仕事場の窓から、黒い燃えかすがしきりに降ってくる。
山焼きである。
例年なら、3月が盛りなのだが、今年は長雨が続いたせいか時期がずれたようだ。
空が薄い煙のフィルターに覆われ、朱色の太陽が山際に沈んでいく。
夕焼けは、ない。
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山際からのぼってきた下弦の月も、同じような朱色をしている。
星の数も、少ない。
遠い山の中腹あたりに、オレンジ色の炎の帯が見える。
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夜が明けると、一面の靄である。
煙のフィルターと重なり合って、登ってくる太陽も薄い朱色だ。
午前中の風は涼やかだが、昼過ぎになると気温がぐんぐん上がってくる。
昨日などは、32℃を超えた。
炎天下を歩くと、頭がくらくらしてくる。
5分ほど歩いても、汗まみれだ。
連日の寝不足もあって、少しばかり重たい時間が流れるオムコイの昨今である。
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そういえば、例年ならすでにソンクラーン(伝統正月)モードに入って、子供たちが爆竹を鳴らしている頃である。
しかし、村は妙に静かである。
多くの子供たちが、短期出家で家にいないからか。
それとも、空を覆う煙が村人の気分までも覆っているのか。
ポーは、日曜日に家に戻ってくるらしい。
そうなれば、嫌でも賑やかになるのではあるけれど。
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