「次の満月を、そちらで見てみたく・・・」
加奈子さんからの予約メールには、そんな文言が入っていた。
満月かあ。
あいにく、このところの夜空は雲が多くて、あんまりパッとしない。
夜通し、雨が降ることもある。
おそらく、駄目だろうなあ。
それにしても、なんでオムコイで満月なんだろう?
*
生まれて初めてのタイ旅行だそうだ。
賑やかな観光地は嫌いなので、バンコクは素通りしてチェンマイで一泊。
「チェンマイって、ずいぶんと賑やかな観光地なんですねえ。夜に散歩していると、目と頭がクラクラしました」
当方にとってはきわめて新鮮に聞こえるそんな感想を胸に、翌朝8時オムコイ行きのバスに乗った。
昼過ぎに到着したオムコイの町に対する感想は「結構、都会なんですねえ」
うーん、まあ一応郡庁所在地ではあるんだけど、ここを「都会」と呼んだ人は初めてである。
よっぽど、田舎が好きな人らしい。
こりゃあ、ここから2キロ離れたわが村に案内する甲斐があるというもんだ。
*
タイは初めてだが、辛い料理は大好きだという。
雨を警戒して持ち帰りにした昼食のクッティアオ(タイラーメン)に、かなりの量の唐辛子を投入した。
わが家の放し飼いの犬や鶏の姿を見て、すっかりリラックスした様子だ。
ひと休みして、川向こうの棚田と展望台へ。
「わあ、本当の田舎ですねえ。来てよかったなあ」
どうやら、お眼鏡にかなったようである。
晩飯は、ラー女将が増水の川で獲ってきた小魚を使ったナムプリック・プラー。
これに裏庭で掘ってきた竹の子や長豆などを浸けて食す。
味付けはラーが普段に食べている辛さ、つまりは相当に辛いものなのだが、村の焼酎をグイグイやりつつどんどん平らげてゆく。
ついには、ご飯に直接まぶして食べ始めた。
これは辛いぞお。
「実は、ここ2週間ぐらい食欲が全然なかったんです。こんなにおいしく食べられたのは、本当に久しぶり」
うーむ。
オムコイの満月への憧憬といい、チェンマイや町に対する感想といい、辛いもの好きといい。
この人、もしかして前世はカレン族だったのではあるまいか。
カレン服を着れば、ムエタイの構えはぴたりと決まるしなあ。
残念ながら、この夜の空は黒雲で覆われ、満月前夜の月を仰ぐことはできなかったのだが。
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頂きに上がりたいなぁ....
ナムプリックのことですよねえ。持ち帰ってもらったものなんぞ、とっくになくなっているだろうし。やっぱりまたタイに来てもらうしか・・・
ご飯と合うんですよねぇ.