メディカル・ヘルスケア☆いのべーしょん

医療と健康(ヘルスケア)融合領域におけるイノベーションを考察するブログ

医療・健康 融合領域のイノベーションにおける2つのアプローチ

2010-11-09 00:39:01 | ヘルスケア
 医療、健康領域にイノベーションを起こすには、2つのアプローチがあると考える。

 一つは、心拍、血圧、体動などのバイタル情報をPHRとして記録し変化をモニタすることで健康状態を管理する方法。これは疾患を予防するために、既存のヘルスケアを拡張する手法である。
 もう一つは、医学的指標をより簡便に頻繁に管理する方法。望ましくはセルフモニタが可能なパーソナル機器によって医学的に意味をもつ情報を直接的に見える化すること。これは疾患の状態が悪化しないように、医療の領域にあるモノをヘルスケア側に歩み寄らせる手法である。

 前者の課題は、取得したバイタル情報から意味ある情報を抽出する効率的なデータマイニングと、バイタル情報と医学的な情報との関連付けである。どの情報をどのくらいの頻度でとれば、あるいはデータがどのようになったら医学的な観点で有意な情報となりうるのか、バイタル情報を管理することは本当に疾患予防につながるのか、といったことがクリアにならないと、その先へと展開しにくいと考える。

 一方、後者の課題は、医療機器という範疇から民生機器というジャンルへ括り替える上での法規上の制約である。医学的に意味のある情報、例えば血液検査における血糖値やヘモグロビンA1cは糖尿病または糖尿病予備軍における有効な指標であるが、このような情報を簡便にセルフでモニタできることは非常に意義がある。しかしながら採血という行為やクリーニングやメンテナンスということを含めて一般の民生機器として実現できるかどうかは、薬事法に照らさなければならない。

 現状、医師の側に抱え込まれている技術や知識が解き放たれ、それをブレイクダウンして何らかのアルゴリズムに展開することができれば、診断はできなくとも変化が検知できたり、何らかの判断ができるなど、予防をアシストする上で充分有用なものとなるのではないか。

 二つのアプローチは互いの融合領域に互いが歩み寄るものであるが、どのようにイノベーションが生じていくかのシナリオは別途考えてみたい。