【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【今度はカイワッヤイ】

2010年08月14日 | オムコイ便り
 一昨日から、3男のポーが頭痛と目まいと喉の痛みを訴え始めた。

 深夜には熱が39℃近くまであがり、「すわ、デング熱か?」と大騒ぎ。

 頭を冷やし続けると、翌朝には37℃までさがった。

 「ただの風邪かなあ」

 本人もラーも、「マイペンライ(大丈夫)」と言い張るので、様子を見ることにした。

 なにせ、12歳なのでいくら寝ていろと言っても、じっとしてはいない。

 昼過ぎには、いつの間にか姿が見えなくなってしまった。

     *

 夕方、ラーに拉致されて店に戻ってきたポーが、ふとんに倒れ込んだ。

 熱を測ると、39℃。

「この子ったら、みんなと一緒に走りまわっていたんだよ。まったく、あれほど静かにしてろっていったのに」

 喉の痛みがあるから風邪だろうが、デング熱との併発では洒落にはならない。

 すぐに、病院に走った。

     *

「頭痛、高熱、喉と鼻腔の腫れ。これは、カイワッヤイですね」

「カイワッヤイというと、新型インフルエンザですか?」

「新型かどうかは分かりませんが、それほどの重症ではないと思います。たぶん、4~5日は熱が続くでしょうが、さほど心配はありません。念のために入院してもいいし、家に戻っても結構ですよ」

「点滴は必要ないんですか?」

「とりあえず、飲み薬でいいと思います。それに、今夜は満室ですから、廊下で寝てもらうことになりますが」

 また、廊下か。

 ラーの顔を見ると、

「家に連れて帰ろう」

 即答した。

「それじゃあ、本人にはマスクをさせて、家族はあまりそばでしゃべらないこと。食事の前には、必ず石鹸で手を洗ってください。もしも、症状がひどくなったら、すぐに病院に来てくださいね」

 最後の決め台詞は、もちろん「マイペンライ」である。

      *

「兄ちゃんや友だちには、カイワッヤイって言わないでほしい」

 店に戻るクルマの中で、ポーがそう言い出した。

「どうして?」

「だって、“なんでそんなもんに罹った”ってからかわれるから」

「バカなことを心配するな。兄ちゃんだって、デング熱に罹ったんだから。それに、ちゃんと病気のことを教えないと、兄ちゃんや友だちに移るかもしれないんだぞ」

「だから、ひどい風邪だからそばに寄るな、ご飯の前には手を洗えって教えるだけにしてください。お願い!」

 やけに、必死である。

 おそらく、彼なりのプライドの問題なのだろう。

「よし、分かった。その代わり、数日はおとなしくして早く治すんだぞ」

「クラップ(はい)!」

     *

 店に戻ると、病院に行って安心したのか、ポーが空腹を訴え始めた。

 少年は、元気である。

 そこへやってきた次男のイエッが、ポーの懸念どおりあれこれ構い始める。

 手洗いやうがいの励行などを注意すると、

「あ、それってカイワッヤイなんじゃないの?」

 さすが、15歳である。

 それでも、彼なりに心配しているのか、ポーのそばから一向に離れようとしない。

「イエッ、さっさと飯を食って、早く家に帰れ。病気が移るぞ。お前さんも病み上がりなんだから。なにしろ、デング熱なんだからな。デング熱、デング熱。なあ、ポー?」

 ポーが、嬉しそうに笑った。

      *

 その後、昨夜から今朝にかけてポーの熱は37℃前後で落ち着いている。

 家族にも、それらしい症状は出ていない。

 困ったのは、土曜日ということもあって、友だちが入れ替わり立ち替わりポーの様子を見にくることである。

 かと言って無碍には追い返せないし、いちいちうがいや手洗いを注意するのも面倒だ。

 さりとて、村中にインフルエンザが流行っても困る。

 少年のプライドと、感染蔓延への危惧。

 うーん、どうしたもんか・・・。

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