月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

342.子が南に!? 十二支配置の方向は? (月刊「祭御宅」2021.5月11号)

2021-05-20 02:13:47 | 民俗・信仰・文化-伝承・信仰-
●屋台などに好まれる十二支柄

屋台で十二支が好まれるのはこの記事でも触れました。

宮入するときの方角や、屋台前面を南とみなして十二支の方角があうように作られていることが多いようです。管理人も、屋台の新調等で意見を求められた時はそうなるように提案してきました。
今すぐに写真は出てこないのですが、神社でも方角にあわせて配置されているのをみたことがあります。
●加西市九会の稲荷神社





しかし、必ずしもその方角と一致している神社ばかりではないようです。それが、加西市九会にある稲荷神社の本殿です。ちなみに屋台・神社彫刻研究家のSさんのご教示によると、彫刻師は屋台の彫刻も手掛けている人物のもので、彫刻に銘が入っている写真を見せていただきました。また、明治後半につくられたという当時の石碑の存在も教えていただき、管理人も本殿裏でみてきました。
十二支は本殿に向かって左側面から後面、右側面にかけて、一面に四種類ずつ、計十二種類・十二支の動物の彫刻が配置されています。






三面に十二支?
本殿は東側(約30°南側)を向き、正面には十二支は配置されないで、残る三面に十二支が配置されています。
それぞれの配置は下の①のようになっています。ほぼ南側に北側の「子」が配置されています。
②のように子を北側に配置するならば、下のような配置になるはずです。東側になるはずの辰が南に来てしまいます。
③のようにすればおおよその方角はあいますが、子の次の丑は角を曲がらないといけません。
書物通りの配置??
結局、九会の稲荷神社は、左側面から子丑寅卯・・・の順に並んでいました。この並び方では方角は合いません。ではこの並び方は、全く意味のないものでしょうか?
 そんなことはありません。現在の並び方は、まさしく書物通りの配置であるといえます。
 このブログのように現在の日本語は左から右への横書きも使われています。しかし昔は右から左への縦書きのみでした。一行一文字の場合、右から左へ移動する横書きのように見えます。
から福田山

九会の稲荷神社の十二支の彫刻は外側についています。なので見る人は外側から内側を見ます。これを開くと、一行一文字の書物を右から左へ読むように、十二支の彫刻を順番通りに眺めることができるのがわかります。
九会の稲荷神社の本殿は、十二支の彫刻の書物を外向きに巻きつけたものだといえるでしょう。


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