メディカル・ヘルスケア☆いのべーしょん

医療と健康(ヘルスケア)融合領域におけるイノベーションを考察するブログ

医療アプリ

2012-11-18 23:28:25 | 医療
■BodyMaps for iPad
http://www.healthline.com/health/body-maps-for-ipad

医療現場ではタブレットやスマホが浸透しつつあるようで、アプリの質の向上も目覚しい。

医療におけるICT先進国である米国や韓国では、医療現場や教育機関、トレーニング施設へのICTの積極的な導入が進められた。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/242843.php

日本ではセキュリティの問題などで中々進んでいないようであるが、このようなアプリの内容を見れば、閉じられた医療が、ICTによってオープンになりつつある状況を感じずにはいられない。

表示されたCGをタップすれば筋肉や骨の名称を提示してくれる解剖学アプリで、医療系の基礎知識習得にはもってこいの優れものであり、医療関係者でなくとも勉強になる。
内臓を含めた体の各部位を回転していろんな方向から見ることができ、分厚い医学書よりもずっと有用である。


■大腸がん、血液1滴で早期発見 診断に新手法
http://www.47news.jp/CN/201207/CN2012071201001595.html

血液は体調や健康状態における多くの情報を持っており、メディカルチェックや日々の健康状態のモニタリングに血液を用いることは、採血のわずらわしさやクリーニングなど衛生面のケアなどを除けば非常に合理的である。

大腸がんは今や日本女性における死因のトップであるが、早期発見なら確実に治癒する病気である。したがって、効率的に早期発見する手法は医療費抑制の面できわめて重要である。現状スクリーニングするには便潜血や内視鏡検査があるが、血液一滴である程度の特異度で発見ができれば、その意義は非常に大きい。

個別な医療、ウェアラブルや非侵襲なヘルスケア

2012-02-01 00:04:36 | 医療
個別化医療
テーラーメイド医療などとも称されるこの概念を大手企業が注力、推進している。
製薬会社のRocheが臨床検査会社VentanaやバーチャルスライドのBioImageneを取得

GE Healthcareは子会社Clarient(臨床検査会社)を通じた、病理検査への浸透、合弁子会社Omnyx(バーチャルスライド)を通じた病理検査ワークフローの全電子化、製薬会社との提携、などの方針をJP MorganHealthcare Conferenceにて表明
http://www.thestreet.com/story/11372048/1/ge-healthcare-presents-at-jp-morgan-healthcare-conference-on-role-of-molecular-and-companion-diagnostics-in-personalized-medicine.html

心拍数や発汗を計測する腕時計
http://eetimes.jp/ee/articles/1201/12/news060.html
これまでも様々な生体情報を測定する腕時計式のセンサの開発例は多々あった。今回の発表は計測データをネットを介して専用のアプリでスマートフォン等に転送され管理する、正に煩わしさの少ないユーザビリティに優れるものである。今年後半に発売予定で、価格も$199とリーズナブルなためいよいよヒットの予感。

呼気で血中グルコース濃度を測定
http://www.azosensors.com/news.aspx?newsID=3678
患者の呼気で、血中グルコース濃度を測定する非侵襲型デバイスをイスラエルのPositiveID社が開発した。呼気中のアセトン濃度とグルコース濃度の相関を利用して測定する。
急増する糖尿病に対して非侵襲の血糖値管理が現実味を帯びてきている。

「医療機器の法律を作って欲しい」
http://www.azosensors.com/news.aspx?newsID=3678
JIRA会長が年頭所感で表明した医療機器分野の4つの萌芽は、新しい産業の創出、医療機器産業のグローバル化、医療機器の規制改革、震災復興を契機とした医療の重要性の再認識、である。
診療報酬の“外側”に新たな分野を産業化するヘルスケア産業プラットフォーム構想、および、自己立証、自己責任型の品質システムの導入などのビジョンを提示している。

光学センサによるメディカルイノベーション

2012-01-05 22:57:50 | 医療
糖尿病が急増している。

成人男性10人に一人の割合になるのも時間の問題である。
http://kenko100.jp/news/2011/12/28/02
日本の平均年齢は2010年で45.1歳であり、2055年には55歳になると予測されている。
男性の糖尿病関連の死亡率のピークはおよそ50歳であるから、これから減少する労働人口を考えれば、由々しき問題である。
そもそも糖尿病は採血して、血糖値の数字を記録して、、、といった面倒な管理作業があり、採血しやすい機器を開発したり、サーバで記録したりと、産業界も開発に余念がないが、静かに、しかし確かにイノベーションの足音が聞こえる。

血糖値、採血せず光で測定
http://www.shinmai.co.jp/news/20120103/KT111228BSI090016000.html
これは患者にとって朗報である。あるいは産業界にとっても福音となりうるニュースである。採血する時点で医療機器となり薬事法などのレギュレーションがついて回るが、非侵襲ともなるとレギュレーションのハードルは下がるであろう。

近赤外域の光によって得られる生体情報は血液中の酸素飽和度に代表されるように医学的にも有効な情報となり得、症例数による裏付けがなされれば、比較的簡易な構成によってパーソナルなセルフメディケート機器が実現する。

光学センサーで血圧測定法が飛躍的に変わる?
http://www.jmdmt.com/news/2011/12/27/4639
血圧測定も従前のバンドを巻く方法から新しい光学センサを用いた方法に代わる可能性もでてきた。センシング技術の進歩によるメディカルイノベーションとなりえるか注目していきたい。

近赤外光を用いた非侵襲な医療機器は既に臨床の場で有効性が検証されつつある。
spatial frequency domain imaging

http://cen.acs.org/articles/90/i1/Lights-Lasers-Invade-Clinic.html

最後にメディカルヘルスケア領域でのイノベーションに不可欠な、健康不安をもつ健常者向けの製品に関する情報
患者満足度の高い医療の提供へ-医療機器開発の新たなパラダイム
http://www.jmdmt.com/news/2011/12/27/4638
「健康および健康管理の関連ソリューションは、採用してもらうことがこれら製品の成功の鍵であるため、人々の生活において普遍のものとなる必要がある」というのは非常に重要なポイントであると考える。

医療、ヘルスケア分野における大手電機メーカの動向加速

2011-12-26 00:00:04 | 医療
大手電機メーカの医療機器市場への新規参入や買収が相次いでいる。

富士フイルムホールディングスは、携帯型超音波診断装置の大手企業である米SonoSite社を買収した。富士フィルムは社名から「写真」を取り去り、完全に祖業から脱して、医療やコスメといった新規事業への投資を積極的に進めている。学生時代アメフトでならした社長の古森氏が新規参入事業では勝つまでやり続けるらしい。またフィルム事業出身ではないことも奏功し事業転換が上手く図られつつあるようである。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/dho/20111215/293874/

携帯型超音波診断装置といえば、王者のGEヘルスケアが昨年最小、最軽量と銘打ったモノをリリースしている。
http://japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/company/press/2010/13.html

こういったものが進化し、やがてパーソナルユースなものが大手電機メーカから発売されると予測する。

パイオニアもの医療分野への参入を表明している。
2014年度にも事業化するようであり、ピックアップ技術を応用し、国内ではシスメックスの市場占有率が高い血液分析機器の低コスト化を目指すようである。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/111130/bsc1111300506010-n1.htm

その一方で、独総合電機大手シーメンスが、ヘルスケア部門で最大1,200人の人員整理を計画している。断機器市場での供給過剰や各国の病院のコスト削減策などが逆風となっているらしいが、大手電機メーカがこぞって医療機器市場や健康関連市場に参入すれば、供給過多や競争激化といった状況になると考えていたが、意外にも早くその兆候が現れたか。
http://nna.jp/free_eu/news/20111222dem201A.html

経産省は日本再生計画の柱として、ヘルスケア、新エネルギー産業、クリエイティブ産業の3分野を軸とした内需の掘り起こしを提言している。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111129/mca1111292222026-n1.htm

いずれにしても、医療、ヘルスケア領域は今後さらにホットな市場となりつつあり、巨額の粉飾に揺れるオリンパスを含め、業界再編が加速していくものと思われる。

早期発見の検査法と保険制度

2011-05-16 08:40:48 | 医療
ピロリ菌感染による胃粘膜の老化や委縮が進むほど、胃がんが発生しやすくなることが判明してきた。この胃粘膜状態を簡便に採血検査で判定し胃がんのリスクを推測するのが血清ペプシノゲン検査である。会社の健康診断でも採用されている。

胃の消化酵素ペプシンの前駆物質であるペプシノゲンは胃粘膜で産生され、ペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡに大別される。血清ペプシノゲン検査は、血液中のペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡの濃度および両者の比により胃粘膜の状態を推定する。この検査によりハイリスクと見なされれば胃の内視鏡検査が勧められる。
内視鏡化の手術により早期であれば胃の切除なしに治癒が可能であることに加え、簡便な血液検査にて胃がんのハイリスクを選別できることは、早期発見、治療において非常に有意義である。

ただ、これだけ有意な検査法の血清ペプシノゲン検査も、医療保険の適用外となっている。

医療とヘルスケアとでユーザから見たときに決定的に異なるのが保険制度の存在である。医療により近いヘルスケアのビジネスモデルが描きにくいのは現在の保険制度にあるともいえる。
 予防に重点を置くことの観点から早期発見の重要性は明白である。様々な、あるいは特定の症状でも、各人で簡便に判定できるような状態は最も望ましいが、一足飛びにその状態に至るのは難しい。国レベルでの医療健康政策において医療機関での柔軟な保険制度の適用が望まれる。