「メー(母ちゃん)、今夜は家で一緒に寝ようよ」
晩飯が終わると、3男のポーがこう言い出した。
「なんだ、母ちゃんのおっぱいが飲みたくなったのか?」
「違うよ、ポーとイエッが作文の手伝いをしてほしいんだって」
来週木曜日、12日はワンメー(母の日)である。
そこで、「母の日の作文コンクール」が行われることになり、それが宿題のテーマになったというのである。
*
「宿題を手伝っちゃいかんなあ。作文は、子供が自分で考えて自分で書かなくちゃ」
「手伝いというより、インタビューだよ。普段はゆっくり話す事もないから、あたしにいろんな質問をして、それを参考にしたいって言ってるんだ」
「ふーん、それはいいところに目を付けたなあ」
実は、長男のヌンが小学生のときも同じようにインタビューをして、その作文は一等賞に輝いたのだという。
「そうか、そんなら眠くなるまでじっくり付き合ってやればいいさ」
「クンター、ひとりで大丈夫?」
「誰かさんがいないととっても静かだから、読書がはかどって有り難いよ」
「んもー、またそんな意地悪言って。じゃあ、もしも眠れなかったら店に戻ってくるから」
前にも書いたように、狭いわが家は建て替え用の材木置き場になっており、私とラーは店に寝泊まりしている。
たまには、反抗期に入ったイエッや甘えん坊のポーと3人でじっくり語り合うのもいいだろう。
*
今朝になって、ラーがイエッを連れて店に戻ってきた。
「よく眠れたか?」
「うん、クンターは?」
「本を遅くまで読み過ぎて、完全な寝不足だ」
「あーあ、あたしがいないとすぐにこれなんだから。じゃあ、あたしイエッと一緒に茸採りに行ってくるね」
「ほお、珍しいな」
テレビの見過ぎを叱ってから、このところイエッは次姉の家で過ごすことが多くなっている。
高校生のドー(従兄)がいるから、その方が気楽らしい。
「昨夜、あれこれ話していたら、もっとあたしと一緒にいろんなところに行きたいと言い出したんだよ。『村の子供らしくない』って、ポーと比較されるのも悔しいんだって。だから、もっと外に連れ出して鍛えることにしたんだ」
そういえば、彼がチェンマイから戻ってきた直後、「あんたはポーとは全然違う」とラーが叱ったあたりから、彼の口答えがひどくなったような気もする。
きっと、淋しかったんだろうな。
「よおし、イエッ、茸、たくさん採ってこいよ」
「はい!」
いい顔で、にっこり笑った。
*
母ちゃんと一緒に行きたいなんて、まだまだ可愛いじゃないか。
ふと、小学生のとき、母親から小さなヒントをもらって、選挙標語コンクールや作文コンクールで一等賞をもらったことを思い出した。
よおし、息子ども、作文コンクールも頑張れよ。
なにせ、賞金は3万バーツの奨学金だからなあ!
ん?
*写真のとおり、茸採りは雨不足のせいで芳しくなかったようである。
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