【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【愛ちゃんと通い夫】

2009年09月03日 | オムコイ便り
 母鶏に、男ができた。

 いつでもどこでも5羽のヒナたちと一緒だったというのに、いまはまったく構わず、隣家から侵入してきた美形の色男と連れ立って遊び回っている。

 一緒の竹籠で眠ろうとするヒナたちを寄せ付けず、ここ数日眠るのも別々だ。

 ヒナたちから餌を横取りしようとする性悪な黒羽たちを、蹴散らすこともしない。

 いつの間にか、1羽のヒナの姿が見えなくなった。

 どこかで、死んでしまったに違いない。

       *

「すぐに卵を産むから、場所を作らなきゃあ」

 ラーがそう言うので、思案の末に竹籠を床板の突き出しスペースに置いた。

 すると、母鶏はさっそく私の頭上まで軽々と舞い上がり、竹籠の底に置いた布を整え始めるではないか。

 そこへ、すぐに色男が舞い上がってきて籠の上にすっくと立ち、母鶏の様子を見守るような仕草をする。

「父親が母親の体をくちばしでキスするように優しく突っつくと、卵が産まれるんだよ」

「ふーん」

 母鶏は、竹籠の底を音を立てて激しくつついている。

 かと思うと、籠から飛び出して、家の中に上がり込み何かを探すような仕草をする。

 産卵場所が気に入らないのだろうか。

 とにかく、かなりナーバスになっているようだ。

 しばらくして母鶏がやっと籠の中に落ち着いたので、私たちもそれぞれの仕事に戻った。

 雄鶏の鳴き声で寝不足になるのが嫌さに、ついついハーレム形成を引き伸ばしてきたのであるけれども、雌牛たちと同様に“通い婚”が成立したので、ホッとしているところである。

        *

 牛といえば、1週間前にまた赤ちゃんが生まれたので、昨日その様子を山に見に行った。

 1週間待ったのは、どこへ行くにも必ず着いてくる犬たちが吠えかかるのを甥っ子のジョーが嫌ったからである。

 今度は、赤毛の雌である。

 直前に降った激しいスコールのせいで、毛が濡れそぼって少し弱々しく見えるが、実に愛らしい。

 それほど警戒することもなく、私の顔をじっと眺め入ったあとで、さっそく乳を飲み出した。

 名前は、そうだなあ・・・。

“愛ちゃん”でいくか。

 ラーも、この名前がすっかり気に入って、頭にアクセントを置いた妙な発音で“愛ちゃん、愛ちゃん”と呼びかけている。

 すると、クリンクリンという可愛いカウベルの音を響かせて、白毛の仔牛がそばに近寄ってきた。

 先月13日の記事で紹介した“翔太”である。

 足腰がすっきりと伸びて、なかなかのハンサムボーイだ。

 跳ねるような歩き方が、大物の将来性を感じさせる(親馬鹿ですなあ)。

 2年前には赤ちゃんだった雌牛のラー(とんでもないジャジャ馬だったので嫁の名前を付けた)も、そろそろお年頃である。

 生き物たちの成長と変化を見守るのは、実に楽しい。

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