ふるさとは誰にもある。そこには先人の足跡、伝承されたものがある。つくばには ガマの油売り口上がある。

つくば市認定地域民俗無形文化財がまの油売り口上及び筑波山地域ジオパーク構想に関連した出来事や歴史を紹介する記事です。

筑波山の土砂災害警戒区域等指定場所(急傾斜と土石流)

2018-10-04 | 筑波山地域ジオパーク

筑波山は“火山”ではない、安全な山
 筑波山は高い山ではないが古くから「西の富士、東の筑波」 と言われ1200年前に作られた万葉集にも数多く詠み込まれている。
 西側の男体山(871m)と東側の女体山(877m)の二つの峰から成り立ち、その姿の美しさから紫峰とも呼ばれ日本百名山のひとつに数えられている。
 火山ではないから噴火しないが、岩石でできた山なので土石流が発生した過去がある。

〔山頂の斑レイ岩〕
 筑波山は,地下深くでマグマが固化してできた花崗岩と斑レイ岩の岩体が隆起したもので,標高ほぼ600m以上は侵食に抵抗する硬い斑レイ岩からなり,急傾斜の山頂部を構成している。

 山頂付近は斑レイ岩でできている。
 斑レイ岩は風化に強く風雨で削りにくいので、周辺より高い山頂を形成している。

斑レイ岩は一般に黒っぽい色をした深成岩の一種で筑波山の斑レイ岩は、約7千5百年前に地価10kmの深さでマグマがゆっくり冷却して出来たものである。
これが後に隆起し上に乗っていた岩石が削られると、上から抑えれていた力が抜けるため節理(割れ目)がこのような奇岩の景色を形成した。 

〔山腹の花崗岩〕
筑波山の山腹、梅林には巨岩がごろごろしているがこの巨石は斑レイ岩である。山頂風金の斑レイ岩二は節理が見えるが、この節理で大きく割れて大岩が出来る。この大岩が何百年に一度に起こる土石流で流れ下って緩やかな斜面を形成した。

〔裾野の巨礫〕
 筑波山神社化裾野にかけて緩やかな傾斜に成っている。この緩やかな傾斜地は土石流がたまってできたところである。
 土石流は、近年では1938(昭和13)年7月の集中豪雨、1947(昭和22)年9月のカスリーン台風、1979(昭和54)年10月の大風20号で起きている。

 危険な渓流は,谷底の勾配が15°以上の区間が長く,そこに多くの土砂が堆積している谷である。筑波山では土石流危険渓流に指定されているが、それぞれの谷の流域面積は小さくまた一般に谷は浅いので,土石流が起きても土砂量は多くはならず,その危険はあまり大きくはないといわれている。 

 筑波山はその成り起ちから地下深くで冷却して出来た団体が隆起してできた山であるので“噴火”しない山である。こういう意味では安全な山であるが、集中豪雨が土石流を発生させた過去がある山である。
 筑波山で土石流発生危険個所に指定されているのは、男女川、寺川及、中ノ沢及び又次沢の4か所である。
 今年のように異常気象で記録的な豪雨が予想される時の登山は避けたほうが無難のようだ。  


       筑波山千寺川の砂防堰堤(女体山登山口、白雲橋から撮影)

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 筑波山千寺川砂防堰堤群

 昭和13年、茨城県で観測史上最大の豪雨(県内400mm~700mm)に見舞われ、各地で大きな水害をもたらした。筑波山千寺川では土石流が発生し、3名が死亡、寺社や家屋が全壊するなどの被害を受けたため、県では翌年から筑波山砂防事業に着手した。 
  
 土石流が発生した千寺沢に、石積みの砂防堰堤を昭和14年から18年にかけて総数24基にも及ぶ堰堤群を施工した。この堰堤群は、茨城県における初期の砂防事業によるもので保存状態も良好である。その後、堰堤群の効果により土石流の発生が防止され、今日まで筑波山神社やその門前町である筑波山山麓の安全を守っている。


つくば市の土砂災害警戒区域等指定箇所 
 〔関係法令〕:土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定基準
  「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」の法施行令第2条および同第3条に規定されている。
 土砂災害警戒区域 
   急傾斜地の崩壊
     ・傾斜度が30度以上で高さが5m以上の区域 
     ・急傾斜地の上端から水平距離が10m以内の区域 
     ・急傾斜地の下端から
       急傾斜地高さの2倍(50mを超える場合は50m)以内の区域 
   土石流 
     ・土石流の発生のおそれのある渓流において、
        扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域    

 つくば市(茎崎町を除く)で 「急傾斜地の崩壊」 と指定された箇所は21か所、
     その内、筑波は女体山、男女川流域とつくば市筑波の東山の3か所である。
   又 「土石流の警戒区域」 は15箇所、
     その内、筑波山は男女川、寺川、中ノ沢及び又次沢の4箇所である。


その1 急傾斜
          〔女体山〕
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          〔男女川流域〕 

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         〔つくば市筑波、東山〕  

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【急傾斜地崩壊危険個所】(茨城県)
 傾斜度30度以上、高さ5m以上の急傾斜地で、その斜面が崩れた場合に被害が出ると予想される区域内に、人家が1戸以上 (人家がなくても官公署、学校、病院、駅、旅館等のある場合を含む) ある箇所及び人家はないが今後新規の住宅立地等が見込まれる箇所を「急傾斜地崩壊危険個所」としている。 


その2 土石流  

       〔男女川〕
         

  
         〔寺川〕 

         

          〔中ノ沢〕 

                

               〔又次沢〕 

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【土石流危険渓流】(茨城県)
 土石流発生の危険性があり、1戸以上の人家 (人家がなくても官公署、学校、病院及び社会福祉施設等の災害弱者関連施設、駅、旅館、発電所等の公共施設のある場合を含む) に被害を生ずるおそれがある渓流、および人家はないが今後新規の住宅立地等が見込まれる渓流を「土石流危険渓流」としている


〔関連記事〕
  筑波山は噴火しない山 その形成と岩石


〔参考資料等〕

  地質標本館 『筑波山地質見学ガイド』
  筑波環境フォーラム 『筑波山の自然観察』
  筑波エキスプレス 『筑波山MAP』
  茨城県 『水郷筑波国定公園 筑波山ガイドマップ』
  茨城県のHP 「土砂災害警戒区域等指定箇所【つくば市(急傾斜)(土石流)】」
  


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