【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【ナッケーな日常】

2010年06月26日 | オムコイ便り

「クンター、野菜知らない?」

「何の野菜?」

「あたしが昨日、筍掘りのついでに水辺で採ってきたやつ」

「知らんなあ」

    *

 今朝は、クッティアオ用のルクチンムー(豚肉つみれ団子)が入荷していなかったので、豚肉を叩いてつみれにしなければならない。

 豚肉のかたまりを丸いまな板の上に載せ、これを蛮刀で入念に叩いていく作業は、なかなか骨が折れる。

「クンター、あたしの野菜、捨てたんじゃない?」

「だから、知らんと言ってるだろう。仕事の邪魔をするなよ。それに、誰が野菜を捨てるもんか。冷蔵庫の中は探したのか?」

「全部、探した」

「じゃあ、家にでも置き忘れたんだろう」

「違う。確かに、店に持ってきた」

「とにかく、俺は見てない。もう一度、ちゃんと探してみろ」

 朝飯用の筍スープを作りながら、その合間に店の中でごそごそやっている。

「あー、やっぱり見つからない。クンター、本当に捨てなかった?」

「いい加減にしろ!」

     *

 豚肉叩きを終えて、裏庭の洗い場でまな板と蛮刀を洗った。

 物干用テーブルの上に、もやしやキャベツを洗うためのたらいが置いてある。

「まったく、なんでいつもの場所に置かないんだ」

 ぶつぶつ言いながら、蓋代わりの大きな蠅よけカバーを取ると、水を張ったたらいの中にクレソンのような水草が浸けてある。

「ラー!お前さんが探しているのは、この水草のことじゃあるまいな?」

 大声で怒鳴ると、裏庭に走ってきた。

「あれ?ここにあったんだ!あたし、てっきりクンターがゴミ捨て場に捨てたと思っていたよ」

「あのなあ」

「ごめんなさ~い。ああ、よかった、よかった」

     *

 腹が立ったが、豚骨で煮込んだ筍スープは、なかなかの味だ。

「じゃあ、あたしブーちゃんとウーちゃんの世話に行ってくるね」

 正しくはフーちゃんなのだが、フーは発音しにくいらしく、いつの間にかウーちゃんになっている。

「釣り銭はどこだ?」

「あ、豚肉を買ったから小銭は70バーツしかない」

「それじゃあ、足りん。最低でも、80バーツは要るだろう?」

「だって、豚肉を買ったから仕方がないよ」

「昨日、筍掘りに行く前に売ったときの小銭はどうした?」

「だから、豚肉を・・・。あ、ちょっと待って」

 小部屋の壁にかけたカレンバッグの中を探ると、ビニール袋にしまった小銭がちゃんとある。

「あのなあ」

「ごめんなさ~い。じゃあ、お店よろしくね」

「いつまでも豚と一緒に遊んでいないで、すぐに帰って来いよ」

「大丈夫だよ。どうせ、今日もお客さんは少ないから」

「あのなあ、俺は朝から豚肉を・・・」

「あ、ブーちゃんとウーちゃんがお腹を空かして待っているよ。行ってきま~す!」

「・・・」

 毎日のことながら、まったく疲れる嫁ではある。

 ナッケー!

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