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農政改革、頓挫  「微妙な時期」が米麦日報6月26日号に載っている

生産調整、5種類のシュミレーションで全国縦断ツアーをしている最中の6月3日経済財政諮問会議で、石破大臣は生産調整に言及しなかったことで、およそ、自民党内の生産調整議論は終了。
「生産調整強化」が、自民党マニフェストに出てくるのかもしれない。
23日の自民党、骨太2009でも生産調整には触れずじまい。
こんなことから、「特命チームは死んだ」ともいわれていたが、どっこいこれはこれで意義がある。
私は包括的に議論している中で、政策決定プロセスの課題を残したのはよかったと思っている。ただ、多くの人々には、二次シュミレーションが出ないままでは中途半端と映ることは確か。
そんな中、米麦日報が『農政改革頓挫』、「針原チーム長大臣に弱音を吐いた」が記事になっている。



以下米麦日報6月26日

農政改革、頓挫  「微妙な時期」

 農政改革は頓挫した一一としか言いようがない。内閣府の6大臣会合(農政改革関係閣僚会合)磨下に設けられた特命チーム(チーム長=針原寿朗農水省大臣官房総括審議官)は24日、第12回会合を開き、休止していた論議を再開した0特命チームは論議をとりまとめた「農政改革の検討方向」を去る4月17日に6大臣会合に報告・この検討方向に沿って具体的な政策案を示すよう農水省に指示(いわゆる”宿臥)して、いったん休止していた02か月ぶりの再開となった今回の会合では、農水省の〝宿題返し〝を吟味する場となるはずだったが、その内容に、肝心の「米の生産調整の問題」がほとんど欠落していた0与党の圧力その他の”環境の悪化〟は誰しも知るところで、暗黙のうちに委員は誰もこの問題に触れようとせず、真正面から切り込んだのはアドバイザリーメンバーの大泉一貫氏(宮城大副学長)くらいのもの。「一応」公式には論議を再廃したことにはなったが・〝ゴール〟(とりまとめ)が8月なのか9月なのか(衆院選前なのか後なのか)全く判断できない状況で、「農政改革が頓挫した」ことだけが確定した恰好だ。

「米政策改革に戻るのが自然」
 この日の会合に農水省が提出した「農政改革の検討状況」なるペーパーは、特命チーム
「農政改革の検討方向」という宿題に対する答で、場合によっては「細かすぎるところも
ある」(針原チーム長)はど詳細なもの。ところが肝心な、「世間的にも関心の高い」分野となると、上表の通り途端に尻込みしたような内容となった。
 これに対し委員(各省庁)は、「腫れ物に触るような」態度。先の「骨太の方針2009」に
盛り込まれなかったことからも状況が明らかだからか、他の分野の「出来」を称揚したり
注文をつけたりということはあっても、特に米の生産調整には一切ふれなかった。3人の
アドバイザリーメンバーのうち、まず問い質したのは中村靖彦氏(東農大客員教授)だっ
たが、「確かこのチームが始まったときに、8月のとりまとめに向けて検討との方針だった
はずで、それは恐らく来年度予算の概算要求をにらんだものだと思うが、現在が『微妙な
時期』だけに、この当初方針は変わっていないのか。むしろ政治状況が落ち着くであろう
9月の段階を想定した方がいいのではないか」という迂遠なもの。応じた針原チーム長
も「チームの方針は、『基本方向を、夏までを目処に』だった。それは概算の指針となるべ
きものが基本となっていた。9月も含めたキチンとした内容のできる時期にとりまとめを、
という考え方も分かる。最終的には基本計画に結実させるのだから、ともかく内容が大事」
とうい歯切れの悪い答え方になった。
 こうしたなか、唯一真正面から切り込んだのはアドバイザリーメンバー大泉氏の発言だ
った。          
論議も最後になってからの発言になったのは単に到着が遅れたからにすぎない。「やはり最大の関心事は米、生産調整だろう。要は国際ルールと整合性を持った保護の仕方だ。かつての緊急対策は、何しろ”緊急〟なのだから、いくら何でももう終わっているのだろう。となれば元に戻るのが自然だ。米政策改革に戻るのが普通。ちょうど『生産者・生産者団体が主体となった新たな需給調整システム』への移行(いわゆる”主役交代〝)期だったが、そこへ戻る気があるのか。それともあれはお蔵入りなのか」。針原チーム長は「非常に示唆に富む発言。深く受け止めて対処を」と農水省に求めたが、少なくともこの時点で農水省は誰も答弁に応じていない。
 針原チーム長は今後の論議を、「幅広い内容で1つひとつやっていては時間がかかりすぎ
る。メリハリをつけたい」として、「先に議論すべきと考えられる項目」を、①関係省庁と
の連携の下に検討すべき項目と、②新しい発想の下に、時間を要する作業が必要となる項
目、の2グループに分けて議論する方向性を提案、了承された。しかし終了後、記者団に
囲まれた針原チーム長は、この2つのグループに「米や生産調整の問題は含まれない」と
明言している。農政改革は頓挫したとしか言いようがないわけだ。

「政権かわれば枠組みも変わる?」
 終了後の発言で針原チーム長は、生産調整問題を「あくまで第2次シミュレーションの
結果を踏まえて検証、分析すべきもの」とした上で、特命チームとりまとめに含めるか否
かは「これからの検討なので私からは何とも言えない」とした。したがって、まずは第2
次シミュレーションが先決なわけだが、「数式が確定していない。8階層(規模)別の生産
額を弾き出すと、反応の仕方が変わってしまう。過去のデータを見たり、鈴木モデルを改
良しながら、しかも財政負担額を入れるという神をも恐れぬものを出していこうとしてい
るのだが、難航している」とし、分析結果の提出が遅れそうだと「大臣には弱音を吐いた」
と吐露した。
 また特命チーム論議の今後について、「結論を出すのが選挙後かも含めて、このチームで
議論しないといけないかもしれない」、「首相の指示は『夏を目処に』だった。上司と部下
の関係で言うと、『もう少し時間をくれ』と上司に言うことはありうる」、「内容と時期、両
方とれないから、内容をとると今日、チームに投げかけた。時期をとれ、とインストラク
ションが出たら、まとめないといけないが、その際はチームにも投げかける」などとする
一方、「そもそもこのチームは首相が作ったもの。枠組みなのなのであって、崩れた場合は
次の政権が判断すべきもの」ともしている。

「また米だけが取り残された」
 とはいえ米の生産調整が欠落していることを除けば、委員らが指摘した通り、今回の宿
題返しは総体に評価が高い。例えば現在、政策目標としての「自給力」は、「カロリーベー
スあるいは生産額ベースの食料自給率」で示しているが、国民の認知度が高い反面、「数字
だけが一人歩きしている」、「農業政策の目標としては不十分な性格」との指摘がある。こ
のため今回の宿題返しでは、「補完的に、農業生産の構成要素である農地・人・技術の要因
変化によって農業生産がどのように変化するかを示す指標を開発する方向で検討を進める」
としている点が高く評価されている。この「自給率を補完する新たな農政指標」は、現在基本計画を論議している食料・農業・農村政策審議会企画部会で検討する運び。
 ただ、他の政策要素の出来が艮ければ良いほど、「またもや米、生産調整だけが取り残さ
れてしまったか」と慨嘆する識者・関係者は数多くにのぼっている。
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