ふるさとは誰にもある。そこには先人の足跡、伝承されたものがある。つくばには ガマの油売り口上がある。

つくば市認定地域民俗無形文化財がまの油売り口上及び筑波山地域ジオパーク構想に関連した出来事や歴史を紹介する記事です。

筑波山は噴火しない山 その形成と岩石

2023-08-29 | 筑波山地域ジオパーク

筑波山は火山ではない
 筑波山は山頂付近が斑れい岩類、 山腹付近が花崗岩類、 山裾付近には山麓斜面堆積物が見られる。
 斑れい岩と花崗岩は深成岩 (地下深くで、マグマがゆっくり固まった岩石) の一種であるので、
マグマが地下深くで固まった深成岩全体が隆起しまわりが削られて山になった
ことが分かる。
 筑波山は火山ではない。


  
   斑レイ岩類(約7500万年前)
     灰黒色の固い岩石。風化に強い。
     この地域では「筑波石」と呼ばれ庭石などに使われている。 

   花崗岩類(約6000万年前)
     灰白色の岩石。固いが風化に弱く、砂状になる(マサ化)性質がある。
     この地域では「稲田石」や「真壁石」と呼ばれ、
     国会議事堂の一部に使われるなど石材として広く日本で用いられている。
     墓石などにも使われる。 

   山麓斜面堆積物(風化で壊れた斑レイ岩や花崗岩がたまった地層)
     斑レイ岩や花崗岩が壊れ堆積した地層。
     この山麓堆積物によって山麓になだらかな斜面が形成されている。
     土石流で流された斑レイ岩の巨石が樹林斜面に視られる。

  〔関連記事〕
  筑波山の生い立ち 筑波山は噴火しない安全な山


つつじヶ丘
(542m) 

  灰黒色の硬い岩石。風化に強い。
  この地域では 「筑波石」 と呼ばれ,庭石などに使われている。  

          つつじヶ丘
筑波山の形成  
筑波山は深成岩で形成された山塊である。
そのため、山自体が地下深くでゆっくりと固まったことが推測される。

     
        
  
      
       
          
  


約7500万年前に斑れい岩質マグマが固まり、斑れい岩(今の山頂付近)が地下10km付近でできた。
その後、約6000万年前に花崗岩質マグマが斑れい岩の周辺で固まり、花崗岩となった。
そして、地下深くでできた岩塊は約10km深くから地表まで隆起を始めた。

この際の隆起速度は1万年あたり1~2mと考えられており、
地表付近に現われた後、風化しやすい花崗岩が浸食され、
斑れい岩の部分だけが取り残されることで筑波山が形づくられた。

〔ジオポイント〕
 ・斑れい岩: 比較的硬く、風化しにくい。割れ目が多くあり、大きく割れて奇岩を作る。
 ・花崗岩:  含まれている 「長石」 が風化に弱くボロボロにくずれ、侵食されやすい。
  ・このため風化に強い斑れい岩の部分が山頂に、花崗岩が中腹から麓にかけて分布している。

筑波山が形作る奇岩群  
  筑波山に存在する弁慶七戻り、ガマ石、母の胎内くぐり等の奇岩群。
  これらの形成にも筑波山の岩石が関係している。




   
  


   




       
     高天原

               
   弁慶七戻り
                 
   ガマ石

例えば、「弁慶七戻り」 や 「ガマ石」は、
斑れい岩が隆起する際にできた割れ目(節理)に上から落ちてきた岩が引っ掛かってできた。
斑れい岩が固いため、現在まで残っている。 

 また、「母の胎内くぐり」などは、土砂崩れによって移動した巨石と土砂が基となっており、
岩の間の土砂が浸食され、固い斑れい岩が取り残されることで形づくられた。


  
【関連記事】 

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筑波山の奇岩を巡るコース 女体山から白雲橋へ
2016年9月9日(金)筑波山地域が 「日本ジオパーク」に認定された!

【参照資料】
『めざせ!筑波山地域ジオパーク』
   (筑波山地域ジオパーク推進協議会・つくば市ジオパーク推進室)
『筑波山地質見学ガイド』(産業総合研究所地質標本館)
『筑波山地域ジオパーク・サポーターズクラブ 通信 VOL.5』
   (筑波山地域ジオパーク推進協議会事務局 ) 

 


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