天愛元年

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新元号『天愛』元年にスタート

黄葉

2019-05-29 10:07:47 | 日記
きょうは何の日。NHKラジオによると、与謝野晶子の命日だそうである。『私の生い立ち』によると、8歳ころ学校に行っていた時分に、姉たちの着古しの渋い茶色の袢纏を着ていたため、同級生たちにからかわれ、果てはイジメられ、自叙伝を書く時点でもトラウマとして記憶に残っていると、書き出している。
のち、
「柔肌の 熱き血潮に 触れもみで 寂しからずや 道を説く君」
「黒髪の 千すぢの髪の みだれ髪 かつおもひみだれ おもひみだるる」

と、天下に大股開きに絶唱したイメージと全く異なる。人の内面の声も、その奥底は誰にも窺い知れないものである。福沢諭吉との論争で、勝海舟が言い放った「行蔵は我に存す。毀誉は他人の主張、我に与ずからず」のように、気楽な評論を笑っていたのだろう。そうでなければ、「君死にたまふうことなかれ」の糞度胸は生まれない。一寸の胆力で宇宙を担いでいた。
トランプ来航で日本列島が熱暑に揺れた。ペリー提督の時は「太平の 眠りを覚ます 蒸気船(上喜撰) たったしはいで 夜も眠れず」と歌われた。『しはい』は、当時は黒船と湯呑みを掛けて、「四杯」だったけれど、今回は朝乃山に贈った「賜杯」かもしれない。トランプ米大統領は自衛隊護衛艦「かが」に乗艦した後、米軍強襲揚陸艦「ワスプ」に乗って米兵に訓示し、カタパルトは電子式でなく蒸気式にしろと言ったそうであるから、166年の歴史を経てもやっぱり蒸気船との縁は深かった。高級茶の上喜撰なら葉っぱの時は元より、幾ら煎じても緑が濃いはずだけれども、トランプさんのもたらした暑熱が強烈過ぎたのか、いつもの散歩道の庭木が黄ばんでしまっていた。たまたま水を撒いていた亭主に、枯れかかっていますよと声を掛けたら、「それは黄金柾なの」と教えられた。フルハウスを出したのに、ロイヤルストレートフラッシュに遣られた気分だった。

常ならば 変はらぬ青の 上葉かな
触れ揉まるれば 黄金いろにも



本歌 : ①後拾遺集・秋
さりともと 思ひし人は 音もせで
荻のうはばに 風ぞ吹くなる
     ②和泉式部集
ながめには 空さへ濡れぬ 五月雨に
下り立つ田子の 裳裾ならねど