【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【朝からドタバタ騒ぎ】

2010年05月23日 | オムコイ便り
 昨夜9時半ごろにふとんに入ったせいか、今朝は5時前に目が覚めた。

 もうひと眠りしたいところだが、ラーがウオーキングに行こうというので仕方なく起きだした。

 コーヒーを飲んで「じゃあ、行くか」と声をかけると、「また雨が降りそうだからやめよう」と動こうとしない。

「あのなあ・・・」

 オムコイの嫁と空は、相変わらず気まぐれである。

     *

 このところ、朝の時間がなんとなく物足りない。

 「なんでかなあ」と考えてみたら、気温があがって焚き火をしなくなったからである。

 コーヒーも、ガスで沸かすようになった。

 起き抜けに枯れたマンゴーの枝をぽきぽきと折り、七輪に火を熾してゆっくりとコーヒーを味わっていた寒い時季が、妙に懐かしい。

 ガスだとあっという間に湯が沸くから、コーヒータイムがなんとも味気ない。

 さて、時間はたっぷりある。

      *

 雨季に入って、蚊や妙な虫がやたらに増えてきた。

 昨夜などは、晩飯の最中に突然、4本羽の黄色い巨大な羽蟻が無数に乱舞し始めた。

 あわてて電気を消して店のシャッターを閉めると、すぐに雨が降り出した。

 すると、無数の羽蟻が嘘のようにその姿を消してしまった。

 雨の気配が彼らの乱舞を招いたことは間違いないようだが、これは一体どういう意味を持つのだろうか?

 それはともかく、店の床にはちぎれた羽が散乱している。
 
 店の奥に積んだ荷物の隅が蚊の隠れ処にもなっていることもあり、朝飯前に大掃除を敢行することにした。

 荷物を動かし始めると、大量の蚊がワッと舞い上がる。

 ついでに、反対側の隅に積んでおいた米袋を動かすと、大きなネズミが飛び出して冷蔵庫の下に逃げ込んだ。

 “ネズミ穫り名人”の3男のポーが素早い動きで追跡を開始したが、姿が見当たらないという。

 コンクリート床には、ネズミが食い荒らした籾殻がうずたかく積もっている。

「ずいぶんと喰われちまったなあ」

 わが家には高床式の米蔵がないので、しばしばこういうことが起きる。

「ポー、ネズミ穫りの仕掛けはどうしたんだ?」

「以前はよく捕れたんだけど、最近はネズミも賢くなってなかなか捕れません。なにか、新しい手を考えないと」

 名人が言うと、妙に説得力がある。

「とにかく、早く精米に出してしまいましょう」

 ラーが、きわめて現実的な解決案を示した。

 わが村では、収穫後に脱穀した米を保存しておき、食べる前に一定の量だけ乾燥させて精米に出す。

 米の味を保つためだが、この籾殻付きの保存がなかなか難しいのである。

     *

 そこへ、甥っ子のジョーがやってきた。

「昨夜もすごい雨が降ったから、柱用の丸太をそろそろどうにかした方がいいと思います」

 そのことについては、昨夜われわれもふとんの中で雨の音を聞きながら話し合ったばかりだ。

 乾季のうちに家を建て替えるつもりが、思わぬ「家出」のせいで、ついつい時期を逃してしまった。

 家の庭に積み上げている10数本の丸太は、すでに何度も雨をかぶっている。

 すぐに床下に動かしたかったのだが、この丸太、5~6人の若い衆がふらふらになって運び出したほど重い。

 屈強な人手が揃わないと、おいそれとは動かせないのである。

「今日は日曜日だから、なんとか人が集まるかもしれません」

 労賃の相談を済ませたあとで、ジョーがすぐに店を飛び出して行った。

 やれやれ。

 ジョー様々、である。

     *

 店の大掃除がひと段落すると、全身がかゆくなってきた。

 見ると、両腕や首、背中、足などに無数の赤い咬みあとがある。

 ラーも、あちこちを掻きむしっている。

「なんだ、これは?」

 どうやら、荷物や米袋の陰に潜んでいた何かに襲われたようだ。

 しかし、その姿はおろか気配さえ感じなかった。

「もしかしたら、蛾のようなものが毒粉を撒き散らしたのかもしれない」

 ラーが推理するが、あとの祭りである。

 水浴びをしようとすると、洗濯篭の陰からさっきのネズミが飛び出してきた。

 再び捜索に入ったが、やはり姿は見えない。

 2匹の飼い犬たちも捜索に駆り出したが、匂いを嗅ぎながら店の中を右往左往するばかり。

 溜め息をつきながら水浴びを済ませ、山奥のおばばが売りにきたハーブ入りの緑色の塗り薬を互いの全身に塗りたくった。

 村の暮らしは、なにかと忙しい。

☆応援クリックを、よろしく。
タイ・ブログランキング人気ブログランキングへ

 

 

 
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【チェンマイ駅前騒動】 | トップ | 【若い衆の丸太運び】 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (なかちゃん)
2010-05-23 14:41:24
クンター様
ご無沙汰しておりました。
オムコイでのドタバタした日常、なにげに羨ましかったりもしております。(かなりかな)
先日、久し振りにネズミに遭遇致しました。横浜にもまだまだいるんだなぁなんてちょっぴり嬉しくなりましたね。子供の頃住んでいた九州の山奥ではネズミは勿論の事イタチ等もしょっちゅう見かけたんですが最近ではどうなんでしょうね...。

甥っ子ジョーさんは家族想いで気が利いて働き者、早くいいお嫁さんに来て貰いたいですね。あんまりモタモタしてると遠く日本から長髪のカツラを被ったハーレムキングが嫁ぎに来ちゃうぞ!ってお伝え下さいね。

...うふふ(*^.^*)まんざら嘘でも無かったりして...ウフ~ン。
返信する
白蟻 (鈴木ซูซูกิ)
2010-05-23 17:22:57
確か王様蟻候補の白蟻が羽蟻化して一斉に飛び女王を射止めるんじゃなかったかな?
羽が落ちた白蟻を素揚げにして食べると美味しいそうです。
返信する
ジョーと羽蟻 (クンター)
2010-05-24 12:57:09
なかちゃん

 なかちゃんも九州出身でしたか。私は熊本ですが、オムコイは子供の頃の農村風景に似通っています。女装でのお越しを、ジョー共々心からお待ちしております。ところで、お店の方は順調ですか?

     *

鈴木さん

 なるほど、あの乱舞は女王様をめぐっての空中争奪戦だったんですね。以前、ナンプラーで煮込んだ羽蟻を食べましたが、見かけも味もひじきの佃煮にそっくりでした。
返信する
Unknown (なかちゃん)
2010-05-24 16:20:10
クンター様
僕も生まれてから幼稚園までは熊本です。その後福岡、大分等転々としておりまして高校から神奈川の方に越して来て現在に至っております。(^_^;)

お店の方はなんとかギリッギリの所を綱渡りしてる感じですかね。経営の方、またお店のタイ人女性との事等、全てにスリル?を味わいながら毎日過ごしている感じです。それでも大分落ち着き始めてきたといったところですかね。

今日はハンカチ忘れてしまったのでまた後日語らせて頂きます。...っていうか聞いてくださ~い!(TOT)
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

オムコイ便り」カテゴリの最新記事