メディカル・ヘルスケア☆いのべーしょん

医療と健康(ヘルスケア)融合領域におけるイノベーションを考察するブログ

早期発見の検査法と保険制度

2011-05-16 08:40:48 | 医療
ピロリ菌感染による胃粘膜の老化や委縮が進むほど、胃がんが発生しやすくなることが判明してきた。この胃粘膜状態を簡便に採血検査で判定し胃がんのリスクを推測するのが血清ペプシノゲン検査である。会社の健康診断でも採用されている。

胃の消化酵素ペプシンの前駆物質であるペプシノゲンは胃粘膜で産生され、ペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡに大別される。血清ペプシノゲン検査は、血液中のペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡの濃度および両者の比により胃粘膜の状態を推定する。この検査によりハイリスクと見なされれば胃の内視鏡検査が勧められる。
内視鏡化の手術により早期であれば胃の切除なしに治癒が可能であることに加え、簡便な血液検査にて胃がんのハイリスクを選別できることは、早期発見、治療において非常に有意義である。

ただ、これだけ有意な検査法の血清ペプシノゲン検査も、医療保険の適用外となっている。

医療とヘルスケアとでユーザから見たときに決定的に異なるのが保険制度の存在である。医療により近いヘルスケアのビジネスモデルが描きにくいのは現在の保険制度にあるともいえる。
 予防に重点を置くことの観点から早期発見の重要性は明白である。様々な、あるいは特定の症状でも、各人で簡便に判定できるような状態は最も望ましいが、一足飛びにその状態に至るのは難しい。国レベルでの医療健康政策において医療機関での柔軟な保険制度の適用が望まれる。

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