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映画批評etc

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モンタナの風に抱かれて

2008年12月11日 | 映画(マ行)
★1998年公開

★キャスト
ロバート・レッドフォード
クリスティン・スコット・トーマス
サム・ニール

★スタッフ
監督 ロバート・レッドフォード
脚本 リチャード・ラグラヴェネーズ
音楽 トーマス・ニューマン
撮影 ロバート・リチャードソン
製作 ロバート・レッドフォード

★あらすじ
仕事に追われる両親を持ち、愛馬とのひと時に安らぎを覚える少女グレース。ある冬の朝、彼女は不幸な事故から親友と自らの右足を失う。そして、重症を負ったピルグリムの心までも失ってしまうのだった。彼女はグレースの心を取りもどすべく、愛馬と娘を連れて長い旅に出るのだった。モンタナの大自然を舞台に、ロバート・レッドフォードが贈る。

★寸評
レッドフォードは古き良きアメリカの良心ともいうべき、至宝である。
彼は、知的でありワイルド、という成立させるのが難しい特徴を兼ね備えている。
そしてハリウッドで初めて「演技と製作の双方で地位を確立した映画人である。

その彼が作った本作は実に彼らしい作品である。
アメリカの美しい自然を生き生きと写している。
テーマは実にシンプルで、モンタナの自然と共生する人々とのふれあいである。

本作のレッドフォードは実にワイルドである。
ワイルドというイメージが、道路に唾を吐いたり酒で乱れたりすることではないという事を、本作で彼は教えてくれている。
彼は事故の影響で狂馬となった馬を、危険を顧みずに調教し、同時に心を閉ざしがちな娘の面倒までみてしまう。
その方法は論理に裏打ちされたものではなく、原始的で天性の勘に頼ったやり方である。

対するC・S・トーマスは都会で暮らす、キャリア・ウーマンである。
自分のキャリアに自信を持ちつつ、今後の人生に迷いの混在する現代を象徴するような女性である。

この映画における議論で、不倫の問題がある。
すなわち、レッドフォード演じる主役と仕事を依頼にきた女性の間の仄かな想い。

結論からいうと、不倫はテーマなどではない。
ちゃんと観ていれば、テーマとして重要な部分ではないことぐらい判る筈である。
不倫には不貞行為の存在が要件だが、本作にはなく、プラトニックである。
この程度がちゃんと読み取れないならば、国語の読解をやり直さなければいけない。

おそらく、ある程度は年齢が上でないと観ても実感も無い上に共感もない。
加えてユルい映画である。
気持ち次第ではダルい映画になってしまうだろう。


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