昨日は、客人を日曜礼拝の教会に案内し、午後から川に出かけた。
勇んで投網を持ち出したラーだったが、完全なへっぴり腰で網がまったく開かない。
もう数度も投網漁に出ているはずなのに、この失態はなんだあ?
「全然、ダメじゃないか」
「だって、この網、重すぎるんだもん」
だから、あれほど小さい網にしろと言ったのに、まったく。
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「どれどれ、俺が見本を見せてやろう」
投網なら、中学時代に何度か試したことがある。
日本式に張った右肘に網の端を引っかけてぶん回し、華麗に網の花を開かせた。
つもりだったが、川底に落ちたのは単なる網のかたまりであった。
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同行した隣家のプーノイが、苦笑しながら投げ方を伝授してくれる。
右肘を張るのは同じだが、カレン式では垂れ下がった網の端をさらに両手で掴み、広げるようにしながら横手からふわりと放る。
すると、網はきれいな円形に開くのであった。
生まれて初めて投網をするという客人も、むろん失敗。
ラーも数度の失敗で匙を投げ、すかさず川原宴会に突入した。
砂の上で焼酎を酌み交わす3人を尻目に、執念深い私はびしょ濡れになりながら練習を繰り返す。
ようやく、少しばかり形になり始めたあたりで、情けないことに腰が痛くなってきた。
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そこへ、一昨夜客人と見合い(?)をしたばかりの未亡人スージャが、下流で捕まえたという2メートルほどの蛇をぶらさげて宴会に合流した。
場はさらに盛り上がり、いつの間にか夕暮れである。
川岸で野ネズミ追いに熱中していた元気と雄太をとっつかまえてシャンプーを済ませ、家路をたどった。
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明日チェンマイに戻るという客人が、イタリア仕込みのトマトソース・スパゲッティの調理にかかった。
一昨夜は、チェンマイで仕入れたというチーズをたっぷり使ったカルボナーラをご馳走になったばかりである。
最初は不安定な焚き火での調理に懸念を覚えたのだが、カルボナーラはもともとイタリアの炭焼きたちが好んで作った野外料理だという話で、ワイルドかつ濃厚な味わいを楽しませてもらった。
それでも、客人にとっては満足のいく出来ではなかったらしく、今日はその雪辱戦ということらしい。
スパゲッティ好きの私とラーにとっては、嬉しい限りだ。
なによりもかによりも、足元の悪い粗末な炉端で汗をかきながら焚き火料理に奮闘してくれるその姿こそ至上のご馳走であること、言うまでもない。
すでにかなりの焼酎を飲んでいたというのに、キンキンに冷えたビアリオのうまいこと、うまいこと。
そして、自分でも驚くほど大量のスパゲッティをぺろりと平らげた。
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食後、スージャが客人に怪しげな整体をほどこす。
バキバキと盛大に骨が鳴ったらしいが、大事には至らなかったようだ。
もしかしたら、これは深慮の末の引き止め作戦だったのかもしれないのだが・・・。
その後、客人は裏庭に出て、満天の星空を飽かず眺め続ける。
薬木を漬け込んでロゼワインのような鮮やかな色に変わった村の焼酎をボトルに詰め、ささやかなお土産とした。
チョーク・ディー(幸運を)!
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これから、わが家の客人には自慢の焚き火料理を義務づけようかと思っております(笑)。