今年も、マカーム(タマリンド)の実の収穫の時期がやってきたなあ。
そう思っているところに、ちゃんと買い取り業者がやってくるから、タイランドはアメイジングである(でもないか?)。
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去年は親戚連中に頼んで高所の枝を落とし、茶色の殻を割って実に張り付いた筋を引きはがし、熟れた実だけを固め袋に詰めてから業者に手渡した。
確か、キロ15バーツ前後で総計30キロくらいだったから、女将ラーのふところに入ったのは500バーツ足らずだったはず(番頭さんはゼロ)。
ところが、今年の業者はすべて自分たちでやって600バーツ支払うという。
親戚に枝落としを頼めば焼酎代はかかるし、2日がかりの殻割りや筋取りはなかなか大変な作業だった。
去年のタダ働きに懲りた番頭さん、すぐさまこの申し出に飛びついたことは言うまでもない。
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さて、約束の日になって。
2人の男衆と5~6人の女衆が、ぞろぞろとやって来た。
男衆が猿のようにするするとてっぺん近くまで登り、山刀をふるう。
落ちた枝を女衆が集めて、たわわに付いた実をもぎとり飼料袋に詰めていく。
隣家のマカームも含めて、朝9時頃に始まった作業は、午後4時頃には完了した。
裏庭には、山のような枝の残骸。
これは乾燥させると、いい焚き付けになるのである。
買い取り料の600バーツは、むろん女将が独り占めだ。
「来年も、絶対に来てね!」
業者のボスにしきりに念を押している。
そりゃあそうだろう、自分は安全な場所に寝転がって「宿の屋根に大枝を落とすな」「庭の花に気をつけろ」とあれこれ注文をつけたり、バカな冗談を言ったりしていればいいのである。
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だが、業者の方には、まだ殻割りと筋取りという面倒な作業が残っている。
わが家で獲った実は全部で10袋くらいにはなったようだが、1軒ごとに600バーツを支払った上に、大人数を使っての作業なのだから、労賃も相当にかかることだろう。
町やチェンマイの市場への卸値はキロ15バーツだそうだから、さしたる利益にはならないような気もする。
だが、最近、マカームの実は健康食品として注目されているらしいから、思わぬほどの高額で買い取ってくれる納入先があるのかも知れない。
ともあれ、こちらとしてはとても楽チンな今年の収穫ではあったよなあ。
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翌朝、宿の玄関口にそそり立つマカームの大樹を振り仰いでみれば。
まるで久しぶりの散髪を済ませたようなすっきりした姿で、朝陽を浴びているのだった。
日当りや風通しもよくなって、なんだか若返ったような感じである。
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