【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【花棚の新スター】

2014年05月15日 | オムコイ便り

 2週間ほど咲き誇った踊り子蘭が、そろそろ花期を終えようとしている。
 
 大きな髪飾りをまとい、艶やかなスカートを翻して片足を蹴上げるようにして舞い踊っていた踊り子たちが、生気を失い次第に萎れてゆく様を見るのはなかなかに辛いものだ。

 だが、盛者必衰、新旧交代は世の常である。

 その寂寥感を慰めるように、わが花棚の舞台に新たなスターたちが登場した。





 濃い黄色と純白と高貴な紫色が見事な諧調をもって配された花芯。

 そして、純白の先端に紫色が配された清楚な花びら。

 風に揺れると、何か珍しい生きものが優雅に空を舞っているようにも見える。

 女将のラーに訊くと、例によって名前は分らないという。

 ただし、ノックなんとかという鳥から名前をとった蘭があり、それかもしれないねと首をひねった。

 その説明とジェスチャーによれば、色鮮やかな大きな冠のようなものが頭部にあり、羽も原色の鮮やかさ、同色の尻尾は長く垂れたようになっている。

 うーむ。

 それは、土佐の尾長鶏かい。

 まさかねえ。

 つい先日、還暦プラス・ツーとなり、脳細胞死滅の度合いがますます高速化している番頭さんが他に思いつくものといえば、鮮やかな色彩をもつオウムの類ぐらいなものだ。

 しかし、この花はむしろ清楚なイメージが強く、そんなにけばけばしい色の、しかも女将のようにうるさい鳴き声の鳥とはちょっと結びつかない。

 うーむ。

 まあ、いいや。

 どっちみち、詳しく調べる気なんぞないのだし、踊り子蘭同様に勝手に名付けることにしよう。

 そう思って、改めて花棚の前にしゃがみ込んでみたのだが、うーむ。

 どうにも形容しようのない色合いと形なのである。



 おーっと、またまたプチプチと脳細胞が死滅する音が聞こえる。

 無理をすれば、おつむに悪い。

 きれいな花と女性については深く詮索せず、ただうっとりと眺めているに如くはない。

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