新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ロングセラー商品⑪~ロッテ「グリーンガム」「クールミントガム」

2010年03月17日 | ロングセラー商品
板ガムの定番、ロッテ「グリーンガム」(1957年発売)と「クールミントガム」(1960年発売)は発売以来、”お口の恋人”というキャッチフレーズとともに半世紀を経ても変わらぬ支持を集めている。
物資が不足していた戦後まもなく風船ガム市場に参入した。当時、ガムはチョコレートと並び甘さに飢えていた子供達の憧れの菓子で、爆発的に売れたという。が、板ガム参入にあたっての戦略は、”辛口で爽快感を持った大人向けガム”の開発だった。
こだわったのが、”噛み心地”と”味の持続時間”だ。国内で主流だった合成のガムベースでなく、本場・米国で主原料となっている中南米産の天然チクルを使用した。良質のガムベースに加え、葉緑素(クロロフィル)の配合による口臭予防効果やペパーミント・メントールによる心地良い爽やかな刺激が、新たな嗜好を求める消費者を開拓したのだ。
ガム黎明期に品質にこだわり続けたこととその斬新な切り口、そして61年に実施した大規模な懸賞キャンペーンなどのマーケティング戦略が奏功し、瞬く間にトップメーカーになった。
ガムを噛むことによる唾液分泌促進、口臭予防、眠気予防などの効果を唱え、虫歯になりにくいなど効能を持った素材をいち早く取り入れてきた。キシリトール入りなどの粒ガムが主流となっている現在でも、板ガム開発でこだわった良質なガムベースの研究開発・技術力は他社を圧倒している。

ロングセラー商品⑩~ダノン「プチダノン」

2010年03月04日 | ロングセラー商品
今や世界45カ国以上で販売される世界ナンバーワンヨーグルトブランド「ダノン」。
その誕生は1919年、スペインで腸の感染症が大流行し、病に苦しむ子供たちのために、世界で初めて工業化に成功したヨーグルト「ダノン」に遡る。
日本での商品展開は1980年で、ヨーグルトメーカーというよりも、「プチダノン」として知名度を得て、離乳完了期の幼児を持つ子育て主婦に圧倒的な支持を広げてきた。
種類別は、牛乳を主要原料としながら牛乳・乳製品に含まれない「乳等を主要原料とする食品」に区分される。耳慣れない規格名でネガティブイメージを懸念するが、あくまでも品質設計を重視した結果だろう。シンプルでありながら飽きの来ない滑らかでクリーミーな風味とテクスチャーは、新鮮な生乳をベースに独自の乳酸菌を用いたヨーグルトやフレッシュチーズの製法を併せ持ったもので完成度は高い。
幼児をコアターゲットにしたニッチ商品で売上や利益の急拡大は見込めない。だが、核家族化・少子化が進んだ中、子育て、特に離乳完了期の食事において不安を持つ主婦達に”安心、美味しさ”と”育児ママ応援”いう「ダノン」ブランドへの高い信頼感を勝ち得たきた機軸商品である。
日本での商品展開から30年、じっくりとブランド力を醸成、強固なものとしてきた。「プチダノン」で育った幼児が母親として受け継ぐととともに、愛用していた主婦は祖母になり、「ダノンビオ」などの主力商品に商品スイッチし、ヒットを支えている。

ヒット商品③~花王「ヘルシア緑茶」

2010年02月10日 | ヒット商品
2003年に特保表示許可「体脂肪が気になる方へ」を取得し、発売当初から大ヒットしたのが花王「ヘルシア緑茶」である。
化学メーカーだった同社が、石鹸という油脂化学の研究テーマの一つとして取り組んでいたのが脂肪(食用油脂)についてだった。その研究成果が製品となって結実したのが、90年に発売された食用油「エコナ」だ。そしてより幅広い消費者に健康機能価値を訴求できると参入したのが茶系飲料だった。
大手飲料メーカーがしのぎを削る超激戦市場である茶系飲料では、中途半端な商品、マーケティング戦略では到底太刀打ちできない。時あたかも「メタボ」に話題、関心が高まってきていた。そこでターゲットを健康に対する関心が高い30代以上の男性に定め、体脂肪低減効果の高い「茶カテキン」を含む飲料の開発に着手したのである。
350ml当たり高濃度茶カテキンが540mg含む茶系飲料という新しい切り口と、12週間継続飲用すると明らかな体脂肪低減効果を得られるという臨床データと特定保健用食品の認可が相まって、従来品に飽き足らない健康を気遣う若いサラリーマンの潜在欲求を満たしたのだ。
小型PET飲料は500ml・140円がボリュームゾーンの中、飲みきりサイズの350ml・180円というプレミアム価格に設定した。このプライシングもギリギリまで切り詰めた結果だろう。同年5月末に1都9県、CVS限定でスタート、想定以上の売り上げで瞬く間に茶系飲料で金額シェアトップとなった。
成長・激戦市場であっても、"新しい視点から市場を見て、潜在需要を掘り起こす"という商品開発の本質と、マーケティングミックスの4Pをしっかり捉えたことがヒットした原動力である。

ロングセラー商品⑨~伊藤園「お~いお茶」

2009年12月05日 | ロングセラー商品
緑茶飲料の代名詞といえば、今年で発売20周年を迎えた伊藤園「お~いお茶」である。発売当時、これほどまでに緑茶飲料が売れると誰が予測しただろうか。今や急須で淹れて飲むのではなく、買って飲むのが当たり前という、緑茶の持つ文化的な側面を含めた新しい飲用習慣を提供し、根付かせてきた。2000年10月にはホット対応のPETボトルを投入、通年で支持されている緑茶飲料のトップブランドだ。
ウーロン茶を日本で初めて紹介したのも同社である。81年発売の缶入りウーロン茶が大ヒットしたことで、缶入り緑茶の開発を急いだ。レトルト殺菌やタンニンの酸化による風味劣化の技術的課題を克服し、遅れること4年、缶入り緑茶の発売にこぎつけたが、緑茶ブームに火がついたのはさらに4年後、商品名を現在の「お~いお茶」に変更してからである。
「自然が好きです。」という企業理念に基づき、発売当初から、無香料・無調味、無添加を守り、茶葉本来の味や製法にこだわってきた。良質な茶葉を長期的、安定的に確保するための茶園育成事業も手懸けており、飽きのこない美味しさとそのナチュラル志向、本物志向に取り組む商品開発・企業姿勢に対する圧倒的な信頼感が長年支持されてきた所以である。竹をイメージしたデザイン、商品名の書体、季節・地域限定商品の投入など常に商品訴求力を高める商品開発・マーケティング力も見逃せない。

ロングセラー商品⑧~大塚製薬「ポカリスエット」

2009年11月07日 | ロングセラー商品
水分補給飲料の代名詞と言えるのが1980年発売の大塚製薬「ポカリスエット」だ。"のどの渇き"と言えば、炭酸飲料で潤していた時代、水分補給飲料の新概念、新カテゴリーをつくった画期的な商品である。
人間の体の約6割を占める水分。体内における水分の重要性を他の飲料メーカーより認識していたのは同社が販売していた点滴注射薬の科学的な知見があったからに他ならない。スポーツや激しい作業時での発汗はもとより、寝ている間でもコップ1杯は失われる水分を補給する飲料として、マーケット志向ではなく、人間の体内・体液のしくみから考え商品化した。人間本来がもっている本質的な水分摂取への欲求(本能)を呼び起こした商品と言っていい。
当時としては、斬新な味(薄い)・ネーミング、デザイン。千点以上の試作品から選ばれ、スエットはSWEAT(汗)から、青空を想起させ飲んだ時の爽快感をデザインした。3千万本超の大規模なサンプリングを展開、初年度80億円、7年後には1000億円を突破した。体液に近いイオン(電解質)バランス・ナトリウム濃度・糖質濃度の組み合わせは発売以来不変で、スポーツ飲料に特化していないマーケティング戦略も幅広い支持を得ている。

ヒット商品②~コカ・コーラ「い・ろ・は・す」

2009年10月18日 | ヒット商品
2009年5月の発売以来、わずか4カ月で1億本という爆発的売り上げを記録したのがコカ・コーラ「い・ろ・は・す」である。
百花繚乱の天然水市場、しかも小型PET市場でブレイクできたのは、100万台の自販機を持つ同社だから成し得たのだが、従来の開発コンセプト・マーケティング戦略にない、斬新な切り口が多くの消費者の注目を集めた。
まず、採水地、「森、自然」といった天然イメージ、内容成分を強調したネーミングではなく、日本古来の「いろは歌」と「LOHAS(ロハス)」を掛け合わせたものにしたこと。見慣れないネーミングが"新鮮"かつ"何の意味だろう"という注目を喚起した。本来、小型PET飲料の購入動機に成り得ない、「ロハス」(継続性のある環境負荷の低い生活)への思いが消費者の潜在意識を掘り起こした。身近なところで手軽に「ロハス」を実践できることが共感を呼んだのだ。
そしてコンセプトをより強固にしたのが環境に配慮した包装資材の採用だ。国内最軽量12g(従来比40%軽量)を実現したのはもとより、ラベルシュリンクも簡単に剥がせる巻きラベルにするとともにラベル自体も小さくした。軽量化にともなう耐久性は、リブ(多角形のくびれ)を入れることでクリアした。またラベルデザインはシンプルかつ洗練されたものに仕上げており、表示面積の制限を見事に克服している。
「飲み終わったらクシャッとつぶせる」という斬新なPromotionも秀逸だ。これまでの小型PET天然水のユーザーに留まらず、小・中学生や女性にも幅広く支持を広げたのが大ヒットの要因。容量を20ml増量し値頃感を訴求しているのも見逃せない。

ヒット商品①~サントリー「伊右衛門」

2009年05月04日 | ヒット商品
清涼飲料市場で2000年以降最大のヒットを記録したのが04年3月発売の「伊右衛門」である。翌年には清涼飲料史上最速で1000億円を売り上げた。
これまで”宣伝のサントリー”と言われ、消費者の感性に訴えた商品開発と巧みな広告宣伝で話題を振りまき、ヒット商品を生み出してきた。品質よりも話題性を重視した商品開発がお家芸だったが、消費者が本質的な部分に価値を見出していることを重視、商品戦略の練り直しを図ってきた。その成果が「伊右衛門」「プレミアム・モルツ」の大ヒットに結びついたと言っていい。
日本の生活文化、日本人の心に深く根付いている緑茶の本質的な価値を探った。「緑茶飲料に求めているものは何か」を掘り下げていくと日本人の原風景に行き着く。寛政2年(1790年)創業の福寿園と交渉を重ね、両社の壁を一つ一つ乗り越え、ベクトルを合わせ最大のシナジーを発揮したのだ。「家業と事業」の隔たりを開発者の熱き想いが結びつけた。そして同じ目線(対等)で緑茶飲料の共同開発をしたことが大きい。
200種の茶葉から選び抜いたブレンド、非加熱無菌充填方式、福寿園創業者「伊右衛門」のネーミング、容器開発、デザイン、宣伝(CM)が高次元でリンクしたことが強烈なメーセージとなり、メガ・ヒットとなったのである。
商品コンセプトを練り上げたこと(本質を探る)、両社のノウハウと強みを具現化したこと(信頼・価値共有)、開発、宣伝・販促チームの思いを共有したこと(価値共有・組織化)が戦略として根付き、多くの共感を呼ぶ原動力となった。

ロングセラー商品⑦~明治乳業「エッセルスーパーカップ」

2009年04月05日 | ロングセラー商品
大容量、低価格、加えてプレミアムアイスクリームに劣らない美味しさが支持され、爆発的ヒットとなったのが94年発売の明治乳業「エッセルスーパーカップ超バニラ」である。単品で20億円売れればヒット商品といわれる中、翌年発売の「チョコマーブル」「ストロベリーマーブル」と合わせ2年で100億円を突破した。
当時のカップアイスは「バニラブルー」と「イタリアーノ」の2強時代。
「レディーボーデン」や「AYA」で培ってきた技術力を持つ同社は、この美味しさがもっと安い価格で実現できないだろうかと模索していた。バブルが終わり、”安くて美味しいものをたくさん食べたい”というニーズを的確に捉えて、「大容量で美味しい100円アイス」を開発コンセプトにしたのである。乳固形分が少なく植物性脂肪を使用するラクトアイス規格品だが、植物性脂肪13%、オーバンラン30に抑えることで後口の良さとプレミアムアイスクリーム並みの滑らかさを具現化した。
容量は通常カップアイスの約1.3倍の200ml、これまでにないボリュームが満足感を増幅した。さらに「スーパーカップ」のコンセプトを明確に伝えたのが新型容器である。主流であったメンコぶたから被せぶたにし、高級感、大容量を強力に訴求した。高コスト、安っぽいメンコぶたの見直しがヒットに結びついたと言っていい。開発コンセプトを明確に伝える3要素:ネーミング、デザイン、容器開発が訴求できた代表例である。

ロングセラー商品⑥~シマダヤ「流水麺」

2009年03月06日 | ロングセラー商品
”水を通すだけで食べられる”という簡便さが受け、大ヒットしたのが1988年発売のシマダヤ「流水麺」だ。
生麺は比較的簡便に、かつ主食に近い形で食べられてきたが、高温多湿な日本の夏では、例え生麺であっても鍋で数分間茹でることさえ敬遠されてきた。夏場は、1分強で茹で上がり、しかもさらっと食べられる細麺(乾麺)の素麺や冷麦が定番だった。
そこで生麺のトップメーカーの同社は、消費が落ち込む夏場に茹でることなくサッと水を通すだけで手軽に食べられる生麺を開発したのである。生麺は誰もが湯通しして食べるものという常識を覆し、夏場の調理方法のネガティブイメージを解決した。
うどんでありながら、素麺や冷麦に近いさらっとした喉越しを実現するとともに、適度にコシがある食感が、細麺では飽き足らない層にも支持を得たのである。商品コンセプトも秀逸だが、当時はまだ画期的だった真空ミキサーを開発して麺の熟成を高め、食感向上に新技術を注ぎ込んだこと。加えて、「流水麺」というネーミングが、流し素麺などの涼やかな食シーンを想起させるとともに、麺のシズル感を増幅させたこともロングヒットに結びついたと言っていい。顧客基点の発想と新技術、ネーミングが三位一体となってヒットした代表例である。

ロングセラー商品⑤~ニチレイ「アセロラドリンク」

2009年02月15日 | ロングセラー商品
サクランボほどの小さな果実「アセロラ」を世界で初めて食品に加工したニチレイが昭和61年、"赤い天然ビタミンC"入りのオシャレなヘルシードリンクとして発売した。
昭和60年にCIを導入し旧社名の日本冷蔵から社名変更。瞬く間にアセロラブームを巻き起こし、冷凍食品と冷蔵倉庫業の最大手企業だった同社の企業イメージを大きく向上させ躍進の原動力になった戦略商品で、新規事業や新商品を通して企業イメージ・ブランドロイヤリティーを飛躍的に高めた成功事例である。
カリブ海・西インド諸島原産のアセロラは、レモン28個分の天然ビタミンCを含むスーパーフルーツだったが、傷みやすく収穫後数時間で発酵してしまう難点があり、欧米で天然ビタミンC錠剤として利用されるに留まっていた。同社は冷凍技術の強みを生かし、収穫後、水洗いし4時間以内に凍結、輸入したのである。
”アセロラの天然ビタミンC入り”のキャッチコピーと新規性のある斬新な切り口、当時珍しかった若い女性層をコアターゲットに設定したこと、大規模な街頭試飲キャンペーンの実施、岡本綾子女子プロゴルファーのCM展開、CVS・キヨスクへのチャネル展開などの商品・マーケティング戦略が奏功し、発売後3年で100億円を売り上げた。
ヘルシーでお洒落なスポーツ&ビタミン補給ドリンクとして、年配の男性ゴルフファンをはじめとする幅広い男性層にも支持を得たことが大ヒットした要因である。

ロングセラー商品④~ハーゲンダッツ「グリーンティー」

2009年01月09日 | ロングセラー商品
スーパープレミアムアイスクリームの代名詞になっている「ハーゲンダッツ」。
1961年に米国・ニュージャージー州で産声を上げ、瞬く間にアイスクリーム好きの米国人に圧倒的な支持を得て、スーパープレミアムアイスクリーム市場を席巻した。
84年には日本に進出。これまでの"最需要期は夏場、ターゲットは子供主体の若年層。低価格、キャラクター商品が売れ筋"という固定概念を覆し、大人が味わえるこだわりのアイスクリームとして新たな需要層を創出した。
ブランドを確固たらしめたのが、日本独自の新商品として96年に発売した「グリーンティー」だ。それまで米国で先行発売された商品を順次日本に投入していたが、前年に開設したR&Dセンターにおいて、米国本社の技術陣とともに日本の顧客向け商品の開発に本格的に着手、嗜好を含めた市場リサーチを徹底的に行った。
例え海外の著名ブランドであっても日本の顧客の嗜好、ライフスタイル等を含めたリサーチが十分でないと成功はおぼつかない証左である。
北海道産ミルクを使用した高脂肪・低オーバーランの濃厚で滑らかな味わいのボディーに、石臼でひいたオリジナル「抹茶」の香りとほろ苦さが絶妙なハーモーニーを醸し出し、和の素材の持つ安心感・健康志向がすっきりとしたアフターテイストと相まって熟年者にも支持された。
オーバーラン約20%、氷結晶粒径39μという美味しさを裏付ける商品設計もリピーターに支持される所以だ。

ロングセラー商品③~理研ビタミン「ノンオイルスーパードレッシング青じそ」

2008年11月01日 | ロングセラー商品
ドレッシングの概念を覆す、「ノンオイル」という新領域を開拓したのが、1988年発売の理研ビタミン「ノンオイルスーパードレッシング青じそ」だ。
時あたかもヘルシーブームの真っ只中、低糖、低カロリーなどを切り口にした新商品の開発が相次いでいた。そうした中、最初からノンオイルドレッシングの開発を目指したわけではなかった。
同社は、「わかめスープ」「ふえるわかめちゃん」などのヒット商品を持つ。その強みの海草、特にわかめを”生で、しかもサラダとして食べてもらいたい”と開発をすすめていたのが、86年発売の「生海草サラダ」。添付するドレッシングには、「素材本来の美味しさを残しつつ、わかめ独特の海草臭を抑えることができるもの」を探したが、既存のドレッシングでは見つからなかった。そこで専用のドレッシングの開発に着手したのだ。
「青じそ」は、本タラ貝エキスの旨み、しその苦味をマスキングする梅肉エキスのほのかな酸味、青じそのさわやかな風味が絶妙のハーモニーを醸し出した。これまでにない新鮮なテイストが、ノンオイルという新機軸と相まって好評を得たのである。予想を超える顧客やバイヤーから反響やドレッシングの発売を要望する声が多数寄せられ、単体で発売することになった。
「安くて良い原料を安定して入手することが基本」(堺社長)、その素材を最大限生かすため取り組んだドレッシング開発・市場参入。顧客基点の商品開発が大きな支持を得た代表例だ。

ロングセラー商品②~森永乳業「アロエヨーグルト」

2008年10月18日 | ロングセラー商品
ヨーグルトに新しいカテゴリーを構築し、フルーツヨーグルトの市場をリードしているのが、95年発売の森永乳業「アロエヨーグルト」だ。
93年にデニーズがメニューに取り入れ大ヒットしたナタデココに次ぐ新しい素材はないだろうかと模索している中、アロエに注目した。店頭で見つけたレトルトパウチのシロップ漬けのアロエを「どのようにしたらおいしいデザートがつくれるだろうか」と検討したのがキッカケだ。
健康志向を背景に堅調に推移していたヨーグルト市場で、メーカー各社は、独自の効能を持つ乳酸菌やより果汁感ある大粒のフルーツなどに差別化を追い求めていた。だが視点はそこにはなく、独特の食感やこれまでにない組み合わせによる新しいテイストが潜在需要としてあったのである。
加えてパッケージデザインにも斬新さが溢れている。キャッチコピーにあるように、「素肌とからだのために(現在は、カラダのキレイをつくる)」通り、一見すると化粧品のようなデザインだ。しかも食品には不向きと通説のあった緑色を多用している。
これまでにないパッケージデザインの斬新さ、プチっとした独特の食感と健康イメージのある「アロエ」を独自のクリーミィーなヨーグルトに組み合わせた優しい絶妙なハーモニーが、幅広い年齢層に支持されたのである。

ロングセラー商品①~丸美屋食品工業「のりたま」

2008年10月13日 | ロングセラー商品
゛ふりかけの丸美屋゛を全国に知らしめたのが、昭和35年に発売された「のりたま」である。
商品開発の発想は、現社長の父である末吉氏が、ふりかけの売り込みに出かけた先の宿泊旅館でのある出来事がキッカケであった。末吉氏は、朝食時に定番ともいえる「ノリ」と「生たまご」に着目し、「これを一つの商品に出来ないだろうか」と考えたことだった。
朝食時は、ちょっとデキるビジネスマンであっても、「今日一日の活力の源となる朝食をしっかりと食べて、バンバン売り込むにいくぞ」と戦闘モードに入ろうとする時である。しかし、末吉氏は違った。常に「どのような商品があれば、手軽に美味しく食べてもらえるだろうか」と考えていたのである。
「のりたま」は親しみやすいネーミングと翌35、36年に投入した大量のテレビ広告により大ヒットした。素朴で飽きのこない゛庶民の味゛は、時代を経ても世代を越え愛され続けている。「のりたま」は、現在も同社のふりかけの売れ筋ナンバーワン商品になっているのだ。

ロングセラー商品はなぜ支持されたのか~プロローグ~

2008年10月12日 | ロングセラー商品
モノや情報が溢れ、商品に対する愛着が薄れている。作り手は、日夜しのぎを削って商品開発を繰り広げている。やっとのことで商品化にこぎつけ店頭に並ぶことができても、その多くはPOSデータ管理により市場から消えてなくなっていく。あらゆる商品の寿命が短くなり、ロングセラー商品といわれるものを見受けなくなった。ロングセラー商品は、なぜ支持され続けているのか。そんな商品を今一度見つめ直し、その魅力を探っていきたいと思う。