皇居の落書き

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生前退位に関する報道について

2016-07-18 22:13:47 | 皇室の話(2)
平成28年7月13日に,天皇陛下が生前退位を望まれているという報道がNHKよりなされ,ずいぶんといろいろな報道がされたが,その後,宮内庁は,事実関係を全否定している。

NHKの報道だから,なにがしかの根拠はあったのだろうけれども,全体としては正確な報道ではなかったということだろう。

今年5月に宮内庁より「当面のご公務について」が公表されたが,こうした課題との関係で示された御意向であるとすれば,そこにあるのは,御公務に対する覚悟,さらには,削減しようとする動きへの不満・反発の表明ということであるのかもしれない。

そうだとすると,「生前退位」をお望みであるということが,仮に何者かに伝えられていたとしても,それが世の中で大きく取り上げられ,実現に向けて議論が進み出すというのは,予想外の不本意なことであるのかもしれない。

あるいは,本当に「生前退位」を望まれる御意向があるとしても,注意深く繊細に取り扱われるべき問題であり,こういう形で報道されるということは,非常に問題があるだろう。

この先,さらに議論が拡大するのかどうかは,筆者には予想できない。

ただ,一つの方向性として,いわゆる男系維持派においては,旧宮家復活を主張する好機ととらえ,動き出してくるかもしれない。

すなわち,「皇族数が減少する中,御高齢の天皇陛下の御負担を軽減するためにも,皇位継承資格者として御活動のできる男系皇族を増やす必要があり,そのためには旧宮家復活しかない!」とかいうような論法である。

なお,彼らの主張は,現時点では一本化していないようであるが,「生前退位」には反対となるのではないだろうか。
というのも,彼らが主張する皇室の歴史・伝統のほとんどは大日本帝国時代の旧制度をベースにしており,旧制度においては「生前退位」は否定されているからだ。

旧制度において否定された経緯については,既に専門家による研究もなされているところであるが,筆者なりの分析として,旧制度下において,一世一元制が採用されたということに着目すると,その一世一元制と相まって,生前退位の否定ということは,天皇という御存在を国家と結びつけて抽象化するという効果があり,要するにそれは,かつての「国体」という観念なのである。

そこにあるのは,生身の人間ではなく,国家の神としての天皇であり,いわゆる男系維持派の求める天皇像そのものということができるだろう。

さて,この問題に対する筆者の考えであるが,非常に乱暴なことを言うように聞こえるかもしれないけれども,そろそろ,法律による制度化ということが,どこまで必要なのか,整理するべき時期が来ているのではないかと思っている。

憲法上の国民主権の原則から,治者と被治者の自同性を損なわないように,国政に関与しないというところを制度的に担保すれば,退位の御判断については,皇室の自律主義に委ねてもいいのではないのだろうか。
そのような御判断の適切性を疑うぐらいであるならば,そもそも象徴というお立場についていただくことを願うなど,止めるべきであろう。
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