『渇き』(박쥐/コウモリ・Thirst)
(2009.04.30韓国公開、2010.02.27日本公開)
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hoppenの韓的な日々♪より
『渇き(原題:コウモリ)』:第10回東京フィルメックスにて(2009.11.29)
第10回フィルメックス映画祭のクロージングに登場した『乾き』。
パク・チャヌク監督の、貴重な舞台挨拶&ティーチインがありました。
コメントは、ユーモアたっぷり。
観客からの質問に、ひとつひとつ、詳しく丁寧に答えてくれました。
監督の造詣の深さにも触れることができました。
『渇き』は、2月27日(土)から日本でも公開されます。
多少、ネタばれがありますので、映画を見た後で読んでいただくほうがいいかも。
**** 上映前の舞台挨拶 ****
<最初のご挨拶>
フィルメックスは、いい映画祭だと韓国の監督たちから聞いていました。
きっと近いうちに呼んでくれると待っていたんですが、
なかなか声がかからなかった。
10年もかかってしまいました。(笑)
やっと声がかかったと喜びましたが、今回は最終日!
到着してから上映プログラムを見たんですが、
どの映画も全部見たかった…。
1本も見れませんでした。
次回は、ぜひ、オープニングに呼んでいただきたいです。(笑)
これはバンパイア映画なので、血と暴力がありますが、
ユーモラスなところもたくさんあります。
笑えるところは、思いっきり笑ってください。
来年、公開が決まっていますので、いいうわさを広めてくださいね。
****************
司会のディレクターによると、
「ずっと、パク・チャヌク監督を招待したかったんですが、
いつも、フィルメックスを開催する前に、日本公開されてしまうんです。
今回の『渇き』は、2月に公開ということで、本当に良かった!」
と、喜んでいました。
**** 上映後のQ&A ****
<キャスティングについて>
ストーリーの構想を思いついたのは『JSA』の撮影中でした。
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10年位前ですね。
聞かせた相手がソン・ガンホさんで、その頃から、お互い決まっていた感じです。
最初、ガンホさんには「あまり面白そうじゃないね」と言われました。
「バンパイアは普通、美男子が多いのでは?」と、本人も周りも反対したのに、
何で、ガンホさんに決めちゃったんでしょうかね?(笑)
ガンホさんとは飲み友達で、撮影の後、すぐに飲めるから好都合だったのかも!
<吸血鬼もので、好きな作品はありますか?>
特に、吸血鬼が好きというわけではないんです。
小心者なので、ホラーもあまり見ません。(←意外!)
神父を主人公にして、奈落へ落ちるとどうなるか、という話を考えたんです。
礼拝ではイエスの血を飲む(=実際はワイン)儀式がありますが、
本物の血を飲んだらどうなるんだろう?、と。
人類を助けるために飲む血を、
自分が生きるために飲む、という状況になるわけです。
神父がバンパイアになる、という映画は、これまでなかったし。
イエスの体に宿るイエスの血を飲む、という儀式が子供の頃から不思議でした。
アメリカのインタビューで、
ジョージ・A・ロメロ監督の
『マーティン・呪われた吸血少年』(all cinemad)が好きだと話したんですが、
その映画のプロデューサーから手紙をもらい、
『渇き』がとてもよかったと書かれていて、
とても感激しました。
(もしかして、この手紙には、アメリカからのお誘いもあったのでは!?)
(ここで、監督がくしゃみを連発)
新型インフルエンザではなく、アレルギーなので、ご心配なく!
<強姦シーンの解釈について>
神父は、実際には強姦しておらず、しようとした振りをしただけなんです。
自分を崇拝している熱心な信者たちに、それは間違っていると教えたかったんです。
体をさらけ出して、突発的に見えますが、
これは、聖職者として最大限の崇高な行動だと思います。
殉教者といえます。
神父だけがズボンを下ろし、女性は服を乱されただけです。
ガンホさんには性器を見せてもらいましたが、
マスコミには、その部分だけが衝撃的に報道されました。
マスコミ試写では、このシーンを見た直後、
記者たちが、一斉に、パソコンでニュースを送信していました。(笑)
<人妻テジュを演じたキム・オクビンさんの、青いドレスが印象的でしたが>
青を象徴させたわけではないのですが、血と対比させました。
家の中は、白くしました。
それにも、よく映えていましたね。
キム・オクビンさんには、自信を持って演じてほしい、と言いました。
最近、韓国では、押さえた演技が良しとされる傾向がありますが、
感情を爆発させるような強い表現も必要だと知ってほしかったんです。
イザベル・アジャーニ主演の映画『ポゼッション』を見てもらいました。
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メイクでは、普段バンパイアは白いんですが、
彼女は、血を吸うと赤くなります。
それも、青い衣装に合いましたね。
<最後の二人のシーンに愛情を感じたのですが>
テジュと神父の関係は、フィルムノワールなんです。
テジュは、ファムファタールの役割です。
主人公の神父を心から愛しているのか?
離婚したいがために愛する振りをしているのか?
どっちかわからない状態で終わらせるのが、セオリーなんですよね。
セオリー通り、あいまいにしたかったんですが、
やはり、本当は愛していた気がして、その誘惑に勝てなかったんです。
靴のシーンや、車のトランクに一緒に隠れようとするのは、
テジュの、神父への愛情の表れです。
イギリスのローレルとバデルのシーンに似ていますね。
(この映画のことかな?『ローレルとバーディ』)
いざこざがあるけど、愛し合う姿が含まれていました。
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<姑役の設定は?>
フランスの小説『テレーズ・ラカン』から取り入れました。
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『親切なクムジャさん』とも関係があります。
第三者的に観察する役割を担っています。
クムジャさんは、復讐するはずだったのに、他人にさせていく構造です。
10年前の構想の時には、二つのシーケンスだけがありました。
①神父がどうやってバンパイアになるか。
②女性と出会って、その人を殺してしまい、バンパイアにして生き返らせる。
最初の考えでは、
神父は女性を殺してしまって悲しくて泣くけれど、彼女の血を吸ってしまう。
血を吸うのはトイレで、
鏡で自分の姿を見て、彼女を復活させることを思いつく。
こういうシーケンスでした。
ただ、鏡を見るのは陳腐なやり方になってしまう。
そのとき、姑の設定を思いついた。
姑の目は、鏡の役割をします。
同時に、神の目、観客の目にもなる。
そして、神父サンヒョン自身の目にも。
姑は、二人が死んでいくのも、ただ見ているだけです。
これはかなり恐ろしいこと。
太陽の日差しさえ、おぞましい殺人の武器になり、
審判と処刑の意味にもなります。
****************
パク・チャヌク監督は、もともと、映画評論家だったと聞いたことがあります。
そのせいか、映画監督特有の芸術家的な雰囲気よりも、
紳士的な感じが強かったです。
見た映画の本数は、韓国で一番多いらしい。
ティーチインのコメントにも、その深い知識が感じられました。
『渇き』という映画の、深い魅力を知ることができ、
ティーチンは、とても有意義でした。
ぜひ、次回は、フィルメックスのオープニングで会いたいですね。^^
今晩は☆彡
TB&コメントありがとうございました!
パク・チャヌク監督作品はこれが初めてです。
まず「オールドボーイ」をレンタルしようと
お店に行きましたが、レンタル中(涙)
「親切なクムジャさん」を借りました。
まだ観ていませんが、、、、、
色々教えて頂きありがとうございます。
次回レンタルする際、参考にさせてもらいます。ありがとうございます。またお邪魔
します!
パク・チャヌク監督は血が多いので、韓流仲間はあまり見てくれないんです~。
独特な不気味さが、私は好きですが。
映画のレビューもがんばりますので、また、よろしくお願いいたします!