このところ、ネットが朝方のわずかな時間しかつながらない。
大慌てで記事を更新するのがやっとで、コメントに対するお答えなどできないのが心苦しい限りである。
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さて、昨日は、オボートー(地区行政事務所)評議員選挙の投票日だった。
評議員というのは私の勝手な解釈と命名で正確ではないのだが、ラーのこれまた当てにならない解説によると、所長を助けて予算の使い道などを決める偉い人だということである。
公民館前に貼り出された公示ポスターを見ると、みんな顔見知りだ。
家の向かいの副村長の妻の兄、いつも娘を連れ歩いている気のいい若い衆、喧嘩をしているようなきついしゃべり方をするラーの女友だち、ラーの親戚だという大人しい老人、先日の葬儀の喪主を務めた元村長、酔っ払うとしきりに片言の英語で話しかけてくる気のいい太っちょの雑貨店主。
この6人の候補者の中から、ふたりを選ぶのだという。
選挙のせいか、早朝から家の前をしきりに人が行き来している。
まだ、票の取りまとめが図られているのだろう。
「うちのクンターも、パスポートを見せれば投票できるようになればいいのにね」
ラーも近所を歩き回ってはそんな冗談を言いながら、意中のふたりへの投票を働きかけている。
ラーが推すのは、向かいの副村長の義兄と元村長である。
義兄は私欲がなく村人の立場に立って働く人で、元村長は特に貧しい村人のことを優先して考える人である、というのが彼女の評価だ。
太っちょの雑貨店主も信頼できる人物なのだが、残念ながら席はふたつしかない。
実は、以前のブログにも書いたことがあるが、数カ月前にラーはこの選挙への立候補を古老たちから勧められたことがある。
だが、この仕事は時に山奥の村に泊まり込んで調査をしたり陳情を受けたりする必要があり、数日間家を空けることも珍しくない。
結局、彼女は私の世話ができなくなるという理由でこれを断ったのであるが、“山奥の貧しい人たちを助けたい”という気持ちは変わらず持ち続けていて、自分の願いを少しでも叶えてくれそうな人を応援したいという思いから、家の玄関先にもふたりの顔写真入りポスターを貼ったほどだ。
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投票所の村の分校に行くと、村長と副村長が軍服のようなものを着て選挙管理役を務めている。
投票所の外でIDカードのチェックが行われ、投票箱が置かれた教室に入ると、入口の机で再びIDチェックと署名が求められる。
字が書けない人は、拇印を捺す。
机の奥で、なぜか大工のノイヌックが神妙な顔で投票用紙を手渡した。酔っ払いの彼も、村の顔役らしい。
教室の外から写真を撮ると、女性の係員がそれにクレームをつけた(村長のひと言で“マイペンライ”と相成ったが・・・)。
前回の郡議会議員の投票のときは、撮影自由、投票所の外では係員が飲み食いしたり、べろべろに酔った立ち会いの教師もいたりしたが、今日は「投票者以外立ち入り禁止」「投票後はすみやかに退去」などの貼り紙が貼られ、のんびりかついい加減だった村の選挙も厳正なものへと変わりつつあるようである。
それでも、投票してそのまま立ち去る人は少なく、居残り禁止区域で村長や係員や教師たちと賑やかに冗談を交わしている。
村の選挙は、こうでなくっちゃあ面白くない。
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夕方4時過ぎになると、「そろそろ投票の結果が出るよ!」と言いつつラーが家を飛び出して行った。
30分ほどして戻ってくると、「副村長の義兄と太っちょの雑貨屋が勝った!勝った!」と大騒ぎだ。
「義兄は200票、太っちょは93票。あとは、それぞれ37、52、46、26。無効票が32。だから、ふたりの圧勝です!」
「おいおい、お前さんが推してた元村長は負けたのか?」
「うん、残念だけど太っちょとも大の仲良しだからマイペンラーイ(問題ないよ)」
「投票総数は、486か。この村には、何人ぐらい有権者がいるんだろう?」
「たぶん、その倍くらいだろうね。それよりもクンター、今日は当選者ふたりと一緒に晩ご飯を食べる約束だから、あたし先に料理の手伝いに行ってくるね」
また、ドタバタと家を飛びだして行った。
もしもラー自身が選挙に出たら、いったいどんな騒ぎになるのやら。
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始めまして。
私の所も、先日 อ บ ต の選挙でしたが、事前にお金が適正に?配られていた為に、極めて静粛に行われました。終了後、妻の親戚たちと(どう言う訳か皆警察官)ムカタを食べ乍らどんちゃん騒ぎでの宴会でした。
ちなみに、ウタラディット県ファークター郡です。