「むかし男ありけり」は伊勢物語だが、この物語の主人公は在原業平。滋賀のマキノ山中にあるの名を在原という。業平はここの出身だというが、定かではない。ここに鹿のロースステーキが食べられる食堂があるというので何年か前に行ったことがある。こじんまりとした山村である。私たちが訪れた時は田植えの時期で、目指す食堂の主も留守で、仕事から戻られるまでしばらく待たねばならなかった。萱葺きの住宅もところどころにあって、なかなかのどかな雰囲気だが、実際にまだその住宅には住んでおられるので、あまり近くに寄ったり、写真の撮影などは遠慮するように と、立て札が立てられていた。肝心の鹿ロースだが、正直記憶が薄い。鹿の肉そのものは刺身で食べるくらいのものだから、ステ-キにしたって美味いに決まってる。まあ肉なんだから、特に奇妙でもなければ珍しいものでもない。ありきたりの肉の味だから記憶に薄いのだと思う。養老で食べた猪肉のこってりした脂肉に比べれば淡白でこちらのほうが健康にはよさそうで、一度話のたねに食べてみるのも良い。あまりあちこちを歩き回るとクマにやられちゃうのでご注意。