一ヶ月の長期休暇を利用して、タイ、ラオス、ベトナムなどを回る予定だという。
タイ旅行は初めてなのだが、クーデター騒ぎのバンコクはパスしてチェンマイに2泊。
3日目の朝に、オムコイ行きのバスに飛び乗った。
山岳民族に興味があり、わがブログは出発前にチェックしていたのだそうだ。
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初日の晩飯は、ゲーンケー。
豚骨ベースの薬草スープ(北タイ料理)である。
実は麻里子さん、夕方の散歩でクリスチャン寄宿舎の生徒たちと仲良くなり晩飯に誘われたのだという。
番頭さんは腰痛がひどくろくに案内もできなかったのだが、なかなかに活動的な人で安心した。
翌朝は、ちょうど水曜市の開催日。
買い物に出かけるラーとバイクの二人乗りで、町に出撃していった。
市場では豚肉の串焼きなどを試したといい、戻るとおみやげに買ってきた完熟マンゴーを皮ごとかじっている。
東南アジアの旅が初めてだとは、とても思えないたくましさだ。
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午後になると、先日のお祓いですっかり体調を回復したラーが村はずれの滝に案内した。
戻ってくると、ラーがソムダム(パパイヤサラダ)風のキュウリ&トマトサラダを供した。
辛さにはさほど強くないのだが、ベースに使ったパーラー(川魚を塩と米に漬け込んだ発酵食)の味がことのほかよろしいという。
そこで、晩飯のおかずはカレン料理のナムプリックパーラー(唐辛子味噌に野菜を浸けて食す)に決まった。
晩飯どきに顔を合わせると、肩や二の腕が真っ赤に日焼けしている。
訊けば、およそ2キロほど離れた町まで歩き、そのあとは元気のガイドで川向こうの棚田も眺めてきたそうである。
その元気さに比して、番頭さんの腰痛はますますひどくなり、おまけに胃の調子までおかしくなってきた。
応対はラーに任せて、晩飯も食べずにふとんに横になった。
カントーク(籐編みの卓袱台)を置いた母屋のテラスからは、楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
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朝食の支度ができても、麻里子さんの姿が一向に見えない。
戻ってきたのは、10時前だった。
訊けば、村の入り口にできた網焼き屋でルクチンムー(豚肉つみれ団子)の串焼きなどを試していたところ、若い衆にビールを勧められたのだそうだ。
言葉はまったく分らなかったというが、大いに話が弾んで(?)グラスも重なったらしい。
それでも、朝食のトムソムプラー(レモン味魚スープ)をしっかりと平らげてくれた。
午後からは、ラーと一緒に竹の子掘りへ。
合間に、360度の山並みが眺望できる高台や古い竹橋を渡る定番のミニトレックコースも巡ったという。
ラーが撮った高台でのツーショット写真を見ると、雄太の奴め、デレデレである。
誰に似たんだろうなあ、まったく、もう。
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晩飯のおかずは、ラー特製プラーニンの唐揚げ。
これにからめるウコン、生姜、ニンニク、トマトなどを搗き込んだタレが絶妙にうまいのである。
チェンマイでは無難な屋台料理やオーガニック料理を食べてきたという麻里子さん、「ラーさんの料理は、何を食べてもおいしいし飽きませんねえ」と喜んでくれた。
食後、ぽつん、ぽつんと飛来する蛍を眺めつつ今後の旅の話などをしていると、彼女が突然立ち上がって、蛍光灯の下の板壁に素早く手を伸ばした。
「わあ、タイのヤモリは動きが素早い。逃げられました」
なんと、ヤモリを捕まえようとしたのだった。
訊けば、海辺にある実家に戻るといつもヤモリを捕まえて遊んでいるのだそうな。
灯りに寄ってきた大小の虫を襲うヤモリの補食活動を興味深げに眺めるゲストは多いが、これを素手で取っ捕まえようと試みたゲストは初めてである。
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ところで、朝8時のバスでチェンマイに戻るという麻里子さん、宿代を精算するまで4泊したものと思い込んでいた。
だが、いくらノートをチェックしても3泊である。
「すっかりリラックスして、日にちの感覚もなくなってしまいました。もっとこの村にいたいけど、そうすると先に進めなくなりそうなので。名残惜しいですが、チェンマイに戻ります」
宿の前で記念撮影を済ませ、すっかりなついてしまった元気、雄太、ワイエッ(居候犬)の頭をそれぞれ丁寧に撫でてから、ラーの運転するバイクにまたがった。
オーマーチョーパー!(カレン語でグッドラック)
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なにしろ、超豪華オンボロバスですから、同じ腰痛持ちとして、お気持ちお察し申しあげます。でも、マッサージ効果も期待できるかもしれませんよ(笑)