徒然幸せ日記

作者が日常の生活で見たこと、感じたこと、感動したこと!を書いています。
特に、「幸せ」とは何かについて考えています。

山本周五郎の「糸車」にみる親子の情愛(朗読劇団 泉座さんの公演を通じて)

2015-10-11 20:02:11 | 幸せ
先日、T市で朗読劇団 泉座さんの公演を見る機会を得た。
泉座さんは座長の泉浩子さんを中心に結成され、今年25周年を迎えられる鍛錬された朗読劇団だ。
(奈良新聞のHPより。25周年記念の公演でのもの)

色々な演目を、話に応じた衣装を着て、本当に切々と心に訴えかけるように朗読してくれた。
金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」などの詩や「ぶしょうねこ」という落語ネタなど面白いものもたくさんあった。

中でも、私が一番心に残ったのは、山本周五郎氏の小説「日本婦道記」より抜粋した「糸車」という演目だ。

私なりにあらすじを書くと、

 長野県の松代と松本が舞台。
 松代にお高という19歳の娘がいて、母は3年前になくなり、父(よだ けいひちろう)と弟(まつのすけ)の3人で貧しい暮らしを強いられていた。
 そのため、お高は夜にせっせと木綿糸を糸車で作って生計の足しにしていた。
 ある日、父から松本の西村という家へ4~5日行くように言われ、行った先で歓待を受ける。そこは、実の両親が住む家。元々は貧しい家だったが、今は主人が出世し、お高を引き取りたいというもの。
 しかし、お高はおいしい料理ややさしい両親の言葉にも惹かれることなく、松代へ帰りたいと言い出す。
 そこで、実の母は、よだの父からの手紙を見せた。そこには「たくさんのお金を西村からもらったから自分らは豊かに暮らしていける。お高もそこの家で暮らす方が幸せに違いない」というような内容が書かれていた。
 しかし、お高はその手紙の内容は本当の気持ちではない。18年も一緒に暮らしてきた娘を失った父と弟の元へ帰るのが「人の道」だと悟る。
 しかたなく、手放した実の両親。
 松代に帰ってきたお高に対して、松代の父は再度、松本へ帰るのが幸せだと言うが、お高は聞き入れない。
 ついに父も弟に「お姉さんに感謝することを忘れるなよ」と言って受け入れる。

 このストーリーの中にこそ、私達が忘れかけている「義理・人情」の大切さ。
 古いと思うかもしれないが、育ててくれた恩に報いる尊い温かい心を痛切に感じた。
 
 糸車の響きに乗せて心の響きが伝わってくる名公演だった。

 ありがとうございました。
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