バンマスの独り言 (igakun-bass)

趣味と実践の音楽以外に日々感じる喜びや怒り、感動を記録するためのブログです。コメント大歓迎です!

ま、ええんとちゃいますか~

2007年04月16日 | 映画
このところすっかり映画づいてしまって、過去に見た映画を中心に再鑑賞を続けています。だから・・・今日も映画の話題です。

先日エントリーしたDPの「ホーンテッド」はその特異性?からか予想通りのノーコメント攻撃を受け石原批判とともに撃沈しました。 
でもギランちゃん、オレはキミの今をちゃんと見てるからねー。昔に戻らなくていいからねー。なんだったら「HIGHWAY STAR」なんかもう歌わなくてもいいからねー。「WOMAN FROM TOKYO」だけでいいからねー。「LAZY」はシェイズが跡を継ぐからもう忘れてもいいよー。だから、だからこれからもがんばってねー。

そんなわけで、僕は屈指の名作と信じているこの曲の賛同者がいないことについては「ま、ええんとちゃいますか~」と思わず口にでてしまいました。


あれっ、このセリフ・・・そうだ! そう言えばこのセリフが重要なキーになっているあの映画を見よう。ここんとこ約2年くらいご無沙汰してるかもなー、 ということになってさっそくDVDを取り出してきました。
あまりに大好きな映画なんでしょっちゅうは見たくないのです。 ちょっと間を空けて鑑賞し、そこでまた感動する、というスタンスで付き合いたい大切な映画なんです。


それは・・・「ココニイルコト」


「傷ついた女性に生きる希望を与えた青年との温かい出会い」

24歳のコピーライターの志乃(真中瞳)は、不倫が発覚し大阪の営業局に飛ばされる。傷つかないために願ったり信じたりしないで生きてきた彼女は、すっかり無気力になっていた。隣の席には中途採用で入社した楽観的な青年、前野(堺雅人)がいた。いつも明るい彼のさりげない気配りと優しさに、志乃の心は次第に癒されていく。だが、やがて前野は会社を欠勤するようになる。 (以上、映画解説より)



結論から言います。
これは日本映画本来の持つ癒されるような穏やかさが全編から溢れ出るような、ほんわかした心に優しい映画です。
特に仕事や人間関係に今、疲れている人は絶対に見て損はない作品です。
では、心が自然と和んでゆくこの映画について・・・。


上司との不倫関係が会社にバレて大阪に転勤させられたOLが同時期その職場に中途採用で入ってきた同じ歳の男によって心が穏やかになっていくというお話しだと言う事は上記の映画解説で語られているとおりです。

OL志乃には真中瞳、同僚・前野には堺雅人。セリフが無いけど2度重要なエピソード・シーンに登場する骨董屋主人に笑福亭鶴瓶。その他芸達者な脇役陣!

「ま、ええんとちゃいますか~」が口癖の前野は、この一見いいかげんな人間の言葉のように思われる軽~い言葉で <頑張りすぎたり、あせっている時には「頑張って」という言葉より「頑張らなくていいんじゃん」という言葉が必要なんだ> ということを教えてくれています。いつもあっけらかんとしていて、骨とう品が大好き。そしてプラネタリウムで和んでいる青年を堺雅人が大拍手ものの見事な演技で助演ながら存在感の大きな役柄を上手く演じ切っています。

一方「体温の低い女」という設定の志乃役、真中瞳もそのやや硬い表情や演技がこの映画のシナリオにはうまく合致していて好感が持てるし、時折とてもキレイに見えるシーンがあってハっとさせられます。大阪の普通の街で繰り広げられる特に何があるということもないフラットなストーリーにうまく乗って、けっして押し付けがましいこともなく淡々とした風景に溶け込むOLを演じています。
そして何と言っても前野のひょうひょうとした、しかし芯のある優しさがすばらしいのです。
「ま、ええんとちゃいますか~」このセリフはいいです。大阪弁ならではの柔らかさと庶民的軽さがなんともいけてますし、この言葉を言われた相手も気持ちがす~っと軽くなるんじゃないかと思います。

この映画の宣伝に珠玉のラブストーリーうんぬんと書かれていましたが、それは間違いだし見当違いです。
主人公の二人は、当初こそ恋愛に発展していくのかと思わせますが、映画も中盤に入り、終盤に至ってもこの二人の微妙な距離感というものが保たれていて、見ている方はその結果を急ぐ事も必要なく、ゆっくりと流れるストーリーに心が休まっていくのです。

エピソードの一つ、前野が常連の「骨董屋」のシーン・・・この映画の重要な小道具がこの店のカウンターに置かれています。この主人は店でうたた寝をしていてセリフは一切ありません。ありませんが、エンドロールが流れた最後の最後にあっと驚くシーンがあってそこに2度目の登場をします。ネタバレになるので言いませんが、僕などはこのラストで「ああ、この映画を見てよかった!」と感動してしまうのです。

ほんわかした映画、というのがこの映画の特色をもっとも端的に表しています。
この映画を見た後、もし誰かに深刻な悩みを聞かされたら、きっとあなたは「頑張れ」とは言わず「頑張らなくてもいい」という意味で「「ま、ええんとちゃいますか~」と口に出してしまうかもしれません。

これは現代でハードに生きている人たちへの優しい慰めの言葉でもあると思うのです。
未だこの映画を見ていない人、最後のシーンを楽しみにこのやさしい風が吹き抜けるような世界をのんびりと味わったらいかがでしょうか。

ほんと、いい映画です。 「見たらええんとちゃいますか~」

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