オムコイ名物・朝靄の季節がやってきた。
冬季の前触れでもある。
今朝明け方の気温は、16℃。
起き出すと、板張りに触れる足の裏がひんやりとする。
寒がりのラーが、今年初めての焚火をした。
犬たちもすかさず火のまわりに寄ってくる。
とりわけ毛足の短い純粋なタイ犬である元気は寒さに弱い。
日本の厳寒に半世紀以上も鍛えられた身としては、まだそれほでもないんだがなあ。
*
朝8時近くになっても、村を覆う靄は晴れない。
空は徐々に明るんできたものの、山並みはまだ見えないままだ。
村の雑貨屋まで買い物に出ると、全身にまとわる霧が眼鏡を濡らす。
バイクでも飛ばせば、眼鏡はびしゃびしゃだ。
つい先日、ゲストを町のバス停まで送ったときもそうだった。
子供の頃に漫画によく登場したワイパー付きの眼鏡が欲しいくらいだ。
「凄いですねえ。こんな体験、めったにできませんよお」
たくましいゲストの言葉に慰められたが、まあこれもひとつの売り物になるのだろうか。
確かに、幻想的といえば幻想的だ。
*
ふと気がつけば、8時20分。
上空の靄はすっかり晴れて、淡い青空が広がっている。
今日も穏やかな快晴。
昨日の最高気温は、27℃。
日本の秋を思わせる快適な陽気が続く。
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