと拝察した」と述べているんですよね。あら不思議。なんででしょう?

久子さまのIOC出席は、沖縄を大事にされてきた両陛下が沖縄を蹂躙するイベントに出席することよりも、風岡長官にとって「苦渋の決断」を迫られるものだったんでしょうか?風岡長官は「主権回復の日」ご臨席については、お辛かったに違いない両陛下のお気持ちを「拝察」しなかったんでしょうか?

菅官房長官は、「主権回復の日」の政治利用という批判にも「まったく批判は当たらない。ご臨席を賜るのは、ある意味で自然なことだ」と反論していますし(産経新聞、2013.4.19 22:12)、久子さまの件についても「そうした批判はあたらない」と返しています。当たり前ですが、政権党の官房長官として一貫しています。対して、風岡長官は一貫していません。より重要と思われる「主権回復の日」には沈黙し、久子さまのIOC出席には「苦渋の決断」と言い、両陛下のお気持ちまで代弁してしまう。その違いはどういう理由から出てくるのかと、あらぬ憶測をよんでしまいます。

これは、宮内庁のマスメディアへの反論と同じですね。皇后さまが天皇陛下をお父さんと呼ぶか呼ばないかなどという些細なことに目くじらを立てて反論し、訂正させる。その一方で、心の病に対する偏見を助長し雅子さまを侮辱する記事は放置する。この一貫しない態度(ある意味、一貫してはいるのですが)は、「どういう理由からそうなるのか」を考えさせ、憶測を呼びます。

このトピックでは今後、宮内庁長官や宮内庁幹部と言われる人たちが、どういう発言をしてきたか、とくに両陛下の代弁のような発言をしていないか、チェックしていきたいと思います。どうぞ、お手持ちの資料等で該当する箇所がありましたら、教えてくださいね。よろしくお願いします。
返信する
Unknown (auxilia)
2013-09-06 16:11:13
「美智子妃」 河原敏明 著  講談社 刊
昭和62年10月12日 第1刷発行


155項

48年7月、「中華人民共和国出土文物展」が東京で開催されたが、7月3日、中国の陳楚大使が東宮御所を表敬訪問した。
殿下(現在の天皇陛下)は同展参観を承諾し、次のように言及されたという。
「日中両国には長い文化交流の歴史がある。かつて一定の期間、日本は中国に大変すまないことをして、非常に遺憾に思っている。今夜は両国が永遠に仲良くしていくように希望する」 (読売新聞。人民日報の記事から直訳)

それが中国の新華社電によって初めて日本の新聞記事となったから、宮内庁も政府当局も狼狽した。

二ヶ月足らず前に増原恵吉防衛省長官が、自衛力増強に対する「天皇の政治発言」を公にしたため、大臣の椅子を棒に振ったばかりだった。そこへ今度は、皇太子(現在の天皇陛下)が中国に謝罪した(中国紙はそのように掲載)とあっては、増原事件以上の問題に発展しかねない。

案の定、タカ派のメンメンは、事実とすれば嘆かわしい、と眉をひそめ、一方左翼は増原糾弾に強硬だったのも忘れて、大いに賛意を表した。

外務省は、ようやく日中国交が成ったばかりなのに長崎事件(昭和33年5月、同地での中国展で右翼系青年が中国国旗をひきずりおろした)の二の舞を怖れた。

最も震撼させられたのは、いうまでもなく宮内庁で、記者団の間に、
「外務省の通訳官が担当したが、同席した侍従らによると、そのような発言はなかったように思う」
と歯切れ悪く否定し、それなら中国大使に抗議すべきだ、と突っ込まれると、
「大使の面目を失することになり、外交関係にも微妙な影響を与えるから」
と逃げの一点張りだった。

当の中国大使館では広報担当官が、
「これ(皇太子:現在の天皇陛下の陳謝発言)は歴史的事実である」
というに止まり、陳楚大使は表に出ず、ご発言があった、なかったの論争入りを避けた。

つまるところ、中国側の“鷹揚さ”に助けられた形で、増原事件のときの、
「内奏のさい、天皇陛下から国政に関係するようなご発言があったという事実は全くなかったのに、私の説明が意をつくらなかったため、誤解を与えた」
と同様、「(皇太子:現在の天皇陛下が)詫びたようなご発言はなかったように思う」という玉虫色で結着させることができた。
(61年11月来日したフィリピンのアキノ大統領と天皇との会話でも、「謝罪」をめぐり同様なことがあった)


==========


久子妃のIOC総会出席について官邸と宮内庁との間で問題が生じたようですが、一部抜粋した上記のように、現在の天皇陛下は皇太子であられた昭和時代から、問題を生じさせる御言葉を口にされる事があったように見受けられます。

友好増進は重要ですので「貴国と末永く友好を結びたい。」というご発言は、外交儀礼であろうと個人の感想であろうと、当然のものでしょう。
でも、過去を持ち出して発言するのは、歴史認識もですが何より政治に絡んできますので、天皇陛下がどのような認識をされていようと、それが例え私的な会話であろうとオフレコであろうと、客人であろうと相手国に発言されるのは控えるべきではないでしょうか。

特に中国のような国は、どのようなものでも利用して自国の有利材料にする国なので、上記の件によって、日本は中国に好カードを与えてしまったと言っても良いのではないでしょうか。(数年前の、韓国ゆかり発言も同様です)

このように書きましたが、現在の天皇陛下は、そのようなご発言は無かったのかもしれません。ですが、即位されてからのご発言を聞いても、やはり「そのような発言をされる今上天皇」と考えざるをえません。

そのように考えてゆくと、天皇陛下は政治利用されていると言うよりと、宮内庁長官の会見などによって寧ろ天皇陛下御自ら積極的に政治介入されていると思えてしまいます。

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天皇の韓国に関する発言 (haduki)
2013-09-08 17:38:48
天皇の政治発言として印象的なのは、韓国についての発言でしょう。

(以下の発言は、どれも有名なので、ご存知かと思いますが・・・)
2001年12月、天皇の記者会見で、「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると、続日本書紀に記されていることに、韓国とのゆかりを感じます」という、いわゆる「ゆかり発言」がありました。
また、この韓国との「ゆかり」については、1990年の盧泰愚大統領来日の際にも、陛下が大統領に同様のことを話しているとの証言があります(朝日新聞2010年8月25日)。したがって、この2001年の発言は、相当前から、陛下が温められてきたものといっていいでしょう。

そして2007年1月、両陛下は外務省の要請で、映画「あなたを忘れない」(新大久保駅乗客転落事故が題材)の試写会にご出席、亡くなった韓国人青年の両親とともに鑑賞し、試写会後、この遺族や映画監督と懇談しています。
そこで両陛下は、「日韓のスタッフの間で大変なことがありましたか」、「命を落とされて残念ですが、立派な息子さんですね」、「とても良い映画で、時間の長さが感じられなかった」、「この映画が日韓の懸け橋となれば」などと話しています。

ところで、この試写会出席には、以下のような出来過ぎた物語が背景にあります。
<事故から10か月後に(警察官らの殉職者慰霊祭のため)来日したスヒョンさんの両親は、皇居見学中に偶然皇后陛下と遭遇した。遺族と知った皇后から「あの事故には当時から痛ましい思いをしておりました。何かあったら何でもおっしゃってください。」と声をかけられ、手を握られたという。このような経緯で両陛下の試写会出席が実現した。>(asahi.com.日刊スポーツ芸能、スポーツ報知より)
これは、いわゆる「やらせ」でしょう。当時のブログなどでは、宮内庁や外務省に利用されて皇后が気の毒と書いている人もいましたが、どう考えても逆でしょう、天皇、皇后の強い御意向としか考えられません。

また、皇后の従軍慰安婦問題への発言も明らかになっています。
皇后が、学者の鶴見和子氏に対して、「あなたがこのあいだの講演で慰安婦の問題を取り上げてくださって、とてもありがたかった」とおっしゃったと、実弟の鶴見俊輔氏が対談で明らかにしています。(雑誌VOICE2008年9月号)
従軍慰安婦問題など、皇后の立場で軽々に人に話したりするべきものではないでしょう。単純な善意から同情を寄せていたのでしょうが、今や大変な外交問題です。
こういう問題に安易に首を突っ込み、黙っていられないところに、皇后の人間性を感じてしまいます。

そして昨年、韓国の李明博大統領の天皇への謝罪要求発言が大問題となりましたが、その後の御進講の場で、陛下が外務官僚に「両国の友好のためなら、現地で謝罪することもやぶさかではない」と話した、との国会議員の弁が週刊誌に掲載されています。(女性自身2012年9月19日)

表には出ていなくとも、おそらく政治家や官僚の間ではもっと多くの政治発言が知られているのではないかと思います。
雅子さまが両陛下とうまくいかないのは、この辺にも原因があるのかもしれません。

映画の試写会が外務省からの要請だったことや、昨年の韓国大統領の非礼な発言などから、天皇の政治利用への懸念や、韓国への憤りを示す人もいましたが、むしろ私は、両陛下の側が、韓国への秋波をずっと送っていたことの現れなのだろうなと感じました。

(余談ですが、「冬のソナタ」以降の韓流ブームの盛り上がりは、両陛下の親韓ぶりをなんとなく感じ取ったテレビ局や広告代理店において、「あ、やっていいんだな」という空気が醸成され、広がったことも、要因としてあるだろうなと思っています。)

そしてこうした外交問題以外でも、皇位継承問題や東宮家との不和(これもある種の政治問題でしょう)に関しても、両陛下は、言葉や態度で、時には宮内庁長官を使って、これ見よがしにシグナルを送っているように感じます。

天皇たるものが、重要な問題について、世間一般に対して、自分の意向をそれとなく匂わせる、知らしめる、などというようなことをしてよいのでしょうか?
こういうことをすると、天皇を取り巻く多くの関係者が、良くも悪くも天皇の意向を察して動くようになります。また、皇太子ご夫妻のように、言葉の行間を読み取る必要に迫られ、疑心暗鬼に陥ってしまうこともあるかもしれません。

昔から、貴人は、何を考えているかわからないようにしているものだ、字も読めないような顔をしているものだ、といいます。当然のことながら、今の時代、そこまでは極端だとしても、やはりどこかで心掛けておくべきでしょう。
天皇は、はたして帝王学を学んだのでしょうか?

(2020年東京五輪、決まりましたね。久子さまのスピーチ、語学力は言うまでもないことですが、内容も、皇族としての範を十分に考慮したもので、素晴らしかったです。そしておそらく、IOC委員との面談も、細心の注意を払われたことでしょう。
それにしても、陛下は、ご自身の幾多の政治発言を棚に上げて、長官を使っての久子さまご出席への苦言。秋篠宮家以外の皇族の、国際舞台での活躍への恐れ、嫉妬でしょうか?
いずれにしても、皇室と政治との関わりは、どれほど注意しても、結局のところ、その皇族の知性と良識に頼る部分がある、というのがその危うさの所以なのでしょうね。)

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Unknown (auxilia)
2013-09-09 09:37:13
2010年10月8日 中日新聞夕刊より

平城遷都1300年記念祝典においての記事です。


記事より一部抜粋



あいさつで陛下は桓武天皇の母親である「高野新笠」について言及。
「高野新笠は続日本記によれば百済の武寧王を始祖とする渡来人の子孫とされています」と述べた。

その上で「わが国には(略)多くの国から渡来人が移住し、わが国の文化や技術の発展に寄与してきた」との考えを示した。

==========

当時すでに韓国は、何かにつけて日本を敵対視して謝罪と賠償を要求し続ける国と見なされていました。

そのような事が知れわたっている時に、今上天皇のこの発言は友好増進のためかもしれませんが、安易すぎるような気がいたします。

今上天皇の「ゆかり発言」は当時、「天皇によるリップサービスだ。」という意見がありました。

一度ならリップサービスでも通用しますが、二度三度となれば確信されての発言と考えるほうが自然なのではないでしょうか。

こうしてみるとやはり今上天皇は、政治・政府に都合良く利用されているというよりも、今上天皇御自ら積極的に政治に関与しているのではないかと見てしまいます。


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天皇のおことば (大我楼清風)
2013-09-09 21:28:09
ごぶさたしております。
暑かった今年の夏ももう終わってしまいますね。

次から次へとトピックを立て、充実のデータで検証されているご様子感心するほかありません。日本の常識の砦としてのご活躍お祈りいたします。

ところで、失礼とは思いますが、今回は
①宮内庁長官のイレギュラー発言と、その裏としての②政治家による天皇の政治利用の問題なのであって、
③天皇のおことばによる政治介入の問題は、
この際分けた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

とくに、中国、韓国、その他の国々との友好促進に関する言動については、いわゆる社交辞令として有り得る範囲なのではないかと、私は思います。お会いなさっている以上、そう発言するより他はない、とも思います。

これが逆、友好を阻害するような発言であると大問題になるとは思いますが。

また、将棋の故米長氏が園遊会で、「君が代を斉唱させることが私の仕事」と申し上げたとき、陛下が「強制にならないことが好ましい」と発言されたことがありました。

あの発言も、見解を異にする立場からはあり得ない暴言とされるかもしれない(禁じられているはずの政治的見解を述べた、とか、君が代斉唱のために日々汗を流している者の苦労を顧みない横暴で、上に立つ者とは思えないない、とか・・・)けれども、あの時から現在に至るまで、陛下の高い見識を示すものであるとの評価がされることが多いのではありませんか?

それこそ今上陛下も人間なので、??ということもあるかもしれないけれども(現時点では致命的な誤りはない)、国民の側のとらえ方によって陛下のご人格を批判するのはこの問題の本質を見誤ると思います。

オリンピック招致問題についてはまた回を改めて投稿したいと思います。


返信する
大我楼清風様へ(Re:天皇のおことば) (INDEX)
2013-09-10 02:33:45
まだ残暑は厳しいですが、早暁など肌寒く感じることもあって驚かされますね。ご意見ありがとうございます。

>①宮内庁長官のイレギュラー発言と、その裏としての②政治家による天皇の政治利用の問題なのであって、③天皇のおことばによる政治介入の問題は、この際分けた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

ご指摘はもっともなのですが、このトピの最初に、<このトピックでは皇室の政治利用または皇室の政治介入、あるいは宮内庁役人の両陛下の意向代弁といった問題について、話し合ってみたいと思います。焦点がぼけますが、この後に明瞭なテーマのトピック(たとえば、「皇室の政治介入について」「歴代宮内庁長官の問題発言について」等)につなげればいいか、というような気持ちでご投稿いただければと思います>と述べましたので、皆さん、そのおつもりで書いてくださっていると思います。

なぜそんなにごちゃまぜにしたかと言いますと、一見違って見える「皇室の政治利用」「皇室の政治介入」「宮内庁役人の両陛下の意向代弁」の根っこにあるものに、共通する何かを感じるためです。その何かを手さぐりしたい思いがあります。ここでauxilia様、haduki様が書いてくださっているコメントは、私には大変勉強になります。どこかで読んだ記憶がある事柄ですが、こうしてまとめていただくと、頭の中が整理されてきます。どんどん蓄積していくことで、「何か」が見えてくる可能性があると思われます。

まとめ記事をストックしていく予定のサイトが稼働しましたら、ここのコメントは分類整理することができますので、まずは自由に書いていただきたいと思っています。

>それこそ今上陛下も人間なので、??ということもあるかもしれないけれども(現時点では致命的な誤りはない)、国民の側のとらえ方によって陛下のご人格を批判するのはこの問題の本質を見誤ると思います。

大我楼清風様のそうした見方も、もっともだと思います。しかし、陛下を批判的に見る視点、批判する意見も、大切なものと思えてなりません。昭和時代は、天皇を堂々と批判する意見も少なからず見かけたと思うのですが、平成に入ってから、両陛下に関しては称賛しかマスコミに載らなくなっています。この傾向は、皇后様のバッシング記事が版元の銃撃事件を引き起こして以降、顕著になったように思います。このまま称賛しか許されなければ、日本は怖い国になってしまうでしょう。皇室を大切に思えばこそ、批判する意見も必要と思うのです。

>オリンピック招致問題についてはまた回を改めて投稿したいと思います。

楽しみにお待ちしています。
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オリンピック招致問題 (大我楼清風)
2013-09-11 12:33:32
①昨日の続きからまいります。

INDEX様の「陛下を批判的に見る視点も大切だと思われる」というご意見、私も賛成です。
(そもそも私は東宮バッシング報道や宮内庁幹部の東宮ご一家への暴言が放置されるのは両陛下の責任であるという意見を持っています)

昨日の私の意見は、「中国や韓国への友好増進の発言に一部過剰なリップサービスがあった」、という批判について、ここで取り上げるべきものとは性格が違うのではないかと申し上げたのです。

少なくとも先の中国・韓国への発言は、政府の方針や国民の総意を踏み出さない、という基本は踏まえているのではないか、と私は考えました。歴史発言も、「勇気のいる発言」であったとは思いますが、この範疇に入れて問題はないでしょう。

確かに、日中、日韓関係が友好ムードのときにはそれでよくても、反中、反韓の世論が有力になると、「国益に反する政治介入だ」と批判される可能性があるのだから、「天皇はもともとそのような発言をすべきではなかった」のかもしれません。

しかし、この部分が重要ですが、日中・日韓関係が悪化しているときに、(政治的権能を有しない)天皇が(歴史認識を含む)友好を増進する発言をされることの意味も大きいと思います。

反対に、いくら風潮だからと、天皇までもが反中、反韓の発言をされるということがあるなら、それこそ由々しき問題(天皇の政治加担)になるでしょう。
(この、「反対を考えてみること」は、天皇の政治介入の問題を考える上で役に立ちます)

②オリンピック招致問題
高円宮妃殿下がIOC爽快に出席されるにあたって政府と宮内庁の間に齟齬を生じた問題を指します。

私は、この問題は政府と宮内庁の意思疎通が機能不全を起こしていることのあらわれだと考えます。

もっといえば、政府は政府で天皇・皇族の政治的行事への参加についての認識がゆるみ、宮内庁も宮内庁で変質劣化しているのではないかと思います。
(宮内庁の劣化はあえて根拠を挙げて指摘するまでもなく、長官の皇太子ご夫妻への苦言、幹部の東宮バッシング報道への加担その他乱れきっている様子は周知のことだと思います)

オリンピック招致問題については、もう少し立ち入って考えたこともあるのですが、今日はここもでで論がすでに煮詰まってきたので、また回を改めたいと思います。



そもそも宮内庁が何を言いたかったのかよくわからないのは私だけではないでしょう。




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Unknown (auxilia)
2013-09-11 14:12:10
もちろん友好増進は重要ですが、他の言葉を使用しての表現方法があるのではないでしょうか。

韓国という国は、「祖先が同じであれば子孫も兄弟のようなものである。」と考える国で、最近ではそのような風潮は薄れつつあるそうですが、それでも「韓国では名字が同じであれば結婚はできない。」という国だとか。

李方子さまは故李承晩大統領について「同じ全州李氏の出身だから、韓国帰国などについて、何かしらの援助なり賛同などして下さるかもしれないと思った。」と、その手記にあります。
韓国とはそれほど祖先に思い入れの強い国だという証左ではないでしょうか。

李方子さまは旧皇族ご出身というお血筋の方で、先の大戦その後においては高貴なお血筋ゆえ非常に苦労され、昭和天皇が「身体を大事にするようにね。」と、お気に掛けられていた方です。

その李方子さまの御苦労を御存知であれば、韓国とはどのような国であるかと勉強されていれば、いくら百済は韓国に非ずという話しがあったとしても、自分の祖先の生母は半島から来た方の子孫と口にしたら、かの国が何と言ってくるかなど容易に想像できるのではないでしょうか。

私は友好増進は日本のためにも、非常に重要だと思っています。

でも、友好増進を望むにしても、せめて、言葉、表現を選んでいただきたいと思うのです。
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