【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【8月15日の家庭団欒(だんらん)】

2015年08月15日 | オムコイ便り

 あ、そう言えば、今日は日本が無謀な戦争に負けた日だなあ。

 古老たちの話によれば、こんな山奥のわが村も、とりわけ無謀だった「インパール作戦」に巻き込まれている。

 チェンマイ方面からやってきた日本軍が村に駐留して、紙切れ(軍票)で食糧を徴収。

 防空壕も掘らせたらしい(探してみたが、その跡は見つからない)。

 そして、当時は数頭いた象や水牛を掻き集めて兵糧や武器を積み込み、村の衆は「ビルマ方面に案内せい」と命令されて、二晩ほど山の中を西に向かったそうだ。

 そして、そのまま彼らは戻ってくることがなかった。

 この話に興味がある方は、わが拙著『「遺された者こそ喰らえ」とトォン師は言った』(晶文社)をご参照いただきたい。

     *

 さて、それから70年ほど経ったわが村の朝は、いつもと変わらぬ賑やかなセミの声と鶏鳴で明けた。

 庭では、前に紹介したとんでもない暴君のボス雄鶏が、どういうわけか今朝は一羽の雌鶏と数羽のひよこと一緒に行動している。

 雌鶏が懸命に土を掘り起こしてひよこに餌を与えているかたわらで、それを見守るように付き添っているのだ。



 時にはひよこの方に顔を向け、「こらこら、遊んでないでちゃんと餌を食べなさい」とばかりに世話を焼いているような気配を見せることもある。



 おいおいおい、一体どうしたんだあ?

 前回の記事では、番頭さんが初めて見かけた「ヒナが彼の背中に乗って遊んでいる」とシーンを紹介したのだが、あの経験を通じて、本当に父性愛に目覚めてしまったのだろうか。

 それとも、今日が8月15日だということを知っているのだろうか。

    *

 ともあれ、この暴君がしきりに雌に襲いかかったり、餌やりの時に寄ってくるヒナを蹴散らしたり、垣根を越えて近隣の雄鶏どもと仁義なき争闘を繰り広げている様を見るよりも、こちらの方がずっと心安らぐというものだ。

 家庭団欒こそ、平和の象徴。

 たとえ、隣人たちや女房殿がどんなに理不尽なことを宣(のたも)うても、喧嘩はいけません、喧嘩は。

 せめて、今日一日だけも。

 ねえ、ご同輩?

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