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IDE Lab.

北海道大学大学院教育学研究科井出研究室(福祉臨床心理)のブログです。

授業での施設訪問

2017-11-25 16:01:44 | ゼミ活動
最近,授業の一環としていくつかの施設を学生と一緒に訪ねました。

1か所目は,普段からお世話になっている児童養護施設とそこに併設されている児童家庭支援センターです。
これは,「心理検査・測定法」という授業の一環として訪ねました。

「心理検査・測定法」では,心理学を専攻する学生と一緒に知能検査を中心とするアセスメントツールについて学びます。でも,使い方や解釈の仕方だけ学んでも仕方ないので,まずは実際の現場でアセスメントがどのように行われ,それをもとにしてどんな風に支援が展開されているのかを知るために,児童家庭支援センターのケース会議に参加させていただきます。学生たちはオブザーバーなので,会議中にお話をすることはできませんが,普段から現場で子どもたちを支えている方たちがどんな風に支援について話し合っているのかを臨場感たっぷりに体験してもらうことができたと思います(もちろん,この時間の前には倫理についてしっかりと学びます)。





もう1か所は大学院の授業で国立武蔵野学院を訪ねました。
日本に二か所だけの国立の児童自立支援施設で,私も訪問するのは初めてでした。
広大な敷地の中に生活,教育,治療に関する建物があり,さらには田畑や動物飼育のスペースなどもありました。
訪ねるまでのイメージは,正直言って,とても監視の厳しい場所なんだろうな,という感じでしたが,むしろとても穏やかな場所で,人と環境を感じることができる場所でした。今,はやりの言葉でいうと「マインドフルネス」ですね。あ,でも,確かに,地域ではとにかくいろんなところに頑張って(突っ張って)いなければいけなかった子どもたちが,人や自然,生活そのものに開かれていくという意味では,マインドフルネスをするための場所のような感じなのかもしれません。
あと,もう1つ印象に残ったのは教育でした。一般的な児童自立支援施設と同じく地域の公立学校の分教室が設置されていましたが,その教育の在り方は勉強になりました(ここで詳細について述べるのは控えます。もし興味があれば個人的にお尋ねください)。






「社会的養護」についての学外研修

2017-04-25 08:27:47 | ゼミ活動
先日の「子どもの貧困」についての学外研修に続いて,今回は児童養護施設を訪ね,「社会的養護」についての学外研修を行いました。
今回も,「教育心理学実践研究」という授業の一環です。
⇒(過去の記事)http://blog.goo.ne.jp/idtomoro/e/d80117892b993248a3788faf81c19dcc
⇒(教育心理学専修のHPでの紹介)http://edpsy.ed.shizuoka.ac.jp/?p=38

今回訪ねたのは日ごろから実践や研究でいろいろとお世話になっている焼津市の春風寮です。



施設長や現場の職員さんたちから,社会的養護とは何かについてや施設での子どもの暮らしなどについてお話をしてもらいました。
なかなか学校や家庭教師など「教育」の場以外で子どもに関わる機会がありませんので,子どもたちの「暮らし」に触れるのは新鮮な時間だったのではないかなと思います。

こちらも毎年恒例,春風寮の見学の後は,焼津の港で海鮮丼。こちらも新鮮でした…


「子どもの貧困」についての学外研修

2017-04-17 16:42:55 | ゼミ活動
新年度が始まり,ゼミも新しい顔ぶれとなりました。
今年度は3年生4名,4年生4名の大所帯となりました。
(私は大学が私立だったので,ゼミは1学年14人くらいでしたが,国立は少ないのです…)

静大教育学部,教育心理学専修では3年次に「教育心理学実践研究」という授業が組まれています。
この授業は学校や施設など,子どもの教育に関係する現場で1年を通して実習し,その中で自分が決めたテーマについて心理学的な実践を行い,研究として発表するというものです。
「ミニ卒論」と言われるほど,学生にとっては面白いし,やりがいを感じるだろうけれど,ハードルの高い授業かもしれません。

井出ゼミでは毎年,児童養護施設や適応指導教室など,学校以外の現場で子どもたちに関わる実習をしてきました。
今年度は学生の数も多いですし,ずっと以前から実習させてもらえるといいなと思っていた,「子どもの貧困」の問題に取り組む「一般社団法人 てのひら」を学生と一緒に尋ねてきました。
代表の川口さんから子どもの貧困の現状や「てのひら」の活動についてのお話を伺いました。



「てのひら」は生活保護家庭やひとり親家庭の子どもとその家族を対象に,生活の支援と学びの機会を提供する活動をされています。
平成25年に子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されました。
この法律は「子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう,貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに,教育の機会均等を図るため,子どもの貧困対策に関し,基本理念を定め,国等の責務を明らかにし,及び子どもの貧困対策の基本となる事項を定めることにより,子どもの貧困対策を総合的に推進することを目的とする」とされています。具体的には教育の支援,生活の支援,就労の支援,経済的支援等の施策を推進することが求められています。

そもそも日本で「貧困」と言われてもピンとこない人も多いかもしれません。
貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」があります。絶対的貧困とは,アフリカなどで栄養失調になっていたり,ワクチンの接種ができないでいたりする子どもたちの状況を指し,誰がどう見ても貧困の状態にあるよね,という状態を指します。世界銀行では1日の所得が1.25ドル以下を基準としています。対して,「相対的貧困」とは,その社会における「当たり前」とされる生活が保てない状況のことを指します。大雑把に言うと,所得の中央値の50%以下で暮らしている状況を指します。従来,日本では「格差」とも表現されてきましたが,OECDの調査では日本の相対的貧困の割合は約16%であり,日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあると言われています。
こうした貧困は虐待や精神的健康,身体的健康,社会的孤立,搾取など様々な問題と隣り合わせにあるものであり,単に生活が貧しいというだけではなく,自尊感情が低いこと,進学や就職の限定,性産業への従事の強要,貧困の世代間連鎖などとも密接に関係します。

教員養成課程ではなかなか福祉領域との接点について学ぶ機会がありません。
学生たちにとっては目から鱗が落ちる話がたくさんあったと思います。
1年間の実習を経て,社会的に弱い立場にある児童生徒,様々な困難に直面する児童生徒と向き合う力をつけてほしいなと思います。



卒業生

2016-08-13 14:22:45 | ゼミ活動
夏休みということで、卒業生が研究室に遊びに来てくれました。

実家がある福井に戻り県職員として福祉行政に関わっているらしい。
手土産は蟹でいいよって常々言っていたのにおせんべいを持ってきてくれました。ありがとう(笑)

今度、食べに行きますね。


卒業論文

2016-01-18 11:15:16 | ゼミ活動
センター試験を終えて一段落。
今日は4年生の卒論を読ませてもらいます(゜.゜)

今回は構造化方程式モデリング(SEM:共分散構造分析)を使った分析にチャレンジしてくれた学生もいました。十分に使いこなせていないところもあるけれど,これまでにはない新しいモデルが検証されていて面白い。
SEMの使い方も含めて勉強させてもらいました。

卒論の内容は近いうちに研究室のホームページで報告します。




毎年,この季節になると自分が卒論を書いた時のことを思い出します。
(大学2年生の頃から先輩のものも含めて,何人か分の卒論を書いた記憶がありますが…(笑))
自分の卒論は紙芝居を作って,小学校に行って劇をして,とゼミのみんなに手伝ってもらった楽しい卒論でした。
親友の卒論は,みんなで自然の中で遊んでその効果を検討するっていうテーマだったけれど,みんなで燻製作っておいしく食べた,っていう卒論でした。

卒論発表会の当日,まさかの大雪で指導教官は大学に来れず…
私はトップバッターでその当時出始めたくらいのパワーポイントを使って,決められた時間ピッタリの発表をして後の人にプレッシャーをかけ,親友は観音開きの黒板を使って,まさかのエンターテイメント型発表をするという何とも楽しい発表会でした。



学生たちも最後の仕上げ,発表会までもう少し。楽しんで頑張ってほしいものです。