メディカル・ヘルスケア☆いのべーしょん

医療と健康(ヘルスケア)融合領域におけるイノベーションを考察するブログ

米国の医療事情

2010-11-07 21:30:33 | 医療
米国の医療状況に触れてみたいと思う。

国民皆保険の日本の医療制度と異なり、米国におけるそれは、高齢者、障害者対象のメディケア、貧困者や低所得者対象のメディケイドという公的保険制度があるが、約5000万人の人は無保険者であり社会問題の一つとなっている。オバマ大統領は医療保険制度改革を推進して可決されたが、先の中間選挙では小さな政府を志向する結果が出て早くも厳しい道のりとなっている。
公的保険制度が十分ではないため、民間保険は多種多様にあるものの、保険料は比較的高額であり低所得者層は加入できても適用制限がかけられていて、医療機関は赤字になるため対象外とするなど問題は根深い。

プラグマティズムに象徴される合理主義は医療の現場でもみることができる。

まず、Evidenced Based Medical(EBM)という考え方が通念としてあり、臨床や治験でのデータは特に尊重され重要視される。手術の場合でも、オペを行う医師以外の関係者として、保険査定士はもとより、オペレーションスーパーバイザーやメディカルコーディネータ、ヘルスエグゼクティブディレクターなどの様々な名前の医療コンサルタントが介在することとなり、方針決定や評価検証するためデータを管理する。上質の医療が提供されるかは別として、医療の質を測る体制が充実している。
日本でもテレビドラマの影響でチーム医療という言葉がめずらしくなくなったが、早くから分業体制を確立するとともに、コメディカルという医師以外の医療スタッフの存在が欠かせなくなっている。

また、医療保険においても様々なグレードの被保険者に対応するため'Disease Management'というITを最大限に活用しデータに基づいたリスク管理によって医療費の節約を図る疾病管理が徹底されている。

ITの導入も、どちらかというと倫理観や実績を大切にする石橋型の日本よりも進んでおり、IT事例コンテストなるものが有力な医療誌が主催で実施されているのがいかにも米国らしい。Personal Health Record(PHR)やElectirical Health Record(EHR)の構築、推進がthe Health Information Technology for Economic and Clinical Health act(HITECH)という政府主導の政策によって積極的に推進されている。
i-Padを医療の現場で利用することを想定した画像解析アシストなどの医療ソフトも様々なものが開発されており、先進的な医療施設での導入が進みつつある。

課題はネット経由でホストのソフトを活用するシステム構築とセキュリティの確保等が考えられるが、中でもマニュアルやガイドラインの整備など標準化が普及のカギとなる。