
「あんなに愛らしい野ネズミたちが、どんな姿に変わって悪逆非道な人間共の胃袋に収まるのか。それを思うと、夜も眠れない」
全世界から、そんな問い合わせが殺到した。
むろん、真っ赤な嘘である。
だが善良な読者の中には、昨日の写真にショックを受けて悪夢にうなされた方々がいるかもしれない。
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今朝、悪逆非道なわれわれはその野ネズミを実においしく頂いた。
まずは、女将のラーが庭から里芋を掘ってくる。
竹串に刺され焚火で丸焼きにされた野ネズミたちは、ご覧のようにさらに愛らしい姿で台所の天井に常温保存されている。

大振りの山刀で、これをぶつ切りにする。
皮を剥いた里芋を煮込み、少し柔らかくなったところで野ネズミを投入する。
この間、小臼にウコン、ニンニク、ホーンデン(ミニ玉ねぎ)、乾燥赤唐辛子、ガピッ(カニ味噌)、パーラー(小魚を発酵させたもの)などを順次投入し、すりこぎに似た搗き棒でコンコンと搗く。
先の具材が煮立ったところで、この搗き合わせた調味料を一気に投入し混ぜ合わせる。
庭から採ってきた苦味のある緑野菜を入れ、火を止めてから最後に刻んだ香菜を入れてできあがり。
まあ、こんなことを書いても誰も野ネズミ料理に挑戦しようなどとは思うまいが、このようにそれなりの手間ひまをかけて、愛らしい野ネズミ様たちの命に失礼のないような料理に仕立て上げているわけなのである。
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昨日はあっさりと「肉の味はほぼ鶏肉」なんぞと書いたが、一日置いてみるとちょっと匂いが強くなっている。
パーラーのせいか、スープにもちょっと癖がある。
日本人の味覚ではすぐさま「うまい」という感想は出てこないだろうが、まあ、さほどまずいものでもない。
とりわけ、私なんぞは大の里芋好きだから、ちょっと癖のあるスープに馴染んだとろりとした里芋の風味を十二分に楽しむことができた。
なにせ、昨日は獲れたての野ネズミの屍骸やら丸焼きの様子、それに今日はホラー映画にでも出てきそうな常温保存の様子を掲載したから、「ゲテモノ」と見る向きもあるに違いない。
だが、これらは村の衆にとっては貴重な栄養源であり、かつてはビルマとの国境沿いの山奥を移動しながら狩猟採取活動を行ってきたカレン族の伝統的自給自足活動の一環なのである。
そして、今なおこうして野ネズミ獲りが子供たちの間にも伝わり、家庭料理の一つとして受け継がれていることを知ってもらうために、敢えて紹介した次第だ。
オイテテ!(カレン語でおいしい)
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ラーが大晦日用に1匹キープしております。ご安心下さい(笑)。ところで、今回は何泊の予定でしょうか? 分ったらメール、くださいませ。
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ishiさん
思えば、私もいろんなものを食べさせられました・・・。