あらゆる<劇場音楽>の中で僕が最も愛している音楽を語りたい。
それはミュージカル「キャッツ」の音楽のことである。
1989年、結婚して間もない僕は妻と実父(オヤジ)を連れ、昔生活したアメリカの思い出の地を見せるため、3週間の旅行をした。
ニューヨークに2週間(途中、小旅行あり)、ボストンに1週間(メーン州やカナダにも小旅行)のゆっくり旅だ。(もちろんパッケージ・ツアーではない)
これだけの旅行となれば書くことがたくさんあるのだが、あくまでプライベートな思い出なので、その中で大好きなこのミュージカル鑑賞の話を書こうと思う。
僕はNY時代、ブロードウエイ近くにアパートを借りていたので、ヒマとカネがあれば足しげくミュージカルや映画に足を運んでいた。
現地のカルチャーを勉強するためだったが、僕のセンス(好み)ではミュージカル(ダンスなど)やオペラの素晴らしさが今ひとつ理解できないでいた。ただしそれに付随する音楽には好きなものがたくさんあった。きっと僕は舞台芸術にはうといのかもしれない。
でもたった一つ、ミュージカル「キャッツ」は違った!
なんといってもアンドリュー・ロイド・ウエッバーの音楽には脱帽だ。なんという美しい音楽の連鎖。メロディーが分かりやすく、その洗練された響きになごむ。
それに擬人化したネコたちの自由奔放なダンスや振り付けにまったく違和感を感じなかったのだ。同じ時期に見た「コーラスライン」などは最後まで騒がしいだけだったのに。
3人でNYに滞在していたある日、僕はどうしても家族に「キャッツ」を見せたくて当日売りのチケットブース(タイムズスクエア)で正面の席を3枚買った。
ゴミ捨て場のセットが暗闇にフワ~っと現れると、派手にメークした<ネコ達>がステージや時には客席で暴れまわった。
父(オヤジ)は座っていた席の脇をネコ達が走り回るものだから、なんだか気味が悪いと言って一人、キャッツ・シアターを途中で出て行ってしまった。オヤジはその何十年も前にNYに来たことがあったので意外にマンハッタンの道を知っているようだった。僕らが「キャッツ」を見終えてホテルに戻った頃、一人でラウンジでスコッチを飲んでいた!
話を戻そう。
NY時代に初めて見た「キャッツ」は強烈だった。
と言うのも、座った席が普通の席じゃなかったせいもあるかもしれない。
NYのキャッツ・シアターにはステージの両袖に真横から舞台を見下ろす階段状の特殊な席があったのだ。(普通席の客からは両脇のどん帳でこの席は見えない!)
ステージ・セット裏は複雑を極め、客の見えないステージ上部にはキャストの移動用に急勾配の通路が入り組んで<吊られて>いる。歩くとグラグラと揺れる狭い空中通路がこの特別席の頭上にもあってキャッツたちが場面転換の度に僕の頭の上を埃を落としながら走り回る。
当然ながらステージは真横の上から見ることになり演出上の醍醐味を味わうのにはかなり不向きだが、それでも僕はそのエキサイティングな舞台裏とステージでの演技の両方をくまなく堪能できたのだった。
そんな第一印象の「キャッツ」。その後普通席で3回ほど鑑賞して帰国した。
そして後に家族を連れて再び渡米してみんなで鑑賞したのが「キャッツ」というわけだ。
さて、現在僕は「キャッツ」の録音・録画を5種類持っている。
1.オリジナル・ロンドン・キャスト CD
2.オリジナル・ブロードウエイ・キャスト CD
3.劇団四季 ロングラン・キャスト CD
4.劇団四季 オリジナル・キャスト CD
5.映像版 キャッツ・ザ・ビデオ VHS
これらは微妙に曲順やアレンジ、楽器編成、構成そしてもちろん言語が異なっている。
「キャッツ」の音楽をこよなく愛している僕としてはどのバージョンも素晴らしい。
それぞれに味があり、印象が異なる。
これはキャストの違いによるのが大きいわけだが、意外とバックの演奏のニュアンスが多彩なのでそのせいも大いにあると思う。
例えば有名な「メモリー」を歌うネコ:グリザベラにしてもロンドンのエレーナ・ペイジとブロードウエイのベティー・バックリーとでは歌いまわし、声量、声質などに個性が出ている。
(エレーナ・ペイジ on London)
(ベティー・バックリー on Broardway)
また、四季のオリジナル・キャスト版の久野綾希子とロングラン版の故・志村幸美では全く味わいが違う。ロングラン版はコーラス・ワークなどが完成度が高く、さすがに全体がこなれている感じだ。それにしても志村幸美の早すぎた死にはショックだった。本田美奈子とともに日本のミュージカル界の期待の星を失ったことは痛恨の極みだ。
僕はバンドマンなので演技・ダンスへの興味よりも歌や伴奏の演奏の違いを(多くはアレンジの違い)を各CDで大いに楽しんでいる。
特に英語(原語)の2種の演奏には決定的に味わいが違う。
ロンドン版はブロードウエイ版に比べ、演奏・アレンジが地味である。劇場で生を聴くように楽器編成は小さいしダイナミックスも狭い。でもこれが生に一番近い雰囲気かもしれない。上品で小粋なサウンドだ。
一方、ブロードウエイ版はゴージャスである。実際こんな充実した響きは劇場内のピットでの生演奏では望めない。
演奏もかなりのつわもの達がやっている感じだ。
そして四季版はその中間といった感じで、すべてに中庸である。
歌に関して言えばロンドン版の方が繊細で、ブロードウエイ版はパワフルかつエモーショナル&ソウルフルだ。
内容や味わいがそれぞれ違うとはいえ、何種類ものバージョンを聞き比べる楽しさは格別のものがある。大好きなこの「キャッツ」の音楽をいろんなパターンで楽しめることの幸せを感じる。
四季版はもちろん日本語版だ。時々メロディー・ラインと日本語がうまくかみ合わない部分があるがそれは仕方のないことだと思っている。時々出てくる<英単語>の発音はお世辞にも上手いとはいえないが、それも愛嬌だ。
(「メモリー」の発音を<めぇーもりー>と歌う!英語的には<メームリー>だ)
それでも子供を交えた家族で楽しむのなら絶対に四季版だ。先ほど書いたように2つのバージョンがあるがロングラン版がより生の雰囲気に近いと思う。
でもなんといってもミュージカルは映像だ! 映像をみるとCDとは比べ物にならないほどの情報量で見ている者をノックアウトさせる。
そういう意味では、イチ押しは<映像版>だろう。
ここでは偉大なミュージカル・スター、ケン・ペイジが<長老猫・オールド・デュトロノミー>を完璧に演じている。感動の力演だ。
(ケン・ペイジ on Video)
上記の5種のそれぞれの中身を細かく比較・検証するのは僕の夢だが、それはあまりの膨大な字数を必要とし、このブログ程度では記載が不可能である。
もしみなさんの中でこの「キャッツ」を楽しんでいる方がいらしたら、好きな曲や部分を知らせて欲しい。そうしたらその部分の比較を書いてみるのも一興だと思う。
最後にこの「キャッツ」に関する僕の自慢を1つ話そう。
最も派手でパワフルなバージョンである「ブロードウエイ版」・・・僕はこの版の全曲を譜面なしの通しでベースが弾けるんだ。すべて耳で完コピーしてある。
いつかブロードウエイのオケ・ピットの中の「キャッツ・バンド」でベースを弾いてみたいな、などと恐ろしく実現不可能な夢を見ているんだ。
それほど「キャッツ」の音楽は僕にとっては宝物なんだ!
それはミュージカル「キャッツ」の音楽のことである。
1989年、結婚して間もない僕は妻と実父(オヤジ)を連れ、昔生活したアメリカの思い出の地を見せるため、3週間の旅行をした。
ニューヨークに2週間(途中、小旅行あり)、ボストンに1週間(メーン州やカナダにも小旅行)のゆっくり旅だ。(もちろんパッケージ・ツアーではない)
これだけの旅行となれば書くことがたくさんあるのだが、あくまでプライベートな思い出なので、その中で大好きなこのミュージカル鑑賞の話を書こうと思う。
僕はNY時代、ブロードウエイ近くにアパートを借りていたので、ヒマとカネがあれば足しげくミュージカルや映画に足を運んでいた。
現地のカルチャーを勉強するためだったが、僕のセンス(好み)ではミュージカル(ダンスなど)やオペラの素晴らしさが今ひとつ理解できないでいた。ただしそれに付随する音楽には好きなものがたくさんあった。きっと僕は舞台芸術にはうといのかもしれない。
でもたった一つ、ミュージカル「キャッツ」は違った!
なんといってもアンドリュー・ロイド・ウエッバーの音楽には脱帽だ。なんという美しい音楽の連鎖。メロディーが分かりやすく、その洗練された響きになごむ。
それに擬人化したネコたちの自由奔放なダンスや振り付けにまったく違和感を感じなかったのだ。同じ時期に見た「コーラスライン」などは最後まで騒がしいだけだったのに。
3人でNYに滞在していたある日、僕はどうしても家族に「キャッツ」を見せたくて当日売りのチケットブース(タイムズスクエア)で正面の席を3枚買った。
ゴミ捨て場のセットが暗闇にフワ~っと現れると、派手にメークした<ネコ達>がステージや時には客席で暴れまわった。
父(オヤジ)は座っていた席の脇をネコ達が走り回るものだから、なんだか気味が悪いと言って一人、キャッツ・シアターを途中で出て行ってしまった。オヤジはその何十年も前にNYに来たことがあったので意外にマンハッタンの道を知っているようだった。僕らが「キャッツ」を見終えてホテルに戻った頃、一人でラウンジでスコッチを飲んでいた!
話を戻そう。
NY時代に初めて見た「キャッツ」は強烈だった。
と言うのも、座った席が普通の席じゃなかったせいもあるかもしれない。
NYのキャッツ・シアターにはステージの両袖に真横から舞台を見下ろす階段状の特殊な席があったのだ。(普通席の客からは両脇のどん帳でこの席は見えない!)
ステージ・セット裏は複雑を極め、客の見えないステージ上部にはキャストの移動用に急勾配の通路が入り組んで<吊られて>いる。歩くとグラグラと揺れる狭い空中通路がこの特別席の頭上にもあってキャッツたちが場面転換の度に僕の頭の上を埃を落としながら走り回る。
当然ながらステージは真横の上から見ることになり演出上の醍醐味を味わうのにはかなり不向きだが、それでも僕はそのエキサイティングな舞台裏とステージでの演技の両方をくまなく堪能できたのだった。
そんな第一印象の「キャッツ」。その後普通席で3回ほど鑑賞して帰国した。
そして後に家族を連れて再び渡米してみんなで鑑賞したのが「キャッツ」というわけだ。
さて、現在僕は「キャッツ」の録音・録画を5種類持っている。
1.オリジナル・ロンドン・キャスト CD
2.オリジナル・ブロードウエイ・キャスト CD
3.劇団四季 ロングラン・キャスト CD
4.劇団四季 オリジナル・キャスト CD
5.映像版 キャッツ・ザ・ビデオ VHS
これらは微妙に曲順やアレンジ、楽器編成、構成そしてもちろん言語が異なっている。
「キャッツ」の音楽をこよなく愛している僕としてはどのバージョンも素晴らしい。
それぞれに味があり、印象が異なる。
これはキャストの違いによるのが大きいわけだが、意外とバックの演奏のニュアンスが多彩なのでそのせいも大いにあると思う。
例えば有名な「メモリー」を歌うネコ:グリザベラにしてもロンドンのエレーナ・ペイジとブロードウエイのベティー・バックリーとでは歌いまわし、声量、声質などに個性が出ている。
(エレーナ・ペイジ on London)
(ベティー・バックリー on Broardway)
また、四季のオリジナル・キャスト版の久野綾希子とロングラン版の故・志村幸美では全く味わいが違う。ロングラン版はコーラス・ワークなどが完成度が高く、さすがに全体がこなれている感じだ。それにしても志村幸美の早すぎた死にはショックだった。本田美奈子とともに日本のミュージカル界の期待の星を失ったことは痛恨の極みだ。
僕はバンドマンなので演技・ダンスへの興味よりも歌や伴奏の演奏の違いを(多くはアレンジの違い)を各CDで大いに楽しんでいる。
特に英語(原語)の2種の演奏には決定的に味わいが違う。
ロンドン版はブロードウエイ版に比べ、演奏・アレンジが地味である。劇場で生を聴くように楽器編成は小さいしダイナミックスも狭い。でもこれが生に一番近い雰囲気かもしれない。上品で小粋なサウンドだ。
一方、ブロードウエイ版はゴージャスである。実際こんな充実した響きは劇場内のピットでの生演奏では望めない。
演奏もかなりのつわもの達がやっている感じだ。
そして四季版はその中間といった感じで、すべてに中庸である。
歌に関して言えばロンドン版の方が繊細で、ブロードウエイ版はパワフルかつエモーショナル&ソウルフルだ。
内容や味わいがそれぞれ違うとはいえ、何種類ものバージョンを聞き比べる楽しさは格別のものがある。大好きなこの「キャッツ」の音楽をいろんなパターンで楽しめることの幸せを感じる。
四季版はもちろん日本語版だ。時々メロディー・ラインと日本語がうまくかみ合わない部分があるがそれは仕方のないことだと思っている。時々出てくる<英単語>の発音はお世辞にも上手いとはいえないが、それも愛嬌だ。
(「メモリー」の発音を<めぇーもりー>と歌う!英語的には<メームリー>だ)
それでも子供を交えた家族で楽しむのなら絶対に四季版だ。先ほど書いたように2つのバージョンがあるがロングラン版がより生の雰囲気に近いと思う。
でもなんといってもミュージカルは映像だ! 映像をみるとCDとは比べ物にならないほどの情報量で見ている者をノックアウトさせる。
そういう意味では、イチ押しは<映像版>だろう。
ここでは偉大なミュージカル・スター、ケン・ペイジが<長老猫・オールド・デュトロノミー>を完璧に演じている。感動の力演だ。
(ケン・ペイジ on Video)
上記の5種のそれぞれの中身を細かく比較・検証するのは僕の夢だが、それはあまりの膨大な字数を必要とし、このブログ程度では記載が不可能である。
もしみなさんの中でこの「キャッツ」を楽しんでいる方がいらしたら、好きな曲や部分を知らせて欲しい。そうしたらその部分の比較を書いてみるのも一興だと思う。
最後にこの「キャッツ」に関する僕の自慢を1つ話そう。
最も派手でパワフルなバージョンである「ブロードウエイ版」・・・僕はこの版の全曲を譜面なしの通しでベースが弾けるんだ。すべて耳で完コピーしてある。
いつかブロードウエイのオケ・ピットの中の「キャッツ・バンド」でベースを弾いてみたいな、などと恐ろしく実現不可能な夢を見ているんだ。
それほど「キャッツ」の音楽は僕にとっては宝物なんだ!
昨日は やさしいお返事をありがとうございます。
読み返していたらこの記事を見つけたもので コメさせていただきました。
私は 去年の年末、旦那、義母と三人で五反田のシアターに初めてキャッツを見に行きました!!!!!!!
初めの数分は世界共通なのでしょうか??
あの始まってすぐの数分間、キャッツ達のギラギラした目が 暗闇を駆け巡り 一気に異世界に引きずり込んで 美しい銀色のネコが月明かりに照らされる演出。大好きです。
バンマスさんが掲載してくれたグリザベラもずいぶん雰囲気が違って驚きました。
ふたりとも なんだか粋な感じですね。
四季のは 水商売っぽかったけど。。。()
私が好きな音楽部分はゴキブリダンスの時のかな?
この曲はなぜか 知ってました。メモリー級に有名なんでしょうか??
「どんな女も男が思っているのと違う一面がある」っていう なんかギクっとするような事を 猫に楽しくあっさりばらされてる感じが好きです
今日 ハローワークにいってきました。
1人の求人募集に対し 30~100人の応募があり激戦状態なようです。 明日面接ですよ、どきどき。。。
こんにちは! 今回はだいぶ以前の記事に来てくれたんですね。読み返してもらって光栄ですよ!(猫のように神出鬼没だー)
キャッツシアターに行かれたとのこと。
キャッツの上演は専用の劇場でないとだめなんでしょうね。あの世界へ観客を瞬時に連れていくにはそれなりの常設設備が要りますからね。
よかったですね、楽しめたようで。
グリザベラは「娼婦猫」という設定なんで、ねこっちさんが四季で感じたキャラ設定は正統的なものですよ。外国でのこの猫の設定も似たようなもんです。
なんだか<ねこっち>さんが<Cats>の話をされるとアタマの中が<猫つながり>で混乱しそうです(笑)
今日は面接とのこと。大変ですね。
こんな時代です。なお一層意識して<心の平静>をキープしてください。
「慌てる●ジキはもらいが少ない」と言います。動かなければならない時とそうでない時とをしっかりと区別して、世の中の悪い流れに安易に乗ってしまわないよう自制してください。会ったこともないけど僕はいつもあなたの味方ですからね。ファイト!