→②より続き
(ここまで引用。太字は本ブログによるもの)
各紙の事件報道における被疑者の敬称の取り扱いについては、どのような内規があるのか。内規があるとして、例外的な取り扱いがあるのか。ご存知の方があればブログ等で紹介くださるとありがたい。
一般的には警察によって被疑者とされた場合には「容疑者」、起訴されれば「被告」の名称が氏名のあとに付される場合が多い。
今回の場合、朝日新聞、日経新聞、共同通信が、タイトル・本文ともに「高橋洋一教授」と敬称をつけて報じている。
読売新聞は、タイトルで「高橋洋一教授」と敬称を付し、本文では「高橋洋一容疑者」とした。
日経新聞は、高橋氏について、「郵政民営化の推進役として活躍した」とのプラス評価の説明まで付している。
毎日新聞、産経新聞、時事通信は、通常報道と同列と思われる「高橋洋一容疑者」の呼称で記事を掲載した。
高橋洋一氏は内閣府の郵政民営化準備室で、竹中平蔵氏の下で郵政民営化法案の策定にあたった。新聞社では「朝日新聞」と「日経新聞」が小泉竹中政治を積極支援して今日に至っている。そのことと事件報道の表記との間に関係があるのかどうか。
ライブドア元社長の堀江貴文氏は証券取引法違反の罪を問われ、現在、上告審で係争中である。この堀江氏の控訴審などの報道において、NHKは定時ニュースで、「堀江元社長」の呼称で堀江氏を表現している。
小室哲也氏の詐欺事件公判では、NHKは小室氏を「小室プロデューサー」の呼称で表現している。
一般的な事件報道では、上記のように「○×容疑者」または「○×被告」と表現していることが多いのではないか。NHKの内規と例外的取り扱いを知る方がおられれば、ブログ等で紹介していただけるとありがたい。
ジャニーズ事務所の人気グループ「SMAP」のメンバーである稲垣吾郎氏が、2001年8月に東京渋谷で、道路交通法違反、公務執行妨害罪、傷害罪容疑で現行犯逮捕されたとき、多くのテレビ局報道が「稲垣メンバー」の呼称で稲垣氏を表現した。
適正な報道のあり方を考える場合、被疑者や被告をどのような呼称で表現するのかは重要な問題である。この部分でも、報道機関は「裁量権」を有するのだろうか。
捕捉になるが、日本相撲協会の力士である若麒麟が大麻所持の現行犯で逮捕された事件では、検察が若麒麟を不起訴処分とした。大麻を所持していれば犯罪の構成要件を満たしているが、若麒麟は不起訴とされ、罪が問われなかった。
「罪刑法定主義」、「法の下の平等」などが日本国憲法で定められているが、実情はまったく違う。警察・検察当局に膨大な「裁量権」が付与されており、これが巨大権力そのものであり、「天下り」などの利権に転化しうる。
警察利権、検察利権に踏み込むことには大きな危険が伴うと言われているが看過すべき問題ではない。
北海道の警察裏金問題、大阪高検の裏金疑惑、道交法違反の「もみ消し」などが問題になったことがあるが、今回の西松建設事件の経緯をも踏まえ、警察・検察の「裁量権」の意味をじっくりと検証する必要がある。【転載終了】