ねこなんて大っ嫌い

ってずっと思ってたのに。
死にそうな子ねことの出会いが生きる力を与えてくれました。
バツ2でも結構幸せにやってます!

母かずえ 地獄に仏

2019-06-19 05:55:55 | 母 かずえ
母かずえ話、続きます。
日曜日に会いに行った時、母は最後まで、私のことを私だと理解出来ぬまま病院を後にしました。会話から推測すると、長い間信仰していた宗教の、偉い方がお見舞いに来てくれたと思っていた様子。

帰宅してから「あれはせん妄。だから、一時的なもの」と何度も自分に言い聞かせてみるものの、何をしていても、いつの間にか涙ぐんでいる自分に気付く。



「私たちも一緒に行けばよかった。そうすれば、お婆ちゃん、思い出したかもしれなかったよね?」と娘が言ってくれ、その気持ちが嬉しくはありましたが、大勢の知らない人が来た・・・と、もっと動揺させたかもしれないかと思うと、どうすればよかったのかは分かりません。

月曜日、仕事終わりにまた病院へ。「試しに私たちも一緒に行くから」と娘たちが言ってくれたので、途中駅で待ち合わせ、車で拾って貰いました。



どうだろう。今日も昨日と同じなのか。ドキドキしながら病室に入ります。すると、私を見るなり「わぁ~あんた、どうしたん?お母さんもう、あと一歩で死ぬとこやったよ~」と半泣き状態です。

あぁ、今日は私を私だと認識してくれている。
それだけでもう、嬉しくて嬉しくて



元々、そんなに仲の良い親子ではなかったのに、いや、むしろ母のことを長年恨んでいた私だったのに、痴呆症になってから、何故か母のことを可愛く思えるようになりました。

「お母さんねぇ、もう喉が渇いて、お腹が空いて、あんたが来てくれんかったら、もうちょっとで死ぬとこやったよ~。地獄に仏とはこのことよ~。来てくれてありがとう~。」

昨日は赤の他人で、今日は仏様。ドえらい昇格です。

土曜日の朝から食事を抜いていたので、丸二日何も食べていなかった母。腸閉塞の疑いで、水分も一日氷10個迄と決められています。

ふとサイドテーブルを見ると、夕食が置かれていました。重湯とそれに合わせたとろとろのお味噌汁。デザートはゼリーとプリン。吸い飲みにはお水も入っていました。看護師さんにお尋ねしたら、母に飲ませたり食べさせたりしても良いと言われました。



動きを抑制するために、母の両手にはグローブがつけられています。私の介助で一口食べる度に「美味しい~。生き返るようなよー」と喜ぶ母。昨日の表情とは違い、笑みさえこぼれています。

出された食事を完食した母は、来た時とはまるで別人のように、穏やかで満ち足りた顔をしていました。


「ねぇお母さん、私、誰?」と聞くと
「あんたは〇〇やろうもん」うんうん、正解!

「じゃぁこの人は?」と娘を指差すと、娘のことをじーーーっと見つめ「あんたは・・・〇〇(私の名前)よ」

「いやいや、じゃぁ私は誰よ?」と私がすかさず突っ込むと
「あれ?可笑しいねぇ、ちょっとあんたの名前は出て来んよ」と私を見て困った様子。

娘は私の若い頃にとてもよく似ているので、母を混乱させてしまったようです。その内「あぁ、違う違う、あんたは〇〇ちゃん(娘の名前)よねぇ。お母さん何言いよるんやろう。まだそこまではボケとらんよねぇ」

いや、お釣りがくるほどボケてますよ。笑




「ずっとね、夢を見とったんよ。大きな川の中に入って、溺れそうになったのに、だぁれも助けに来てくれんでから。死ぬかと思うたよ。爺ちゃんも婆ちゃんも出て来たよ。お父さんも出てきた」

「ホント?お父さん、やっと出て来たんだねぇ。そりゃよかった。きっと、お父さんが一番喜んでるよ」

その後も延々と夢の話を聞かされましたが、私を私だと分かって話してくれていること、夢を夢だと理解して話してくれていること、そのどちらもがとても嬉しくて、私は終始ニコニコしていました。



自宅近くの病院は、6月26日にしか受け入れて貰えないことが分かりました。今の病院に10日間入院し、やっと慣れた頃に転院というのは、どう考えても母にとって良い選択とは思えず、断念しました。


そして火曜日の夜、昨日も様子を見に行って来ました。私のことは分かりましたが、前日の母とはまた違っていました。幻視・・・というのでしょうか。ある筈の無いものが見える。

「あのカーテンの上にある2匹のイワシの頭、あれはなんであんな所にぶら下げとるんかねぇ」

「そのこたつの角に、蜘蛛の巣が一杯張っとるのは、あれは忙しいけ、掃除出来んのやろうか」

「あのメガネかけた男の人と、もう一人の人、どうしてあんな天井の近くにおるん?」

これもせん妄の一種だと思います。これからも、暫くの間は、こういった状態が続くことと思います。

前回、前々回の記事に、沢山の応援ボタンを押してくださった皆様、ご心配くださった皆様、大変申し訳なく、そして有難く思いました。本当にありがとうございました

慌てず騒がず悲しまず、母を見守っていこうと思っております。

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