迷悟在己

痴呆寸前が巷間を漂いながら日々の雑感を書きます

驚くべきメイド・イン・ジャパン!

2018-10-16 18:27:43 | 日記
ある会社に入社させていただいたのが1985年。営業の集金かばんとして、変哲もない黒の集金カバンをもらった。以降10年にわたって毎日、仕事のない日には遊びで、使い倒した。
次第に外側のビニールがまだらに剥げて行き、中の仕切りもぼろぼろになった。そのうち黒いビニールはほとんど剥げ落ちて、布地だけになってしまった。それから布地はところどころほころびて、穴があいても、まだ使っていた。
愛着があるということも勿論だが、私にとっては大切なかばんだった。知り合いに「ほらこういうカバンを使ってるよ」というと、「あんたは金を残すねえ」などと言われたものだ。

出張に行った八日市の公衆電話ボックスで電話をかけ、車で5分ほどの食堂で昼食を済ませ、代金を支払う段になって、カバンがないのに気がついた。あわてて電話ボックスに戻ったら、台の上にそのまま鎮座していた。中には集金の50万ほどが入っていた。車の通りの多い、幹線道の電話ボックスである。私は感謝とともに、考え込んでしまった。これを奇跡といわずして何と言おう。それ以来、かかさず手元において使った。
ある日、とうとう開いた布地の穴から紙幣が顔を出すに至って、この親友と別れることとなった。が、要するに修繕すればまだまだ使えた筈である。しかし、もう新しいのに代えて、このカバンには休んでもらおう、そういう気になった。この堅牢なカバン、おそらく値段も2000円ほどだと思うが、感動した私は、このカバンの販売店に行き、「これこの通り、10年の間、雨の日は傘代わりに頭に載せ、あるときは雪の降りしきる中、一年365日、およそ10年使いました。実にすばらしいカバンです。あなたの店で買いました」と、応対に出た奥さんに話をした。奥さんはさして驚きもしない様子で、
「カバンも丈夫だけれど、ファスナーが壊れてないのがすごいわねえ」
とおっしゃった。なるほどそういわれればそうだ。1日50回開け閉めを繰り返しても、10年で20万回ほどになる。実際にはそれの倍以上になるかも知れない。それで、本体は穴が開いてボロボロになっても、ファスナー氏はむしろ銀色に輝きを増して、まだまだ と言ってるようだった。

世界のYKKだが、この製品の信頼性はどうだ! これこそメイドインジャパンだ と、私は感心したのだった。

今は同じものを娘に買って貰って使っているが、同様に堅牢である。