晩飯は、昨日の収穫物である竹の子を使って、ラーがゲーンカブワッ(豚骨ベースかゆ状スープ)を供した。
その中には、TさんとYさんが掘ってくれた細い竹の子も混じっている。
実は、昨夜の調理を約束していたのだが、時間の関係で作れなくなってしまったのである。
Tさん、Yさん、本当にごめんなさい。
とりあえずのつまみは、日本からのお土産であるエイひれ。
卓袱台の上には、いつの間にやらビアチャン、村の薬木入り焼酎、そして以前ゲストから頂いた秘匿の「久保田」までが林立している。
調子に乗ったラーが、女性陣のお土産であるオーストラリアワインまで並べようとするので、これは二日酔い防止のために辛うじて制した。
そこへ、さっきから焼酎を相伴していた隣家のプーノイが乗り出して、カレン正月に間に合わなかった日向さんを歓迎する糸巻きの儀式を行うと言いだした。
普段の行状から私自身はあんまり信を置いていないのであるけれど、彼は一応モーピー(霊医・霊占師)を商いにしているからして、明日の釣りにはいささかの効力が生じるかも知れない。
とりあえず、厳粛な雰囲気のうちに儀式は終了した。
*
福岡でタイ語を学んでいるという日向さんに「アチャーン(師)」と呼ばれ気が大きくなったのか、酔ったプーノイがやたらと喋りまくる。
いつの間にか、ミスターOKも座に加わってしきりに話かけるので、うるさくて仕方がない(写真の竹の子は彼が掘ってきたものだ)。
と、今度はそこへプーノイの女房メーソイが乱入してきた。
プーノイは、そそくさと席を立って逃げ出し、庭に放置してあったホースにつまずいて転んでしまう。
そういえば彼は、夫婦喧嘩から逃げ出してわが家に避難していたのだった。
そんなプーノイを、ラーがからかいまくる。
彼らの献杯を律儀に受けながら、日向さんはこの馬鹿騒ぎをニコニコしながら見守っている。
メーソイは、その優しい笑顔と大らかな物腰にすっかり惚れ込んでしまった様子だ。
「まるでお坊さんのように立派なお顔だねえ。クンターもいつもニコニコしてたら、もっとハンサムになるのに」
うるせえやい!
こっちは、さっきから失礼がないかとハラハラのし通しなんだぞお。
かくして、収拾のつかない狂乱の夜が更けていったのだった。
ナッケー(カレン語で困ったもんだ)!
(続く)
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この太いタイプの竹の子、先日こちらのファーマーズマーケットで購入しました。
なので心置きなく私達の掘った竹の子を食べてくださいね!
料理し損ねた竹の子は、お二人の名前を書いて(嘘です)塩漬けにして保存してあります。来年まで保つそうなので、食べていただく機会があるやも知れません。