【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【ぬか漬けマンゴー】

2009年08月14日 | オムコイ便り
  
 草原の木の下で、涼風を受けながら生まれたばかりの仔牛を眺めている。

 ときおり鼻孔に流れ込む牛糞の薫りも、また乙なものである。

 仔牛から目を離さず、ラーが手渡してくれたサツマ芋の皮のようなものをかじると、妙に懐かしい味がした。

「ん、なんだこれ?」

 ぬか漬けのようでもあり、みそ漬けのようでもあり・・・。

「マンゴーだよ」

 さっきからごそごそやっていたのは、おやつの準備だったのだ。

 それにしても、このマンゴー、色が変だ。

 サツマ芋を思わせる茶色系なのである。

 マンゴーはグリーンか、熟したあとの黄色と相場は決まっている。

 そして、マンゴーの収穫期はとっくに終わっているのだ。

「あのね、これは友だちがつくったマンゴーの保存食。あたしは作ったことがないけれど、収穫した緑色のマンゴーを塩と砂糖を入れたお湯につけて長い間ぐつぐつ煮るんだって」

「ふーん、それにしてはいい味だなあ。まるで、日本の漬物みたいだ」

 皮ごとそいで、もうひとくち。

 今度は、砂糖と塩と赤唐辛子をまぶしたものを少しつけてみる。

 うーん、これは茶請けに最高だ。

 酒のつまみにも、いい。

 “ぬか漬けマンゴー”として売り出せば、ひと儲けできるかもしれない。

 馬鹿なことを考えながら、ちょっと固めの皮を捨てると、ラーに叱られた。

「食べないんなら、あたしにちょうだい。そこが一番おいしいんだから」

「へいへい、お代官様」

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