天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

木の花は

2019-05-01 17:43:30 | 日記

令和元年五月一日。徳仁天皇ご即位。
国の指導者というのが選挙をかいくぐり、大きな組織の後押しを受けて動くものだたから、国際社会の試練に揉まれ、世論が沸騰しだすと、見識があればだけれど見識より情動に流されるのが、先の大戦までの経験だった。先帝より国政に関与しなくて良くなったのだから、開戦の詔勅を出す必要がなく、総理大臣がいくらご進講や時局説明をしようが、聞く耳を持たなくて良くなったのは幸いである。頭に血の昇った輩は、それでも戦いの渦に巻き込まれていくだろうが、先代も今上もご聡明にあらせられるから、不興な顔付きでそっぽを向かれれば、少なくとも安全弁のお役目を果たしてくださるだろう。統帥権なんて持たない方が、火事場の馬鹿に付き合わなくてよくなった。もっともこの国は戦場に駆り出される国民自体が煽られやすいので、貴重なアンカーが効かなくならないよう気を付ける必要がある。
59歳でのご即位は遅いような気もするけれど、第49代光仁天皇は62歳で践祚なされ、次の桓武天皇による平安朝幕開けの礎を築かれた。菅官房長官の口癖でないけれど、全く問題はない。
平成天皇ご退位の日に、NHK番組で前侍従次長が個人的な感想として、今後状況が激変すると予想していたのが気に懸かるものの、4月の年度替わりでない中途半端な5月践祚もまた令月ではないか。立后された雅子皇后に似て、知性豊かな清少納言が枕草子の中で、5月1日の頃は橘の花の中から黄金の玉がのぞいて、麗しいと言っている。右近の橘は平安朝より紫宸殿の前庭に、左近の桜と対で繁っており、王朝の神木といえる。このタイミングのご即位は吉兆と見てよい。

御代の発つ 皐月つひたち 橘の
花の中より 黄金の玉みゆ


右近の橘

御代の立つ 皐月ついたち 雅びやか
花の中より 黄金の美玉


紫宸殿

【枕草子】五月のついたちの頃ほひ、橘の葉の濃くあをきに、花のいと白ろう咲きたるが、雨うち降りたるつとめてなどは、世になう心あるさまにをかし。花の中よりこがねの玉かと見えて、いみじう鮮やかに見えたるなど、朝露に濡れたる朝ぼらけの桜に劣らず。ほととぎすのよすがとさへ思へばにや、なほさらに言ふべうもあらず。(第37段『木の花は...』)