月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

御霊→英霊 -靖国「怨念」色の払拭-

2005-05-29 21:29:54 | 民俗・信仰・文化
 石原慎太郎氏らが大好きな靖国神社。  しかし、彼らは靖国神社の元来の意味を歪めているのではないでしょうか?  そして、その歪みが後のA級戦犯の合祀につながり、また、中国や韓国に不快な気持ちを与えているのではないでしょうか?  また、その歪み故に、一部の議員たちは好んで靖国社に公式参拝するのではないでしょうか?  そこには、国家の為に死んだ若き兵士たちの「御霊(みたま)」が祀られていたそうです。  しかし、「御霊」の漢字はいつしか「英霊」に書き換えらていきました。    それは、祇園祭の旧名である祇園御霊会等の御霊会や、天神御霊に代表されるように、国家に恨みを持って死んだ「怨霊」のニュアンスがあったからだそうです。  国家側が意図した「ミタマ」ではなく、「オンリョウ」というイメージを「御霊」の漢字が抱かせたのは何故でしょうか?  やはり、死んでいった兵士たちの死が端から見ていて理不尽なものであると感じる人が多かったからでしょう。  そして、そのような、理不尽な死に対する同情こそが、日本人の伝統的な「御霊観」だったのでしょう。  しかし、その元来の日本人の伝統的な「御霊観」では、国家の求心力を持たせるという目的が果たすことが出来ませんでした。  その「怨霊」イメージを払拭する為に、新たな「英霊」という言葉が作られた経緯があるそうです。  靖国神社に祭られている一般の兵士達の霊は、「国家に貢献した人の霊」なのかもしれません。  しかし、それと同時に、いや、それ以上に、「理不尽な死を強制された、国家に恨みを持つ人の霊」と理解することが必要なのでしょう。  参考文献 著・田中丸勝彦 編・重信幸彦, 福間裕爾編「さまよえる英霊たち―国のみたま、家のほとけ」(柏書房) 2002 

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