3男ポーの“夏休み出家”の相談に、寺におもむいた。
ところが、30分後に合同剃髪の儀式が始まるという。
儀式用に米やハサミや花を用意しなければならないのだが、時間がない。
あたふたしていると、顔見知りの高僧が「代用品で済ますから問題ない」と言ってくれたので、ホッとした。
誰だ、「金曜日は日が悪いから、きっと来週の月曜日だよ」なんて言ってたいい加減な母親は!
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寺の正面入り口前に椅子がずらりと並べられた。
そこに父母が座り、各自が用意した米や花やハサミを銀色の器に入れ、若い僧がその上に白い修行着を載せる。
高僧に呼び込まれた少年たちが、それぞれの親の前に正座した。
ポーはラーの前に座り、私は父母を亡くしたという大柄の少年の親代わりを務めることになった。
高僧の合図で、少年たちが親に向かって三拝する。
そして、親が順々に子供の髪を少しだけハサミで切る。
私の前に座った少年は、ひとりだけすでに頭を丸めていたので、私の仕事は彼に修行着を手渡すだけという手持ち無沙汰なものになった。
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親から修行着を受け取った少年たちが、僧房の方に移動した。
髪をシャンプーで洗い、若い先輩僧から剃髪をしてもらうのである。
ところが、髭剃りの切れ味が悪いのか、なかなか剃れない。
それを強引に剃ろうとするものだから、青々となった少年たちの頭のあちこちからに血がにじみ出す。
ポーなどは、泣きそうな顔になって歯を喰いしばっている。
「まあ、これも修行のうちだ。我慢せえ」
ところが、後からやってきた年輩の僧がやると、スイスイと剃れる。
切れ味が悪いのではなく、若い僧たちの腕が悪かったのである。
とりわけ、ポーを担当した太った僧の腕が一番不慣れだったようで、年輩の僧が4人の少年の頭を軽々と剃り上げたあとに、ようやくポーの剃髪が終了した。
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体を洗った子供たちが、僧房で白い修行着に着替えて元気に飛び出してきた。
青々と光るクリクリ頭が瑞々しい。
今後、何日間寺で修行を積むのか、それは少年たちの志と忍耐力次第、ということだそうな。
このあと、5~6人の青年とひとりの年輩者の剃髪が続いた。
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別れ際に、ポーが家に残した貯金箱のことをしきりに気にしている。
「こらこら、せっかく修行するのだから、お金のことなんかきれいさっぱり忘れなさい」
「だって、僕が出家するのは、お金がたくさん貯まって早くパソコンが買えますようにと仏様にお祈りするためなんだよ」
「・・・」
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ちなみに、
ポー君は上の写真の、左から二人目ですよね?
違ってましたら、ごめんなさい・・・
いつも、応援ありがとうございます。確かに、左から二人目がウチの“なまぐさ小坊主”です。おや、後ろでは親バカの誰かさんがオロオロ、ウロウロしていますねえ。