今日の一貫

食料・農業・農村基本計画(平成22年)へのコメント

「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定された(10年3月30日)。

末松政策課長より、報告書が送られてきたので、ザーと目を通した。
なかなか意欲的な内容となっている。
政策転換にも触れており、民主党色のよく出た政策となっている。

若干のコメントを書いておこう。

Ⅰ 新基本計画の特徴 ←以下の項目は評価に値するもの
① 再生産可能な経営の確保をうたっている
  農業所得、農業産出額、付加価値の生産が重要とされている←これが政策上の目標となっているかは不明
② 新たな農業保護への移行をめざしている
  市場価格維持政策から直接所得補償政策へ
③ 生産抑制から生産拡大へをあげている
  生産拡大と付加価値を高める政策をとる
④ 経営や産業を重視している
  意欲ある多様な農業者の育成確保5Pによる農業経営の推進の重視25P
  六次産業化の重視
  集約部門の重視、輸出の重視、連携(フードチェーン、生産加工販売の一体化)の重
  視、農業所得向上を目標、
⑤ 集団的政策執行から個の時代の政策執行への改革を掲げている
  政策改革と団体再編と補助金のルート
⑥ 食の安全の一層の重視と農業をフードチェーンの中に位置づけた再編策を謳っている

Ⅱ 新基本計画の過渡性 ←この項目は問題があると考えられるもの
① 自給率維持目標が大項目に上げられている
  50%へと言う意欲的なものだが、書きぶりは、穏健、
  自給率の構成要素にブレークダウンし、努力の方向を書いている←これは評価
過去の基本計画の反省が書かれていない。なぜか?
  過去の議論が反映してないように思われる。←民主党に押されてしまったか
② 需給調整が語られている 米価維持に配慮か?
③ 市場に対する言及が弱い、消費者とは言うが顧客とは言わない
  行政の主体的役割が強調され、市場との関係での課題が整理されてない
④ 小規模農家との関係、農業における経営者や産業のイノベーターとの役割の違いへの政策的位置づけが弱い。現状の人材の枯渇や知の萎縮への積極的対応がみられない。企業参入の弱さ
⑤ FTAやEPAへの対応が不明確

Ⅲ 新基本計画の性格
  自民党政権末期の特命チームのロジックを継承しつつ、民主党の特色を充分に出した計画、民主党独自の特色として以下の2点
① 「保護と成長」の新たな世界を作り出した点
  「保護」の問題は直接支払
    選択減反への移行 評価にあたいする。
    米価維持との関係は?不透明←政治的判断か?
    直接所得補償に内在する問題や、制度の発展形があるのかないのか?
      →これらは我々が論評しないといけないのだろう。、
  「成長」の課題は、
    連携軸がうまくいくのか?
    輸出等も含めた新たな市場創造の可能性は?
    実施主体の不明確さ(特に農業内部)
② 農政執行過程での団体との関係を整理
  今後どうなるかはまだ不明だが、政策執行過程での団体のあり方は、政策の透明性を高める観点からも今後ますます整理されていくのではないか
  単なる自民党の選挙基盤崩しか、政官業のトライアングル構造にメスを入れようとしてるのか?不明
③ フードチェーンの構築や六次産業化を語っている点
  この点に関しては、例えば、農商工連携や食農連携との違いは不明だし(私は同一のものと考えているが、,)、フードチェーンに関しても、自民党政権下でも、よく言われていたことであり、どこまで民主党色かと言われればよくわからない。?の多い計画となっている。
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