徒然幸せ日記

作者が日常の生活で見たこと、感じたこと、感動したこと!を書いています。
特に、「幸せ」とは何かについて考えています。

芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」を読んで

2018-03-01 14:01:21 | 本と雑誌
今年1月16日に発表された、2017年度下半期の芥川賞に選ばれたこの作品。
(ネットのアマゾンの所から)
もう、かなり前に購入したのだが、昨日やっと読み終えた。が、少しずつ読むとあまり頭に残っていなかったので、今日もう一度さらっと読んでみた。
そして、思ったことを私なりの解釈で書かせていただくことにする。

1 あらすじ
日高桃子さんは東北の生まれで、24歳の時、親のすすめで地元の人と結婚することになっていたが、結婚式の3日前に東京オリンピックのファンファーレと共に家出。
そして、慣れない東京で一生懸命働き始める。
しかし、東京という土地になじめずにいた。
そうした時、働いていた食堂に現れたのが、周造さん。
一目見た時から好きになった桃子さんはだんだんと心が引かれていき、やがて結婚。
二人の子どもにも恵まれ、普通なくらしを過ごしていたが、その子どもたちも巣立って二人の生活。子どもたちとは疎遠。
これからという時に周造さんが心筋梗塞で突然の他界。(結婚生活は31年)
それからの約10年というもの悲しい日々が続いていたが、
ある時、こうした日々もまんざら悪くないなと気づく。(現在74歳?)

2 私が感じたポイント
あらすじで書いた、最後のところの「まんざら悪くないな」というところがこの本の主題。
今までの人生を振り返ると、故郷をいやだと飛び出しながら、どうしても故郷にひきずられる自分。そして、唯一の頼れる存在だった夫の死。
突然の悲しみに打ちひしがれるが、夫がいる死後の世界に自分もつながっていると思えた瞬間から、何も怖くない。死に急ぐ必要も無いし、「自由」に生きていけばいいんだと悟る。
「おらおらでひとりいぐも」という言葉は宮沢賢治の「永訣の朝」という詩からヒントを得てつけたタイトルらしいが、
私流に解釈させてもらうと、「私は私で我流で生きて行くだけ」ということになるのでは?と考える。
本の言葉でいうと「溶けこむ」という表現が使われているが、「溶け込む」とは自分の過去も未来も全てを受け入れて力強く進むということではないか?と思う。

3 作者の若竹千佐子さんについて
本に記載されているところによると、1954年、岩手県遠野市生まれの63歳。55歳から小説講座に通い始め、8年にして芥川賞を最高齢で受賞。「いがったね」

4 まとめ
東北弁はやわらかにする感じは良いが、わかりづらい面もある。
本自体がそれほど面白いかというと、それほどではない。
しかし、誰もが遭遇する「老い」というものに正面から向き合い、希望をもって迎えようとした心意気に共感する。
また、地球の46億年ノートを持参して、人生を俯瞰しているところも面白い。
東北弁は作者の心の一番古い層にあたるらしい。
(現代は260万年前から続いている氷河期で1万年前から続いている比較的温暖な間氷期らしい)
心が軽いときに読むことをお薦めする。
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