新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ヒット商品③~花王「ヘルシア緑茶」

2010年02月10日 | ヒット商品
2003年に特保表示許可「体脂肪が気になる方へ」を取得し、発売当初から大ヒットしたのが花王「ヘルシア緑茶」である。
化学メーカーだった同社が、石鹸という油脂化学の研究テーマの一つとして取り組んでいたのが脂肪(食用油脂)についてだった。その研究成果が製品となって結実したのが、90年に発売された食用油「エコナ」だ。そしてより幅広い消費者に健康機能価値を訴求できると参入したのが茶系飲料だった。
大手飲料メーカーがしのぎを削る超激戦市場である茶系飲料では、中途半端な商品、マーケティング戦略では到底太刀打ちできない。時あたかも「メタボ」に話題、関心が高まってきていた。そこでターゲットを健康に対する関心が高い30代以上の男性に定め、体脂肪低減効果の高い「茶カテキン」を含む飲料の開発に着手したのである。
350ml当たり高濃度茶カテキンが540mg含む茶系飲料という新しい切り口と、12週間継続飲用すると明らかな体脂肪低減効果を得られるという臨床データと特定保健用食品の認可が相まって、従来品に飽き足らない健康を気遣う若いサラリーマンの潜在欲求を満たしたのだ。
小型PET飲料は500ml・140円がボリュームゾーンの中、飲みきりサイズの350ml・180円というプレミアム価格に設定した。このプライシングもギリギリまで切り詰めた結果だろう。同年5月末に1都9県、CVS限定でスタート、想定以上の売り上げで瞬く間に茶系飲料で金額シェアトップとなった。
成長・激戦市場であっても、"新しい視点から市場を見て、潜在需要を掘り起こす"という商品開発の本質と、マーケティングミックスの4Pをしっかり捉えたことがヒットした原動力である。