11月17日、火曜日。
今朝は、6時半までぐっすり眠った。
起きると、すぐに鶏に残飯を与える。
鶏小屋の屋根裏においた寝籠を見てみると、すでに卵が6個になっている。
このところ家にいないものだから、どの鶏が産んだのか分からない。
1羽の雌鳥が台所の屋根の上で騒いでいるので、中に入って見上げてみると、なんと梁の隙間に卵を産んでいた。
ということは、2羽が産卵中ということか。
カレン族は、寝籠以外の場所で卵を産む母鶏を嫌うから、これをラーが知ったらすぐに絞めてしまいかねない。
あわてて卵を寝籠に移し、今後の様子を見ることにした。
*
リンゴをかじりながら、店へ移動。
ラーが仕込みに入り、私は洗いものに取りかかる。
生ゴミ処理用の穴を掘っているところへ、甥っ子のジョーと従兄弟が手伝いにやってきた。
今日は、家の庭から店の裏庭に竹のテーブルと木の長椅子を移すのである。
すでに、家の庭からすべてを掘り出したというから、ふたりを荷台に乗せて家に戻り、すべてを積み込んでから、店にUターン。
さすがに、竹のテーブルは風雨にさらされてかなり古びているが、それもまあ風情があっていいのではあるまいか。
そうこうしているうちに、以前記事にしたこともある“ムショ帰りのミュージシャン”が挨拶にやってきた。
刑務所を出た直後にわが家でクラプトンのDVDを一緒に観たのだが、その後体調が悪く、1ヶ月ほど入院していたそうだ。
あのときの幽霊のような表情からすると、まるで別人のように元気になっている。
しかも、友人の紹介でチェンマイのオープンエア(屋外)レストランで演奏することが決まり、明日チェンマイに向かうのだそうな。
「服も、全部新調したんだよ」
「へえ、それは豪勢だな」
「もちろん、古着だけどね(笑)。このジーンズ、なんと補正料込みで50バーツ」
見ると、それほど古びていはいない。
「実は、俺たちも古着を扱おうと思っているんだ。村では、高い服を買える人はほとんどいないからな」
「それじゃあ、古着屋の場所を教えるから今度行ってみれば」
「ありがとう、助かるよ」
「こちらこそ、本当にありがとう。村に戻って、この先どうしようかと思っていたときに、あんたに親切にしてもらって本当にうれしかった」
「お互いさまだよ。店が落ち着いて時間ができたら、ぜひ演奏を聴かせてもらうからな」
*
入れ違いに親戚のモーピー(霊医・霊占師)がやってきて、商売繁盛のための“秘薬”を贈呈してくれた。
赤黒い粉薬のようなものを、ごく少量つまんでまずは匂いをかぎ、次いで唇にこすりつけると客がどんどんやってくるし、いい仕入れができるという。
彼の前で、ひととおりのレッスンをやったあとで、秘薬入りの小瓶を指示どおり蚊帳の上においた。
その言葉どおり、昼前になると、毎日クッティアオを食べにきてくれるゲイのカップルを皮切りに、近所の婦人たちが連れ立ってやってきた。
ラーもすでに手慣れたもので、以前のようにパニくることもなく、客たちと冗談を交わしながら、楽しそうにクッティアオを供している。
私は、飲み水用の氷を補充するくらいで、こうして小部屋でパソコンに向かうこともできるというわけだ。
そこへラーが飛び込んできて、素早く化粧を始めた。
「どうした?」
「だって、みんなきれいに化粧しているのに、あたしは起きてから顔を洗っただけだから」
「お前さんは化粧しなくてもきれいだから、問題ないよ。それに、食い物屋は化粧なんかしない方がいい」
どうやら、後半の注意は耳に入らなかったようだ。
「本当?ホントに、化粧しなくてもきれい?本当だったら、うれしいな。やったー!」
「ほらほら、客が待ってるぞ」
どうやら、商売繁盛の一番の秘薬は、嘘でもいいから嫁を褒めることらしい。
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今朝は、6時半までぐっすり眠った。
起きると、すぐに鶏に残飯を与える。
鶏小屋の屋根裏においた寝籠を見てみると、すでに卵が6個になっている。
このところ家にいないものだから、どの鶏が産んだのか分からない。
1羽の雌鳥が台所の屋根の上で騒いでいるので、中に入って見上げてみると、なんと梁の隙間に卵を産んでいた。
ということは、2羽が産卵中ということか。
カレン族は、寝籠以外の場所で卵を産む母鶏を嫌うから、これをラーが知ったらすぐに絞めてしまいかねない。
あわてて卵を寝籠に移し、今後の様子を見ることにした。
*
リンゴをかじりながら、店へ移動。
ラーが仕込みに入り、私は洗いものに取りかかる。
生ゴミ処理用の穴を掘っているところへ、甥っ子のジョーと従兄弟が手伝いにやってきた。
今日は、家の庭から店の裏庭に竹のテーブルと木の長椅子を移すのである。
すでに、家の庭からすべてを掘り出したというから、ふたりを荷台に乗せて家に戻り、すべてを積み込んでから、店にUターン。
さすがに、竹のテーブルは風雨にさらされてかなり古びているが、それもまあ風情があっていいのではあるまいか。
そうこうしているうちに、以前記事にしたこともある“ムショ帰りのミュージシャン”が挨拶にやってきた。
刑務所を出た直後にわが家でクラプトンのDVDを一緒に観たのだが、その後体調が悪く、1ヶ月ほど入院していたそうだ。
あのときの幽霊のような表情からすると、まるで別人のように元気になっている。
しかも、友人の紹介でチェンマイのオープンエア(屋外)レストランで演奏することが決まり、明日チェンマイに向かうのだそうな。
「服も、全部新調したんだよ」
「へえ、それは豪勢だな」
「もちろん、古着だけどね(笑)。このジーンズ、なんと補正料込みで50バーツ」
見ると、それほど古びていはいない。
「実は、俺たちも古着を扱おうと思っているんだ。村では、高い服を買える人はほとんどいないからな」
「それじゃあ、古着屋の場所を教えるから今度行ってみれば」
「ありがとう、助かるよ」
「こちらこそ、本当にありがとう。村に戻って、この先どうしようかと思っていたときに、あんたに親切にしてもらって本当にうれしかった」
「お互いさまだよ。店が落ち着いて時間ができたら、ぜひ演奏を聴かせてもらうからな」
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入れ違いに親戚のモーピー(霊医・霊占師)がやってきて、商売繁盛のための“秘薬”を贈呈してくれた。
赤黒い粉薬のようなものを、ごく少量つまんでまずは匂いをかぎ、次いで唇にこすりつけると客がどんどんやってくるし、いい仕入れができるという。
彼の前で、ひととおりのレッスンをやったあとで、秘薬入りの小瓶を指示どおり蚊帳の上においた。
その言葉どおり、昼前になると、毎日クッティアオを食べにきてくれるゲイのカップルを皮切りに、近所の婦人たちが連れ立ってやってきた。
ラーもすでに手慣れたもので、以前のようにパニくることもなく、客たちと冗談を交わしながら、楽しそうにクッティアオを供している。
私は、飲み水用の氷を補充するくらいで、こうして小部屋でパソコンに向かうこともできるというわけだ。
そこへラーが飛び込んできて、素早く化粧を始めた。
「どうした?」
「だって、みんなきれいに化粧しているのに、あたしは起きてから顔を洗っただけだから」
「お前さんは化粧しなくてもきれいだから、問題ないよ。それに、食い物屋は化粧なんかしない方がいい」
どうやら、後半の注意は耳に入らなかったようだ。
「本当?ホントに、化粧しなくてもきれい?本当だったら、うれしいな。やったー!」
「ほらほら、客が待ってるぞ」
どうやら、商売繁盛の一番の秘薬は、嘘でもいいから嫁を褒めることらしい。
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