メディカル・ヘルスケア☆いのべーしょん

医療と健康(ヘルスケア)融合領域におけるイノベーションを考察するブログ

ヘルスケア産業への期待

2010-09-22 01:39:18 | ヘルスケア
 ヘルスケアと一口にいっても、広義には大衆薬から健康食やフィットネスに至るまで幅広く、その意味するところは非常に漠としているが、当方が興味を持って注目しているのは、最近話題となっているデジタルヘルスとかポケットドクターなどICT技術を活用した医療健康融合領域である。
 米国ではコンビニエンスストアに併設した15分くらいで健康診断が受けられるminutes clinicという、医者ではなくNPが対応する半セルフスタイルのサービスが普及している。日本でも、わずか500円で保険証なしで健康診断ができるワンコイン診療なるものがひそかに話題になっており、健康意識の高まりを感じずにはいられない。
 今後医療費高騰や社会保険の逼迫により、健康維持は今以上に’自己責任’の時代の到来が予想される。また、医師不足という状況下では、普段のヘルスケアやある程度の疾患に対する診断は、医者にかかるのではなくセルフに求められる流れになると考える。センサ技術やICT技術、インフラの発展により、近い将来、医者にかからなくてもそのようなことが個人レベルで可能となると予測する。
 「医師不足に対する処方箋」にて、遊休にあるコメディカルの活用というソフト面における対策案を提言したが、パーソナルな機器の活用というハード面からのアプローチは、より健康に近い領域において有効である。
 キーワードは’手軽さ’であったり’日常生活の中へ’なのだと思う。技術の向上に依るところが大きいが、エレクトロニクスメーカやIT企業が環境分野と並び注目される医療分野へ軸足をシフトしつつある昨今、意外と早くそのような機器の実現がなされるのではないかと思う。またヘルスケア産業の隆盛が予測されても中々大きな事業が成立しなかった原因の一つである通信インフラも整備され、今まさにタイムウィンドが吹きつつある状況と認識する。
 医療機器分野と家電を始めとするエレクトロニクス分野との間には、薬事法という大きな境界が存在し、それぞれの産業における文化や風土、特性の違いに寄与していると考える。パーソナルなより医療機器に近いヘルスケア機器の開発は、厳格な医療機器メーカよりもむしろ、エレクトロニクスメーカがそのスピード感によって医療の側へ歩み寄る形の方が進展するのではないだろうか。
 たとえば、今では各家庭に当たり前にある体重計や体脂肪計は、技術屋からみれば非常に精度の悪い、商品化を考えにくいシロモノだったと推察するが、体重や体脂肪という目に見えないものを数値として’見える化’することによって、各個人が日々の変化をモニタできるようになったことは非常に大きな意義を持つのだと思う。同様に医学的に意味のある生体指標をモニタ、見える化することによって治療に頼った医療から予防へとシフトすることができるのではと思う。今までない商品、ひいては新しい産業や文化を創造しようとする場合、とりあえず商品化してみるといったスタンスであったり、或る程度エイヤっといった思いきりも必要だとすれば、やはりエレクトロニクス業界の感覚が産業の興隆を支えるのだと考える。
 医療/健康領域は、中国、韓国、台湾勢の台頭でジリ貧となっているエレクトロニクス産業に変わる、新たな研究開発の、またビジネスのフロンティアとして注目しており、近い将来、本格的なイノベーションが訪れるかもしれないと期待している。どのような指標が健康維持において有効なのか、どのような技術がキーとなるのか、あるいはヘルスケアという期待されつつも大きなビジネスが未だ成立していない要因は何なのか、ウォッチ、考察していきたいと思う。

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