新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ロングセラー商品⑥~シマダヤ「流水麺」

2009年03月06日 | ロングセラー商品
”水を通すだけで食べられる”という簡便さが受け、大ヒットしたのが1988年発売のシマダヤ「流水麺」だ。
生麺は比較的簡便に、かつ主食に近い形で食べられてきたが、高温多湿な日本の夏では、例え生麺であっても鍋で数分間茹でることさえ敬遠されてきた。夏場は、1分強で茹で上がり、しかもさらっと食べられる細麺(乾麺)の素麺や冷麦が定番だった。
そこで生麺のトップメーカーの同社は、消費が落ち込む夏場に茹でることなくサッと水を通すだけで手軽に食べられる生麺を開発したのである。生麺は誰もが湯通しして食べるものという常識を覆し、夏場の調理方法のネガティブイメージを解決した。
うどんでありながら、素麺や冷麦に近いさらっとした喉越しを実現するとともに、適度にコシがある食感が、細麺では飽き足らない層にも支持を得たのである。商品コンセプトも秀逸だが、当時はまだ画期的だった真空ミキサーを開発して麺の熟成を高め、食感向上に新技術を注ぎ込んだこと。加えて、「流水麺」というネーミングが、流し素麺などの涼やかな食シーンを想起させるとともに、麺のシズル感を増幅させたこともロングヒットに結びついたと言っていい。顧客基点の発想と新技術、ネーミングが三位一体となってヒットした代表例である。